化学反応の量的関係  ~化学反応が起こるとき,反応に使われる物質の量を計算できるようにしよう~

 実験などで化学反応を起こしたいとき,目的に応じて使用する物質の量は最低限に抑えなければなりません。

また,反応によって欲しい物質が発生するときや,危険な物質が発生する場合,どのくらいの量が発生するかを知っておくことが好ましいでしょう。

このように,化学反応で使われる物質の量や発生する物質の量を知ることは様々な面で重要になってきます。

そして実際に化学反応で何が起こるかが分かっていれば,そのとき消費する物質の量と生成する物質の量は実際に計算することができるのです。

ここでは,化学反応に関わる物質の量について解説していきます。

化学反応と量

 化学反応には様々なものがあります。例えば,炭素が燃えると,酸素と結びついて二酸化炭素が生成したり,塩酸と水酸化ナトリウムが反応して水と塩化ナトリウムができたりします。

また水素と酸素が反応すると水ができます。

これらの多くは「化学反応式」を使って表すことができます。例えば上の例を化学反応式を使って表すと次のようになります(ここではこの化学反応式を覚えておく必要はありません,あくまで紹介です)。

C+O2→CO2 (C:炭素,O2:酸素,CO2:二酸化炭素)

HCl + NaOH → H2O + NaCl(HCl:塩酸(正しくは塩化水素),NaOH(水酸化ナトリウム),H2O:水,NaCl:塩化ナトリウム)

2H2 + O2 → 2H2O(H2:水素,O2:酸素,H2O:水)

1つ目の化学反応式は,1つの炭素と1つの酸素が反応して1つの二酸化炭素ができることを意味しています。

2つ目の化学反応式は,1つの塩化水素と1つの水酸化ナトリウムが反応して,1つの水と1つの塩化ナトリウムができることを意味しています。

3つ目の化学反応式は,2つの水素と1つの酸素が反応して,2つの水ができることを意味しています。

つまり,化学反応式さえ書くことができれば,何個の物質が反応して,何個の物質ができるかがわかります。

しかし,目の前にある物質が何個あるかなんてわかりませんね。

高校生になれば個数を計算できるようになるのですが,それは一旦置いておきましょう。

液体や気体が反応する場合はなおさらです。

さてどうすればいいでしょうか。

ここで利用できるのが,物質の「重さ」です。

次に化学反応と重さの関係について紹介していきます。

化学反応と重さ

 化学反応に関係する物質の量を考えるとき,個数で考えるのは少し無理がありそうだということを確認しました。ここで役に立つのが物質の「重さ」です。

実は化学反応で使われる物質と発生する物質の重さの比は一定になっています。

例えば,銅と酸素が反応すると酸化銅ができますが,反応する銅と酸素の重さの比は必ず4:1になっています。

そして,さらにそこでできる酸化銅の重さも含めると,先ほどの比で酸化銅は5の重さをもちます。

つまり,「反応する銅の重さ:反応する酸素の重さ:できる酸化銅の重さ=4:1:5」ということです。

つまり,4 gの銅がすべて酸素と反応して酸化銅ができる反応が起きるとき,使われる酸素は1 gで,できる酸化銅の重さは5 gになります。

ここでもし12 g(4 gの3倍)の銅をすべて酸素と反応させて酸化銅を作ろうとすると,反応に必要な酸素は3 g(1×3)ですし,できる酸化銅は15 g(5×3)になるのです。

このことを利用して,反応に関与する物質の量を計算することができます。

例えば,まず少しの物質を反応させて,その重さの変化などを調べることで,反応させた物質がどのくらいの重さの分減って,できた物質がどのくらいの重さかを調べます。

それさえ分かってしまえば,同じ反応をさせるときは,反応させたい物質の重さや発生させたい物質の重さに応じてそれぞれの重さの比の数を倍にすればいいのです。

過不足のある反応

化学反応に関係する物質の量は,その重さの比を利用して計算できることが分かりました。

しかし,その場にある物質の量が,反応するだけぴったりの分とは限りません。

ほとんどの場合はどれかの物質が必要な分より多くあるものです。

上で挙げた銅と酸素,酸化銅の例でいえば,銅を空気中で反応させた場合,酸素がほぼ無限にあるようなものですよね。

ここで酸素が2gしかない場所があるとしましょう。

そこへ銅を10 g入れて,酸化銅へ変化させる反応を起こすことを考えてみましょう。

ここで反応に必要な銅と酸素の重さの比は4:1です。

つまり,酸素2 gと反応する銅の物質は8 gということになります。

酸素が2 gしかない場合,反応できる銅は8 gだけであって,残りの2 gは反応せずに残ることになるのです。

このように,ほとんどの場合何かの物質が残る場合が多いです。

反応する量を考えるときは,残る物質があるかもしれないということを頭においておき,反応する物質ごとに,「この物質のこの重さが反応しきるためには他の物質はどの重さ必要か」を考えるようにしましょう。

まとめ

化学反応において,反応する物質と発生する物質の間の重さの比は一定

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