今回は、受動態という単元に入ります。
受動態とは、主語がなんらかの影響を受けていることを表します。つまり「受け身」の状態ということです。
まずは、今まで習ってきた能動態と比較して、どのような違いがあるのを確認した上で、受動態の基本ルールを学んでいきましょう。
受動態にももちろん助動詞を使う場合や、進行形や完了形、否定文、疑問文になる場合があります。
Contents
受動態と能動的の違い
最初に、能動態と受動態の違いを理解しましょう。
- ① The storm damaged the crops.(嵐が農作物に損害を与えた)
- ② The crops were damaged by the storm.(農作物は嵐によって損害を受けた)
まず①の例文は、影響を与えるもの(=嵐)を主語に置き、その後ろに動詞と目的語がきます。これが今まで習ってきた能動態の文章です。一方で②の例文は、影響を与えられたもの(=農作物)が主語になっています。
つまり受動態は「誰か(何か)が〜される」という意味になり、《「される側」+be動詞+過去分詞(by「する側」)》という構造文になります。
能動態と受動態の使い分けのポイントは、「話題の中心になっているのはどちらか」ということです。違う例文を見てみましょう
- ③ My father repaired this car.(父がこの車を修理した)
- ④ This car was repaired by my father.(この車は父によって修理された)
例文③では、話題の中心になっているのは「父」なのでこれは能動態になります。一方で例文④の話題の中心になっているのは「修理を受けた“車”」です。よって「車」を主語に持ってくると、受動態になります。
「〜によって」という行為者を表したいときは、「by〜」を使います。もし行為者が分からない場合は、この「by〜」はなくて大丈夫です。
受動態のさまざまな形
ここからは「助動詞」「進行形」「完了形」「否定文」「疑問文」の受動態を見ていきましょう。
助動詞
- This book can be borrowed from the library.(この本は図書館から借りられる)
赤文字部分のように「助動詞+be+過去分詞」という形で、助動詞の受動態を作ることができます。もし「〜されるだろう」のように未来のことを受動態で表したいときは「will+be+過去分詞」という形になります。
進行形
- The new house is being built now.(新しい家は現在建設中だ)
「〜されているところだ」と主語が今現在も何かされている(動作を受けている・影響を受けている)途中の場合は、進行形の受動態を使います。「be動詞+ing形」の形で表します。もし進行形の受動態にしたい場合は「be動詞+being+過去分詞」の形にして、「今現在、…は〜されているところだ」という文章を作ることができます。
完了形
- This song has been sung by a lot of singers.(この歌は多くの歌手によって歌われてきた)
完了形の受動態は「have(has/had)+been+過去分詞」の形で表すことができます。
否定文
- His name was not found on the list.(彼の名前はそのリストに載っていなかった)
否定文を作りたいときは、「be動詞+not+過去分詞」という形になります。
疑問文
- Was this bag made in China? (このバックは中国で作られましたか?)
受動態のYES/NO疑問文は、be動詞を先頭に持ってきて、「be動詞+主語+過去分詞」という形になります。また、助動詞があるときは助動詞を先頭にもってきて「助動詞+主語+be動詞+過去分詞」になります。
- ① Who was invited to the school festival?(誰が学校祭に招待されましたか?)
- ② When was this building built?(いつこの建物は建てられましたか?)
疑問詞を使った疑問は、まず先頭に疑問詞がきます。①のように「誰が〜されるのですか」と主語を尋ねたい場合は、「疑問詞+be動詞+過去分詞」という形になります。一方で、「いつ」「どこで」などを尋ねたいときは、②のように「疑問詞+be動詞+主語+過去分詞」になります。
語順に注意する受動態
give型動詞とbuy型動詞の2種類を覚えていますか?《文型》という単元で習いましたね。例えば下の例文は「sent」というgive型動詞を用いた受動態です。
- ① Jim was sent a Christmas card by Mary.(ジムはメアリーからクリスマスカードを送られた)
- ② A Christmas card was sent to Jim by Mary.(クリスマスカードがメアリーによってジムに送られた)
まず①ではジムが主語になっていて、そのあとに「送られた」という動詞がきて、「クリスマスカードを」「メアリーによって」と2つの目的語が続きます。つまりSVOOの文になります。①は送られた「相手」が主語になっていますが、②では「送られた物」が主語になっています。この場合、誰に送られたのかという「送られた相手」(目的語)を表す時に、前置詞の「to」を用います。
一方で、buy型動詞の場合は、「to」ではなく「for」という前置詞を用います。
- This book was bought for me by him. (この本は彼が私のために買ってくれた)
群動詞
群動詞とは、「動詞+前置詞(副詞)」というように複数の単語を1つの動詞と考えます。
- The cat was taken care of by my mother.(猫は母によって世話をされている)
以下は、頻出の群動詞の例です。
- take care of (世話をする)
- speak to(話しかける)
- carry out(実行する)
- look forward to(楽しみにする)
say, believeなどの受動態
- They say that he is a famous singer.(彼は有名な歌手だそうだ)
- It is said that he is a famous singer.(彼は有名な歌手だと言われている)
- He is said to be a famous singer.(彼は有名な歌手だと言われている)
上の3つの例文は全部同じ意味ですが、主語を変えることで3通りの言い換えができます。say以外にもbelieve, expect, know, thinkなど「言う」「思う・考える」などの動詞は、目的語のthat節を伴う場合、「It is said that〜」「主語+be動詞+said to動詞の原形」という形に変えることができます。この場合の「it」は仮主語で、真主語は「that節」になります。
getを使った受動態
- My glasses got broken while I was playing basketball.(バスケをしている間に、メガネが壊れた)
受動態は「be動詞+過去分詞」とお伝えしましたが、be動詞の代わりに「get」を使うことも可能です。「get」を使う場合は、「〜になった」というように変化があるときのみに使われます。例えば「got dressed (素早く着替えた)」「got lost(迷子になった)」などです。
受動態の慣用表現
- The mountain is covered with snow.(山は雪で覆われている)
「be covered with〜」は「〜で覆われている」という慣用表現です。その他の慣用表現も下にまとめたので、ここで覚えておきましょう。
- Be killed in〜(亡くなる)
- Be known to〜(〜に知られている)
- Be filled with〜(〜で満たされている・〜でいっぱいである)
- Be injured in 〜(〜で怪我をする)
心理状態を表す受動態
感情や心理状態を表す動詞(例えば、shock, surprise, exciteなど)は、他動詞です。(他動詞とは、「〜な気持ちにさせる」という意味になります)では、「私はその知らせにショックを受けた」というように、「ショックを与えられた側=私」を主語にする場合は、受動態を用いることになります。例文で詳しく見てみましょう。
- I was shocked by the news.(私はその知らせにショックを受けた)
- I was surprised at the news.(私はその知らせに驚いた)
このように、「〜な気持ちにさせられる」という受け身の表現になるので受動態の文章が使われます。
演習問題
coming soon…
最後に
いかがでしたか?今回は新しく、「〜される側」が主語になる受動態を習いました。
基本の文法はもちろん、群動詞や慣用表現もここでしっかりと暗記すると、あとあと楽ですよ。
またSVOOの文型、give型動詞とbuy型動詞をイマイチ覚えていなかったかたは、こちらの記事へ戻って復習してみてくださいね。
続きは、こちらから。
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参考
- 石黒昭博, 2016, 「総合英語Forest」桐原書店
- Grammar | Learn English | EnglishClub
上智大学総合人間科学部社会学科の片倉優花です。
私は中高をドイツで過ごし、高校はインターナショナルスクールに通っていました。ドイツ語も英語も身につけないといけなくて語学習得に苦労したのですが、その経験を生かして、主に「英語」をみなさんに楽しく分かりやすく習得してもらえるような記事を書いていきます。現在は弓道サークルに所属していて、中高はバスケ部でした。他にも水泳やクラシックバレエなども過去に習っていて、体を動かすことが好きです。趣味は、読書、旅行、写真撮ること、食べることです。ドイツに住んでいた時に、ヨーロッパ中を旅行しました。お気に入りの場所は、イタリアのベネチア、フランスのモンサンミッシェル、トルコのイスタンブール、ドバイです。60ヶ国制覇を目指しています!英語だけでなく、モチベーションや勉強法なども書いていけたらなと思っています。
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