【中学受験】受験勉強がはかどる食事とは?日々の食事で工夫しよう

中学受験生にとって、日々の食事は、切っても切れない関係にあります。受験生に限らず、大人であっても、生きていくためのエネルギー源となる食事は非常に大切です。また、体力をつけるだけでなく、脳細胞も、日々の食事から摂取する栄養素があってこそきちんとはたらいてくれます。

もし、十分な食事を採らなければ、そもそも勉強する以前に体力が持ちませんし、集中力を高めることもできません。さらに、食事をとるとしても、手軽だからといってファストフードやコンビニ食、おやつばかりでは必要な栄養素をとることができず、かえって栄養不足になってしまいます。

大切なのは、脳をきちんとはたらかせるための、栄養バランスのとれた必要な食事です。栄養バランスの取れた日々の食事こそが、脳の働きを活性化し、集中力や記憶力、思考力、判断力といった機能がうまく働くようになるのです。

このように、食事、それも栄養面を重視することは、日々の生活の中で体力、脳の力をつけていくために非常に重要なことです。いくら効果的な勉強方法を学習してきて、それを家庭学習で実践しようとしても、それに耐えられるだけの体力と脳の体力が身についていなければ、効果的な受験勉強はできません。

そのほか睡眠不足も、体にダメージを受けて脳が働かなくなります。日々塾に通い、帰ってきてからお風呂や食事をすませ、家庭学習(宿題)をするためには、お子さんに合った十分な休息も重要です。どうしてもやることが多いと、削るべきところは睡眠時間、ということになりやすいですが、大人でも睡眠不足が続くと集中力は続かないですよね。

ましてや、成長著しい時期の中学受験生にとっては、睡眠不足は受験勉強の大敵です。そして、良質な睡眠時間を確保できるかどうかについては、やはり食生活が非常に大きな役割を果たします。

中学受験は、小学生というまだ幼いお子さんの成長と表裏一体で進んでいくものです。だからこそ、体の基礎を作り、脳の働きの動きの基礎を作るために食事は欠かせません。ポイントとしては、以下のような点を意識していただきたいと思います。

  • 脳に欠かせないエネルギー源(ブドウ糖)を必要量とる
  • 血糖値は急激に上げるのではなく、ゆっくりと上げた方が効果的
  • ビタミンB1、DHA、EPAは受験生には欠かせない栄養素
  • そのほかの必須栄養素をバランスよくとる
  • 水分の補給の方法にもひと工夫を

以上に挙げたような項目は、中学受験生に限らず、中学生や高校生、社会人になっても重要な食事に対する考え方です。

つまり、人間に必要な、健康的な食生活こそが、そのまま受験生に役立つ食事、栄養素のとり方になると言っても過言ではありません。体力をつけ、脳を働かせるという点では、程度に差はあっても、共通することがほとんどだからです。そして、一度見についた健康的な食習慣は、そのまま健康なからだ作りに役立ってくれます。

ですから、中学受験生だからと言って特別必要な食べ物が必要、というわけではありません。ただし、重要なのは、成長の度合いに合わせた、とるべき栄養素のバランスです。

受験勉強をしていると、手軽に栄養素をとることができるという点も軽視はできません。小学生の体や脳がよく動く食事のとり方や栄養素、プラスアルファで採り入れてもよいサプリメントなどもいろいろありますので、安心感を得るためにも摂取することを考えてもよいでしょう。ただし、体に合う、合わないがありますから、選ぶときには慎重を期すことが必要です。

受験生にとって食事や必要な栄養素をしっかりとることは、すでに保護者の方もご存知でしょう。大切なのはどのような形で栄養をしっかりとるか、ということです。単に、脳に聞くと言われる栄養素を大量にとったとしても、それだけで急に頭がよくなったり、成績が上がるわけではありません。

受験勉強の基本は、日ごろの勉強にかかっています。ただし、より体や脳によい栄養素をしっかりとることによって、より勉強の効果を上げることを、保護者の方には考えていただきたいと思います。

今回は、中学受験生の脳を活性化させる食物、体力をつける食べ物について、その栄養素を中心に、レシピなどもご紹介していきたいと思います。これから夏期講習が始まります。毎日暑い中、失われていく栄養素も多いですから、ご家庭での食事を通して、お子さんのスタミナづくりに役立てていただければ幸いです。

脳に効く、欠かせない栄養素ナンバーワンは「炭水化物」

皆さんは、脳が体に占める割合をご存知ですか?実は、人間の脳が体重に占める重さの割合は、約2%といわれています。ですが、そのようなほんの少しと思われるような脳が消費するエネルギーは、全体の20%以上です。つまり、日々たくさんのエネルギーを必要としているのが脳なのです。

脳のエネルギー源は、ほとんどが炭水化物に含まれる「ブドウ糖」です。糖質や炭水化物とほぼ同じことですが、最終的に一番小さく分解された栄養素が、このブドウ糖です。脳は、眠っている時などの安静時であっても、1時間当たり5グラムのブドウ糖を消費するほど、ブドウ糖を必要とする器官です。

また、安静にしているとき以上に、脳が働いている活動時間では、より多くのブドウ糖を消費しています。このように脳を働かせるためにはブドウ糖が欠かせない存在なので、一生懸命脳を働かせた(勉強をした)あとには、しっかりとブドウ糖を補給してあげる必要があります。

ブドウ糖をたくさん含む食べ物はいろいろあります。まず頭に浮かぶものとして、ご飯やパン、パスタやうどんなどの麺類、果糖を含む果物、甘味料としてはちみつなどがあるでしょう。他にも、菓子類も糖分を多く含み、ブドウ糖は含まれていますが、純粋なブドウ糖だけではなく、余分なカロリーや油分が高いです。お子さんは喜ぶでしょうが、おやつと称してあまりたくさん与えることは避けた方がよいでしょう。

食事をとる暇がない時は、飴やチョコレートなど、手軽にでブドウ糖を補給できるものを少し摂取し、あとからお握りやバナナなどを食べるのもよい方法です。これらの食べ物は、手軽に脳を活性化してくれるので、便利です。

エネルギー源になる栄養素としては、これらの炭水化物のほかに、脂質やタンパク質がありますが、脳がうまく利用できるのはブドウ糖だけです。ですから、いくら脂質が必要だからと言って脂肪分たっぷりの食事ばかり食べていても脳のエネルギー源にはならないので注意しましょう。

思春期であってもダイエットは考えもの

最近では、小学生であっても、見た目を気にしてダイエットをするお子さんが増えています。特に思春期ですので、自分が人からどう見られるか、ということが気になるのはよくわかります。しかし、ダイエットにもいろいろあります。脂のとりすぎであれば赤身の肉や魚に置き換えれば済みますが、もし低炭水化物ダイエットをしていたり、普段から過剰に甘いものを控えていると、受験生に必要な脳のエネルギー源が少なくなる危険性があるので注意しましょう。

低炭水化物ダイエットは、主食を抜くのと同じです。炭水化物は脳が利用できる重要なエネルギー源です。それが不足してしまうと、当然、脳は思うように働かなくなってしまい、勉強の効率がかえって下がってしまいます。そればかりか、集中力が減退して気が散ったり、最近増えている受験うつ状態になったり、普段の生活の中でもイライラしたりと、心穏やかに、集中して受験勉強に向かうことができなくなってしまいます。

そうなってしまうと、塾での授業に集中できずにただ時間をぼーっと過ごしてしまったり、自習室で勉強すると称して休息時間にあてていたりという、保護者の方の目の届かないところでの時間の使い方は全く信用できないものになってしまいます。

保護者の方の目の届く家庭学習であっても、無駄に時間をかけていたり、鉛筆をもったまま宙をにらむばかりで問題文をしっかり読んで解こうという姿勢が見られなくなってしまいます。それは、単なる精神力で克服できるものではありません

栄養バランスの取れた食事をしっかりとって、脳にエネルギーが渡る状態になっていなければ、どのようなお子さんでも同じように集中力を欠いてしまいます。受験学年であれば、より「勉強の質」が非常に大切になってきます。ただ机に長時間座っていればいいというものではありません。

また、模試やテスト、本番の入試でも、集中力が欠けてしまうことによるケアレスミスや問題の読み違いなどが多発する原因になります。だからこそ、中学受験生の食事では、ブドウ糖のとり方が重要であることは、いくら強調してもしすぎることはないくらい大切なことなのです。

血糖値をゆっくり上げる工夫をしよう

保護者の方は健康診断などで、血糖値をはかる機会があるのではないかと思います。その際に、急激に血糖値が上がるとよくない、という指摘を医師から受けたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ブドウ糖の摂取の仕方には、単糖類や小糖類といった、「甘いものから摂取する方法」と、白米や麺類、パンなどのでんぷん質を利用した「炭水化物から摂取する方法」とがあります。

お菓子や果物などの甘いものをとると、すぐに脳のエネルギー源になるというメリットがあります。ただし一度に甘いものをたくさん食べすぎると、一気に血糖値が跳ね上がります。そうすると、インスリンが大量に分泌され、そのあと、今度は急激に血糖値が下がってしまいます。つまり、せっかくブドウ糖を補給しても、結果的には、逆に低血糖になってしまうのです。

それでは、脳にブドウ糖がいきわたり、それを利用する間もなく、脳のエネルギーはすぐに尽きてしまいます。それに、大量に甘いものを一度に食べると、若年性糖尿病になってしまう恐れもあります。これは治すことは難しく、ずっとつきあっていかなければならない重病です。

このような状態を防ぐためには、簡単な注意をすれば済みます。たとえば、甘いものを一度にたくさん食べずに、たとえばチョコレートを少しだけ食べて糖分を補給したり、あるいは、カテキンが含まれる緑茶や、野菜などの食物繊維(青汁も非常に効果的です)と一緒に食べることです。

カテキンや食物繊維は、腸の中でブドウ糖をからめとってくれる特徴があります。そのため、糖分をとっても、一気に血糖値が上がらないようにしてくれるという働きをしてくれます。そして、糖分をとっても一気に血糖値が上がらないようにしてくれるという働きもしてくれます。

緑茶と甘いものの組み合わせは、虫歯も予防してくれますし、ストレスを緩和する効果のあるビタミンCも同時に接種できます。甘いものも、一緒にとる飲み物もよく考えておやつにすれば、脳へのエネルギーとして働いてくれますし、肥満も防いでくれます。

ここまでは、おやつとして糖分をとる方法をご紹介しましたが、あくまでおやつは間食です。やはり重要なのは、朝食、昼食、夕食という三度の食事からどのように効率的に炭水化物をとるか、ということです。また、三度の食事から摂取する方が、炭水化物をとることによる血糖値の上昇の仕方も緩やかにすることができます。

炭水化物は、食べ物を口に入れると、まず唾液によって分解されます。そして、徐々に変化しながら、最終的には小腸内で、ブドウ糖にまで分解されていきます。炭水化物が分解されて、ブドウ糖になるまでにはある程度時間がかかります。そのため、直接甘いお菓子で糖分をとるよりも、一気に血糖値が上がることなく、脳にエネルギーを与えてくれます。それだけでなく、「腹持ちがよい」というメリットも得られます。

食事の形で炭水化物をとれば、次の食事までの数時間は、何も食べなくてもブドウ糖を効率的に使うことができます。このように食事によって炭水化物をとることは、模試やテスト、入試にも役に立ちます。これから模試の回数も増えてきますし、長時間拘束される夏期講習も始まります。朝食や、昼食のお弁当は、カロリーメイトなどですますのではなく、できるだけ白米を中心とした炭水化物をメインに、バランスよくとることの方が効率がよいのです。

頭を働かせるためには、必ず朝食をとろう

頭を働かせるためには、かならず朝食を食べることを習慣づけましょう。最近は、塾や宿題で夜寝るのが遅くなり、ぎりぎりまで寝ていて小学校に行くため、朝食をとらないお子さんが増えていますが、これからの時期、それは禁物です。朝食をとらないために、普通に学校生活を送っているのに貧血を起こして保健室に担ぎ込まれる生徒さんも少なくありません。もしこれが入試当日だったらどうでしょうか。これまで頑張ってきたのに実力を発揮できないでしょう。そうなっては本末転倒です。

睡眠中は食事を採っていませんから、前の晩に食べた夕食から、次の朝食までの間に、脳へのエネルギー源が残り少なくなっているか、すでに足りなくなっています。ですから、朝起きたら、お子さんのリズムに合わせてでもよいので、できるだけすみやかに炭水化物を中心とした朝食をとることをおススメします。朝食をとらないと、先ほどのように貧血を起こしたり、脳が働かず、勉強の効率も下がってしまいます。

受験生にとっては、まず、朝食でしっかりたんぱく質をとることが、その日1日の勉強の出発点だと思ってください。学習スケジュールるを立てる際には、必ず食事をとる時間をしっかり確保するようにしましょう。

このように、脳がしっかり働いてくれるために絶対に欠かせないブドウ糖ですが、ブドウ糖だけたくさんとっていても、エネルギー源にはならないことをご存知でしょうか。ビタミンB1を一緒に接種することによって、ブドウ糖が脳へのエネルギーとしてしっかり働くための土台作りをする必要があります、

ビタミンB1は、糖質や資質を代謝するときに活躍する酵素を支援する「補酵素」の役割を果たします。少し難しい言葉ですが、脳にエネルギーを送り込むための縁の下の力持ちのような存在です。

ビタミンB1を摂ることで、脳へのエネルギー量がアップ!

ビタミンB1は、先ほども書いたように、ブドウ糖とセットでとることによって、より脳へのエネルギー量をアップしてくれる存在です。このビタミンB1が不足すると、いくらブドウ糖をたくさん摂取しても、それをエネルギー源として使うことができなくなってしまいます。

そうすると、疲れやすくなったり、倦怠感を感じたり、いやゆる勉強に対する「やる気」が減退してしまうことになりがちです。原因は、疲労物質が全身にたまってしまい、勉強への活力がわいてこない点にあります。これがひどくなると、日常生活を送る上でも支障が出てしまうことがあります。

ビタミンB1は豚肉に多く含まれることで有名です。手に入りやすいので、日々の主菜に取り入れるのには最適ですね。ほかにもビタミンB1を含む、手軽に手に入れられる食材としては、ゴマ、アーモンド、カシューナッツ、牛乳、大豆、大豆製品(納豆など)があります。ほかにもたくさんありますが、日常のなかで気軽にとれるものを活用していただけると、食事を用意する保護者の方にとっても手軽に用意できるのではないでしょうか。

糖質の効率な接種、ビタミンB1以外にも、ビタミB2や、コエンザイムQ10(化粧品などでもおなじみですね)も関係しています。もし、食事でとるのが難しい場合は、こういった成分の入ったサプリメントを上手に活用していくこともオススメです。

特にビタミンB群は、すべてお互いに助け合って効果を高める関係にあるので、もしサプリメントでとる場合には、ビタミンB群すべてを含んだものを摂取すると効果的です。いわゆるmマルチビタミン・ミネラルといったサプリメントなどです。

ただし、サプリメントは、もちろん効き目もありますが、それだけに頼るのは危険です。ビタミンは特に、サプリメントではすぐに排出されてしまいます。また、お腹がすいては戦はできません。日々の食事で栄養をとり1週間単位などで栄養素が足りないな・・・と感じた場合に、補助的に使うようにすることをおススメします。

ブドウ糖とビタミンB1は、脳が働くために、最低限必要な栄養素です。いわば体を作る栄養素の土台となるものです。この土台の上に、さらに脳を活性化させる栄養素がいくつもあります。これらをバランスよく食事でとり入れていくことが大切です。たとえば、以下のようなものがあります。

  • タンパク質
  • DHAやEHA
  • カルシウムとマグネシウム
  • レシチン
  • 鉄分

 頭の細胞を作るのに欠かせないタンパク質や鉄分

脳細胞を作るおおもととなるのが「タンパク質」です。脳細胞(ニューロン)それ自体や、セロトニンやドーパミンといった「神経伝達物質」は、タンパク質でできています。タンパク質が不足すると脳の機能が衰えてしまいます。

タンパク質には動物性タンパク質と植物性タンパク質とがあり、肉、魚、卵、大豆製品に多く含まれていることは皆さんよくご存じだと思います。タンパク質は脳細胞を作るだけではなく、神経伝達物質の合成を促し、脳を活性化する働きがあります。

毎日の食事に取り入れる際には、いわゆる「主菜」として、メインのおかずにするのが一番よいでしょう。お子さんの食欲や、食事をとる時間、消化などを考えて、スタミナがつくものを作ってあげるとよいでしょう。

肉類から摂取するのでもいいですが、青魚から摂取すると、よりアミノ酸価が高いのでオススメです。また、納豆と白米の組み合わせは、お互いに不足しているアミノ酸を補足しあうので、一緒にとると、栄養価の高いタンパク源となります。

たとえば、青魚にはタンパク質のほかにも、大脳皮質を刺激して集中力や思考力、記憶力を高めるDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含んでいます。また、大豆製品は神経伝達物質のもととなるチロシンとレシチンを含んでいます。

このように、タンパク質には、動物性のものにも、植物性のものにも、さらにプラスするとより効果が発揮される栄養素があります。

DHAはイワシ、鯖、さんま、ぶり、にしん、まぐろのトロなどの魚類の他、ココア、チョコレートにも含まれています。塾弁はサッと食べられるメニューが良いので、青魚をフライにしてあげたり、ゆで卵を持たせるのも良いですね。

ひじきと大豆の煮ものを混ぜご飯にしたり、小魚とアーモンドのお菓子、ココアをお弁当に添えて持たせるのも良いでしょう。

鉄分は、赤血球に含まれているヘモグロビンの原料になります。鉄分が不足すると、貧血になるとよく言われますよね。鉄分が不足すると、酸素を運搬するヘモグロビンが減少します。すると、脳に運ばれる酸素の量が減ってしまうので、脳の働きが鈍ることになります。

鉄分は、ゴマやアーモンド、カシューナッツなどに多く含まれています。なお、緑茶やコーヒーに含まれる「タンニン」を一緒にとると、腸内での鉄分の吸収が阻害されてしまうので、摂取するときには、緑茶やコーヒーを飲む時間をすこしずらすように工夫しましょう。

 DHAやEPAを摂る

 DHA(ドコサヘキサエン酸)と、EPA(エイコサペンタエン酸=IPA)は、青魚に多く含まれていることで知られています。最近ではサプリメントも多く出ていますよね。

DHAやEPAは、人間の体内では作ることのできない不飽和脂肪酸の一種です。不飽和脂肪酸の中でも、nー3系(オメガ3)に当たります。オメガ3は、亜麻仁油などにも含まれていますが、単なる脂ではなく、血流をよくする効果があります。

いろいろな実験から、DHAとEPAには脳の血流をよくし、頭の回転を高める効果があることが知られています。おとなにとっても、生活習慣病予防に効果があるとして人気が集まっています。受験生であるお子さんにとっても,DHAやEPAをしっかりとることは、脳の働きをよくするためによい方法です。

青魚など、手に入りやすい食材で料理を作ることができるので、受験生の食事としては、手軽に、毎晩のように主菜として青魚を食べることは非常に栄養的にもよいことです。調理次第で、苦手意識のあるお子さんにとっても、克服できる食材の一つです。

生の青魚だけではなく、時間がないときは、サンマなどの缶詰を買ってきて一品添えたり、お刺身をスーパーで買ってきてもよいでしょう。もし外食をするときには、回転ずしなどで、青魚や赤身の魚を食べるのも、栄養的にも、気分転換としてもよいですね。DHAとEPAは、αリノレン酸がもとになって体内で合成されます。そのためαリノレン酸を含む食材を摂っても、同様の効果があります。たとえば、クルミにαリノレン酸は含まれています。

DHAが多く含まれている食材は、はイワシ、鯖、さんま、ぶり、にしんなどの青魚のほか、まぐろの赤身やトロなどの魚類です。そのほかにも、ココアやチョコレートにも含まれています。

毎日の夕食を塾でとる、いわゆる塾弁を持っていかれるお子さんには、食べやすいものを入れてあげると、塾での短い食事時間でもしっかり栄養をとることができるので、メニューに一工夫してあげるとよいでしょう。たとえば、青魚をフライにしてあげたり、ゆで卵を1つ持たせてあげるのも手軽な一品としてよいですね。おとなの夕食にも最適です。

その他、ひじきと大豆の煮ものを混ぜご飯にしたり、小魚とアーモンドのお菓子や、ココアをお弁当に添えて持たせてあげるのもおすすめです。家庭学習の休憩時間にココアとちょっとしたお菓子を出してあげるとホッとしますし、また力もわいてきます。

DHAやEPAをしっかりとることのできるお手軽メニューを紹介しておきましょう。

  • 青魚のフライ
  • さんまのかば焼きどんぶり
  • 卵焼き、ゆで卵など簡単な卵料理
  • 大豆やひじきの煮物
  • アーモンドカル(アーモンドと乾燥小魚を混ぜたお菓子)
  • ココア
  • きな粉(大豆の粉なので、お持ちにまぶしておやつにしたり、納豆に混ぜてもOK)

そのほかの必須栄養素もバランスよくとろう

ブドウ糖、ビタミン、タンパク質など、お子さんの体と脳を作るのに必須の栄養素をご紹介してきましたが、そのほかにも、バランスよくいろいろな栄養素をとることが望ましいです。

神経伝達物質の原料となる「チロシン」

 「チロシン」は、脳内のネットワークを作っている神経伝達物質の原料になる栄養素です。思考力や集中力を高めてくれる働きがあります。
しらす、チーズ、大豆、タケノコ、たらこなどに多く含まれています。これらの食材を使って、思考力や集中力を高めてくれる食事を作ってあげるのもよいですね。たとえば、このような食事は、手軽に作ることができて、お弁当にも入れやすいです。
  • しらす入りおにぎり、しらすと大葉の混ぜご飯
  • たらこ入りおにぎり
  • 大豆の煮物、鶏の手羽元と大豆の醤油煮(夏はポン酢で煮てもおいしいです)
  • チーズやハム、野菜のサンドイッチ、ピザトースト
  • タケノコの煮物、タケノコご飯

他の食材と組み合わせてもいろいろなメニューができます。チーズなどは、おやつ替わりにしてもよいですね。

神経伝達物質を合成する亜鉛

亜鉛は、神経伝達物質を合成してくれる働きがあるので、脳を活性化するために欠かせない栄養素です。多く含まれているのは、牡蠣、うなぎ、雑穀、玄米などです。

牡蠣はアレルギーやあたってしまうこともあるので、夏場の受験生の食事にはあまりオススメしませんが、そのほかの食材はぜひ積極的にとりたい食材です。たとえば、主食を雑穀入りご飯や玄米ご飯にしてみるなどは、簡単にできるでしょう。

なれていない場合は、少しずつ割合を増やしていくようにするといいですね。塾のお弁当にもっていく場合は、雑穀米や玄米をおにぎりにして、梅干しなどを中に入れてあげると食べやすいですし手軽に栄養をとることができます。

また、最近高騰が続くうなぎですが、あまりとりすぎると脂もあるので、たまに取り入れてあげるとよいでしょう。夏場でしたら、うなぎときゅうり、卵のちらし寿司などは、うなぎ1枚で家族で十分おいしく食べられるのでオススメです。ラップで包んで、うなぎのてまりずしなどもお弁当には食べやすくてオススメです。

うなぎは、脳のブドウ糖代謝に欠かせないビタミンB1豊富に含まれています。ビタミンB1は中枢神経や末梢神経の働きを正常に保ってくれる重要なビタミンでもあります。最近手に入りにくくなっていますが、夏にぴったりの食材ですので、たまのごちそうに作ってあげるとお子さんも喜びますよ。

神経伝達物質の原料となるレシチン

そのほか「レシチン」も、頭をよくする栄養素としてオススメです。レシチンはリン脂質のことで、脳の神経細胞をつくる要素として欠かせないものです。

レシチンは、納豆や豆腐といった大豆製品に多く含まれています。レシチンをサプリメントでとることもできますが、納豆や豆腐、大豆は比較的手に入りやすい食材ですので、できるだけ自然の食材からとったほうが、栄養素の吸収面から考えても健康的です。

レシチンも、より多くとることによって、記憶力が高まるということが研究の結果知られています。受験生にとっては、記憶力を養成することはとても重要ですよね。レシチンをしっかりとることによって、記憶に関係のあるアセチルコリンという神経伝達物質の合成を促す働きがあるからです。大豆は、頭が良くなる食材と言われています。アメリカでは、大学で飛び級した学生は毎日納豆を食べていたという例もあります。

大豆は畑の肉とも呼ばれ、タンパク源としても摂取をすることをオススメします。納豆ご飯などは、理想的な食事ですね。朝食にもよいですし、夕食に食べても効果的です。どれも手軽に手に入る材料ですので、学習能力を向上させるためにも、できるだけ毎日大豆や豆製品をとるとよいでしょう。

このような形で日々の食事に取り入れてはいかがでしょうか。

  • 納豆ご飯
  • 豚バラ肉と大豆の煮物
  • 大豆と人参、こんぶの煮物
  • 豆乳入りの卵焼き
  • 豚肉のみそ焼き
  • 高野豆腐の煮物(鶏肉や根菜類と一緒に煮ものにすると食べやすいです)

カルシウムとマグネシウムもしっかりとろう

カルシウムとマグネシウムなどのミネラルをしっかりとることも、受験生の食事には欠かせません。カルシウムが不足すると、脳内の神経伝達がうまくいかなくなり、イライラ感が増してしまい、勉強に集中できなくなってしまいます。反対に、カルシウムを積極的にとることによって、イライラ感がおさまってきて、勉強に集中できるようになります。マグネシウムにも同様の効果があります。

カルシウムとマグネシウムを、2:1の関係で摂取したとき、カルシウムの吸収は最大限にになるといわれています。カルシウムは、牛乳で摂ると吸収率が高くなります。またカルシウムやマグネシウムは、先ほど挙げたゴマやアーモンド、大豆製品に多く含まれています。毎晩、納豆を食事に加えるといいですね。毎日同じだと飽きますので、キムチを入れたり、薬味を加えてみたりして味を変えてあげると飽きずに食べることができます。

カルシウムの吸収について注意が必要なのが、インスタントラーメンやファーストフードの食べすぎです。インスタントラーメンやファーストフードに多く含まれるリンをとりすぎると、カルシウムの吸収が阻害されてしまい、受験のストレスにつながりますので注意が必要です。また、これらの食べ物は、カロリーは高いものの栄養価は高くありません。たまにおやつ程度に食べるならよいですが、三度の食事にこのような食べ物を与えるのはオススメできません。

水分をしっかりとることもとても大切

ここまで、受験生の日々の食事に摂取したい栄養素や食材をご紹介してきましたが、忘れてはいけないものがあります。それは、「水分」です。

受験生の頭の中はいつもフル回転状態です。そのような頭の働きをスムーズにしてくれるのが水分です。脳は血流が多いので、活動すればするほど、血液はサラサラからドロドロになってしまいやすいので、適度に水分をとることはとても重要なことです。

頭の血管が詰まってしまうと、脳卒中などの重大な病気の原因ともなりますので気をつけたいですね。子供にも水分は忘れずに持たせてあげましょう。

連日非常な猛暑が続いていますが、このようなときには、「どのような水分をとるか」ということも気をつけたいポイントです。水やお茶はもちろんカロリーも低く、食事とも合うのでオススメですが、熱中症対策として、それとは別に、ポカリスエットや経口保水薬を持たせてあげるとよいでしょう。

塾の夏期講習では、それこそ受験生は頭から湯気を出すように勉強しています。また、一つの教室に多くの人数がいるので、熱気もかなりのものです。そして、塾によっては授業中に水分をとらせない、というところもありますが、この猛暑では、命の危険にもつながりかねません。

塾に対しても、お弁当の時間以外にこまめに水分をとることをあらかじめ伝えておきましょう。勉強に集中することはとても大切ですが、お子さんはそれまで元気だったのに急に体調を崩すことが多いです。せっかく勉強していて体調を崩していては元も子もありません。ぜひ塾の先生にご相談されてみてください。

また、甘いジュースや炭酸飲料は、かえってのどが渇き、勉強に集中できないばかりか、血液をドロドロにしてしまうので、この時期あまりたくさん飲むことは控えることをオススメします。

食事のリズムにも気を配ろう

塾から遅くに帰ってくると、お子さんもお腹がすいているのではないかと思います。ですが、夜食も、その日の食事全体をみて必要かそうでないか、また、どのようなものをどのような量で出すか判断することが必要です。

夜食が習慣になってしまうと、その日最後に食事をとる時間が遅くなり、消火に時間がかかるため、翌朝食欲がないということになりかねません。また、その分家庭学習の時間がより遅い時間までかかってしまうこともあります。

この習慣が入試直前まで続いてしまうと、食事と睡眠のリズムが崩れてしまい、入試本番にも影響しかねません。

これを防ぐためには、まずは朝起きたら朝食をしっかりとるという習慣をしっかり確立しましょう。毎日朝食をとることによって、朝型の生活リズムが定着します。1日の初めに、しっかりと食事をとることによって、睡眠時に低くなっていた体温が上がり始めるので、また体温の下がる夜に速やかに寝付けるようになります。規則正しい生活リズムをつくるためには、毎朝朝食をとる習慣がとても重要なポイントになるのです。

また、一度にあまり食べ過ぎてしまうと、その後しばらくは頭が働かなくなります。胃腸のほうに血流が集中してしまうので、脳の方の血流が鈍くなってしまうのです。ですから、食事は、つねに「腹八分目」を心がけましょう。大人でも、よく「腹八分目でおさえておくと翌朝が楽」という経験をしますので。お子さんも同じです。腹八分にして、頭への血流を十分にしてあげれば、食事をしたあとに、すぐに勉強に取り掛かることができます

最近多いのですが、1日2食にしたり、スタイルを気にして断食をするお子さんもいらっしゃいます。これは、成長期のお子さんにとっては絶対にやめるべきことです。頭の働きを支えてくれるブドウ糖が決定的に不足するので、脳の働きが鈍ってしまいます。ブドウ糖を不足させた「つけ」は、あとから反動として返ってきます。

そうならないために、「極端」なことは避け、1日に3食の食事を規則正しくとっていきましょう。もし食欲がない場合は、食べられるものだけでもよいですし、これからさらに暑さが増してくるので、保護者の方がお子さんの様子をよく観察して、必要な栄養をしっかり取らせてあげるようにしていただきたいと思います。

まとめ

今回は、中学受験生に必要な栄養や食事についてまとめました。一口に受験生の食事といっても、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維や水分など、バランスよく栄養をとる必要があることがお分かりいただけたのではないかと思います。特別なことをする必要はありません。日々家族でたべている、普通の食事を三度きちんととっていれば、自然と栄養バランスの取れた体が作られていきます。

特にこれからの時期、毎日のように夏期講習用の塾弁づくりが待っていると思いますが、今日の主食はこれ、主菜はこれ、あとは昨日作った煮物を詰めて・・・といったように、頑張りすぎる必要はありません。それよりも、お子さんが勉強中にほっとするような時間を過ごせるように、いつもの味を作って持たせてあげるとよいですね。

いろいろな食材や栄養素をご紹介してきました。すべての食材に対して言えることですが、時間をかけて「よく噛む」ことによって、消化・吸収が活発になり、より確実に栄養素を取り込むことができます。

よく噛むことは、脳の働きを活発にしてくれます。記憶を司る海馬の働きが向上することが知られているので、記憶力が向上するよいきっかけになります。よく噛むということは、「リズミカルな運動」によって、気持ちを落ち着かせるセロトニンという神経伝達物質の分泌にも大きく関係します。

より本格化していく受験勉強を効率的に進めていくためにも、お子さんが気持ちを落ち着けて勉強をすることがとても大切になってきます。

今回ご紹介したことを参考にしていただいて、保護者の方も無理せず、お子さんの体と脳の力を作り上げていくような栄養バランスの良い食事を作ってあげて、受験生をサポートしてあげてくださいね。

おわりに

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。