受験生の皆さんは、すでに1月に志望校合格を果たしていらっしゃる方、2月校の入試に向けて最後の追い込みを頑張っていらっしゃる方、この時期いろいろな状況にあると思います。
2月の入試が本命だという方は、最後まであきらめずに、自分のこれまでやってきたことを信じて、難しいことばかりでなく、基本に戻って弱点が残っていないか、忘れてしまっている知識がないか、復習とこれまで学習したことのやり直しを頑張ってほしいと思います。
すでに進学先が決まっている方は、これからの中学生活に期待する気持ちと不安な気持ちが半々という状態ではないでしょうか。また、受験を終えて、小学校卒業まで最後の思い出を作ろうと毎日全力でこれまでできなかったことを楽しんでいらっしゃるでしょうか。
本番まであと少しの方も、勉強の合間に、中学校に入ったらどんな生活が待っているかな、と楽しいことを考えて緊張感に打ち勝ってください。
今回は、中学に入学してから、子どもが初めて1人で海外に行った経験について書きたいと思います。家族で海外旅行に行かれた経験のある方も多いのではないかと思いますが、子どもが1人で行くとなると、本人の気持ちも親の気持ちも全く違います。受験勉強の合間に、入学後にはこんなことも待っているんだ、ということをかいま見ていただけたらと思います。
Contents
中学に入ってはじめての単身海外留学経験
中学に入学後の夏休みに、息子が学校行事の一環として、3週間にわたってニュージーランドの現地校でのプログラムを受けて帰ってきました。最近は、多くの中学校で短期留学制度が合ったり、学校行事で海外に研修旅行にいったりすることが行われています。
それだけなら普通・・・なのですが、中学生男子が1人で海外に行ってホームステイをしてきたら?家族旅行とは全く違う、予測不可能なことがいろいろありました。ホームステイや短期留学について、中学に入って初めて知ったこともありました。
学校行事の旅行や研修は、必須のものと選択制のものがある
息子が通っている中学校では、年に2回ずつ、研修旅行のような行事があります。そのうち1回は、全生徒がまとまって参加する冬のスキー合宿です。1週間程度にわたってスキーの特訓を受けてくるというものです。もともと、わが家では、スキーやスノーボードには家族で毎年のように行っていたので、息子もこのスキー学習を毎年楽しみにしています。
全員参加なので、中には一度もスキーをしたことがない生徒さんもいるのですが、中1のときは初心者で震えながら参加していた生徒さんも、中3になるころには特訓の成果が出てきて、かなり上手になるみたいです。
そしてもう1回は、学年によって異なるのですが、昨年はキャンプ、今年は初めて選択式の研修、3週間のニュージーランド短期留学に行ってきました。今年の学年研修では4箇所行き先が選べるのですが、そのうちの一つが唯一の海外、ニュージーランドです。その他3箇所は、北海道でファームステイするなど、こちらも日本のどこかで、普段経験しないような研修を受けるようなプログラムになっています。
ニュージーランドは唯一の海外研修先ということもあり、比較的希望者が多いようで、ニュージーランド研修の希望者が多い年には、英語のテストによる選抜があるのですが、息子の学年ではそのような選抜テストはありませんでした。同級生で、ニュージーランド研修を希望したのは学年でちょうど4分の1程度でした。4箇所の研修の行き先に行く人数がそれぞれ同じくらいになるように、学校側が割り振りを行って最終的な行き先が決まります。
研修ということで、学校行事ですので、学校からも先生が2名ほど引率についてくださいました。また、偶然ですが、お世話になった旅行会社の方が息子の通う中学、高校、系列大学を卒業したOBで、同じニュージーランド研修を中学時代に経験していたということがあったので、親としては安心して送り出すことができたと思います。
そうはいっても、現地に行ったら、各自異なるホームステイ先にお世話になるので、何から何まで至れり尽せりすぎないという感じで、ちょうど良かったと思います。
ニュージーランド研修費用は年間学費とは別に必要
ニュージーランド研修にかかる費用は、年間の学費とは別に払い込まなければならず、息子の学校の場合は、約50万円~60万円程度でした(年によって、その年に参加する人数や、海外に行く際に入る保険の種類によって異なるようです)。全員がニュージーランドに行くわけではないので、かかる費用に差が出るのは当たり前といえば当たり前なのですが、他の3箇所の国内の研修にかかる費用は、年間の学費の中に含まれているので、お金を出す側の親としてはびっくりしました。
海外研修を希望されるご家庭も多いと思いますが、研修の費用が学費に含まれているのか、別ならどの程度かかるのか、といったあたりのことも、学校説明会に行ったり、問い合わせをするなどして、入学前に調べておいた方が後々のために良いと思います。中学受験にはお金の問題はつきものです。
わが家の場合は、自業自得ではあるのですが、学校で事前に行われた研修旅行の説明会に、親が仕事の予定が重なって参加していませんでした。さらに、息子もニュージーランド研修のプリントを学校でもらってきたのに、私に渡していなかったのです。このようなことが重なり、いきなり送付されてきた振込用紙だけ見るはめになり、衝撃を受けたのです。中学校に入っても、親子の間のコミュニケーションや提出物などのチェックはある程度必要だな、と痛感しました。
ホームステイ先はドイツ人のご家庭だった
ホームステイは1人でするか、2人でするかを選択することができました。息子は1人でのホームステイを希望しており、私もその方が良いと思っていました。わが家の場合は、父親が外国人ですので、家庭内では日本語と英語が飛び交っている環境です。そのため、ニュージーランドは英語圏だし、ホームステイ先では1人でも、多少慣れない英語の言い回しが聞き取りにくい程度ですむのではないかな、と想定していました。
学校からも、そういったわが家の家庭環境から、息子は大丈夫と思われたのか、1人でのホームステイになりました。ですが、びっくりしたことに、何とホームステイ先はドイツ人ご夫婦とそのお子さんたちのご家庭だったのです。送り出す以上、当然、事前に学校からホームステイ先のご家庭の情報はいただくのですが、英語圏に住んでいる方は、ドイツ系、フランス系の方も少なくなく、名前はドイツ系だけどずっとニュージーランドに住んでいるご家庭なのかな、と思っていました。
そのため、ドイツ系のご家庭といっても、単純にかなり前の代からニュージーランドに住んでいらっしゃるのかなと思っていたのですが、ふたを開けてみたら、ニュージーランド滞在歴がたった6年というご家庭だったのです。これにはびっくりしました。ドイツにホームステイするのと同じ、と思うと、さすがに少し不安になりました。
Wi-Fiなし、連絡は取れない環境
それ以外にも想定外のことはありました。わが家では、息子に携帯をもたせていないので、同級生のご家庭では、携帯の国際ローミングなどを手配されていましたが、わが家ではそのようなことは全く頭にありませんでした。いつももっている、iPod touchだけ持たせ、ホームステイ先でWi-Fiに繋がせてもらうという算段で送り出したのですが、なんと息子が出発してから、ホームステイ先にWi-Fiがないということが判明したのです。
日本を出て4日後くらいだったでしょうか、息子から「ホームステイ先の家にWi-Fiがない」「ホストファミリーがドイツ語で話していて、会話の内容がよく分からない」と、自分でどこかのフリーのWi-Fiを何とか拾ってLINEが送られてきたのです。
最初から想定外続きの初めてのホームステイ
行き先は英語圏のニュージーランドだけれども、ホストファミリーはドイツ人のご家庭、日常会話はドイツ語、しかもWi-Fiがなく、連絡手段もない・・・まあ何とかなるだろうと送り出したニュージーランド研修でしたが、最初から想定外の出来事が目白押しでした。
こういうことがあると、話が違う!とクレームを入れるご家庭もあるかもしれませんが、「これも人生勉強になるよね・・・」という、息子の心細さが伝わってくるLINEのメッセージをみて、私はしめしめ、と思ってしまいました。想定外のことが起こったときにどう行動できるかもひとつの人生勉強、息子がそれに気づいたことは大きな収穫だと思ったからです。
次回の記事では、ニュージーランドの現地校のようすや、日々のドイツ語ホストファミリーとのコミュニケーションをどうとって研修を乗り切ってきたのかについて書きたいと思います。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。