AO・推薦入試を受けようと思っているのは高校3年生だけではないでしょう。
では、高校1、2年生の時からAO・推薦入試を視野に入れている人は今何をしておくと良いのでしょうか。
今回は、特に高校2年生に向けて、本格的に受験生になる前に準備しておけることをまとめていきます。
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AO・推薦入試のピークはいつ頃?
そもそも、AO・推薦入試の「受験期」とはいつなのでしょうか。
多くの大学では、1次試験として書類選考、2次試験として小論文や面接が課されます。一番大変な時期は、1次選考のために書類を作っている頃になります。
慶應義塾大学の総合政策学部・環境情報学部は、AO・推薦入試を行っている大学学部の中でもかなり出願時期が早く、例年8月5日頃には書類出願の締め切りを迎えます。
この2学部の出願を皮切りに、8、9、10月と出願が続いていきます。
11月10日前後に関東では上智大学、関西では関西学院大学などの出願が終わり、これでほとんどの受験生が出願時期を終える形になります。
一部の国公立大学では12月にも出願がありますが、私立大学では帰国生入試などの入試以外はほぼ終わっている時期と言えます。
10月や11月に本命校の出願がある人も8、9月の出願校を併願にするケースが多いため、受験生全体としてのピークは8、9月と言って良いでしょう。
書類出願と並行して9月初旬ごろからは書類選考の結果が発表され、2次試験がはじまっていきます。
2次試験のための小論文や面接対策が必要なことはもちろん、大学学部によってはプレゼンテーションなど準備が必要な課題が課される場合もあります。
このあたりは各大学の募集要項をよく確認しましょう。
基本的には、AO・推薦入試は一般入試よりも半年早い、と思っておけば問題ないでしょう。
まずは一般入試の対策を
一般入試よりも半年早いAO・推薦入試を受験するということは、周りの一般入試を受ける人たちよりも半年早く本格的に受験生になる必要がある、ということになります。
では、まず何をするべきでしょうか。
個人的には、高校2年生の間に、できる範囲の受験勉強を進めておくことをおすすめします。
特に、現代文は高校2年生の間に対策ができる数少ない科目です。ほかの科目は高校3年生まで習わない範囲がありますが、現代文はそうではありません。
高校3年生はAO・推薦入試の準備で忙しく、一般入試の勉強が思うようにできない人も多くいます。
高校2年生の間に1科目でも受験レベルに達していれば、受験期の負担が減って楽になります。
さらに、現代文の力は小論文を得意科目にするためにも絶対的に必要な力です。
二次選考で小論文が無い大学を受けるとしても、AO・推薦入試の準備の際にはたくさんの本も読まなくてはいけません。
読解力があることはAO・推薦入試を受けるうえで非常に大切な要素なのです。
研究したいものが何かを考える
AO・推薦入試に向けての準備をする、という観点では、まず「研究したいものは何か?」を考えることが大切です。
ここで重要なのは、志望校や志望学部というものにとらわれずに、とにかく純粋に「研究したい」を探していくことです。
研究したいものは、意外と身近にあるものです。
例えばそれがずっと観戦が趣味だった「野球」だったとすると、「野球のフォームの動作解析」に興味があればスポーツ科学を学べる大学が良いかもしれません。
「プロ野球チームの運営」であれば経営学部や商学部でしょうし、「野球をえがいている文学作品」だったならば文学部になります。「野球観戦という文化」に興味があれば社会学部ということになります。
そのように、研究対象が一つであっても、研究テーマは無限に考えられるのです。
ですから、まずは学びたい学問や入りたい学部、入りたい大学から考えるよりも、研究したい対象を考えると進路が考えやすくなります。
研究手法に使いたい学問を考える
研究したい対象が考えられたら、次は研究手法にどの学問を使うのかを考えます。
先ほど例に出したように「野球」をテーマにしたとしても様々なアプローチの方法があります。
そこで考えることが「どの学問を学ぶのか」です。どの学問を学ぶと自分の研究テーマを深める役に立つのかを考えていきましょう。
この際、学問をきちんと理解することが非常に重要です。
なんとなくの言葉の響きの印象でその学問をとらえるのではなく、どのような手法を取り、何を研究対象とするケースがあるのかを知りましょう。
そのためには、『〇〇学入門』のような基礎的な書籍を読むと良いでしょう。
なお、大学関係者ではない人が書いているものを必ず選ぶようにしてください。
本業が実業家の人が書いているなど、学問を専門としているわけではない人の書籍は参考にすべきではありません。
人文科学や社会科学だと、有斐閣の「有斐閣アルマ」シリーズが信頼できます。
研究を深めていく
AO・推薦入試の合格のために不可欠なのが、その大学学部で扱う学問を理解していることと、そして何かを自主的に研究し深めていることです。
自主的に研究をしているということは、大きなアピールポイントにもなります。
大学で学びたいこととイコールである必要はありません。今できる範囲での学びを存分に行ってください。
まずは何でも良いので、興味の持ったことについて、自由研究のような形で研究を深めておきましょう。そしてそれを何らかの形にまとめて残しておきましょう。そのためにも、様々な書籍を読むことが重要です。
はじめのうちは、あまり難しすぎない新書がおすすめです。
なお、この際も著者が大学の教授や助教授であることを確認しましょう。さらには、その教授や助教授の専門とする学問に関する書籍であることも確認してください。
自由研究を深めていくにつれて、自分の研究したい対象が変わったり、研究に使いたい学問が変わっていくことは往々にしてあることです。
「やっぱり違うかも」に気付くことも大いなる進歩です。
そしてその気づきを早いうちに得ておくことで、高校3年生になってからの手戻りが少なくなります。
最後に
AO・推薦入試においては、志望校を決める前に、まずは研究したいことを決めることが重要です。
高校2年生の間に研究を進めておくことで、AO・推薦入試の準備が楽になるだけでなく、「研究を行ってきた」ということを実績として使うこともできるようになります。
長いようで短い高校2年生という期間をうまく活用していきましょう。
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参考
1995年生まれ。東京都出身。
中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。