食塩水の問題の公式を使わない解き方!面積図とてんびん図で苦手克服しよう

中学受験算数で「食塩水の濃度計算」の問題というのは頻繁に出題されます。

食塩水の問題に限らないことですが、算数の問題は図を利用して考えると、式だけの状態よりもわかりやすくなります。

図の描き方も教える人によって様々ですが、食塩水を混ぜ合わせるときの濃度計算は「2つの食塩水の濃度を平均する」という考え方になるために、平均の面積図を利用するのが一番わかりやすいと思われます。

また、一部の問題集では面積図の代わりにてんびん図を使っていることもあります。てんびん図は、面積図と同じ考え方で解くことができます。

この記事では、食塩水の問題をどう面積図に表すのかということと、面積図を利用した解法面積図をてんびん図に変えるとどうなるのかを紹介していきます。

(なお、面積図とてんびん図の中では比を使って説明しますので、比の概念は理解した前提での解法となります。)

食塩水を面積図でイメージ

当たり前のことですが、食塩水は水に食塩をまぜて作ります。つまり、「水の重さ+食塩の重さ=食塩水全体の重さ」となるのです。

そして食塩水の濃度とは、「食塩水全体の重さに対する食塩の割合」を百分率で表したものになります。文章で書いたものより、図で表したものを見た方がわかりやすいかもしれません。

食塩水を面積図で表す

食塩水を面積図で表すとき、多くの場合は横の長さを全体の重さ、たての長さを割合として考えます。1つの食塩水について溶けている食塩の重さや、必要な水の重さを計算する場合には上のような図をかくとよいでしょう。

食塩水の基本問題

まずは必要な水の重さと食塩の重さを求める問題です。先ほどの面積図を使って解くと、このようになります。

食塩水の例題を面積図で解く

先ほどの面積図に数字を当てはめれば食塩の重さが求められます。水の重さは「水の重さ+食塩の重さ=食塩水全体の重さ」を使いましょう。

では、食塩水の重さと濃度を求めたいときはどうすれば良いのでしょうか。それぞれの問題を見ていきましょう。

面積図で食塩水の濃度や量を求める

長方形の面積が「たて×横」で計算できるのと同じように、「全体の重さ×割合」で食塩の重さを計算します。

全体の重さを求める問題であれば「食塩の重さ÷割合」、濃度を求める問題であれば「食塩の重さ÷全体の重さ」となります。

このとき、割り算は上の図のような分数の形にして応用すると計算が楽になります。これらは公式として暗記するよりも、図の状態で理解しておいた方がわかりやすいです。

また、食塩を含まないただの水であれば濃度は0%、食塩の場合は濃度100%として考えることで、水を加える問題や食塩を加える問題も食塩水を混ぜ合わせる問題と同じように考えていくことができます。

食塩水を混ぜ合わせる問題の図の描き方を次に説明します。

2つの食塩水を混ぜ合わせる問題

食塩水を混ぜ合わせる問題を解くとき、食塩の重さと全体の重さに注目して解きます。そのため、面積図についても食塩の重さを表す長方形だけで考えていく方がわかりやすくなります。

また、食塩水を混ぜ合わせたときの濃度は、2つの食塩水の平均を考えることになります。

平均といっても、往復の平均の速さを求めるときと同様に、「足して2で割る」のは大間違いです。(往復の平均の速さについては、こちらの記事で解説しています。)

次のような面積図をかいて考えましょう。

面積図で食塩水を混ぜる

AとBの2つの食塩水について、それぞれに含まれる食塩の重さを長方形で表すと上のようになります。AとBの高さの平均を考えるとき、平均の上に出ている部分と、平均の下にへこんでいる部分が同じ大きさになります。

同じ大きさの長方形の縦の長さの比と横の長さの比が逆比になることを利用して考えます。(逆比の関係についてはこちらの記事で説明しているので、不安な方は読んでみてください。)

問題
濃度10%の食塩水A 300gと濃度18%の食塩水B 200gを混ぜ合わせてできた食塩水の濃度は何%ですか。
食塩水を混ぜる例題を面積図で解く

【解答】 AとBの食塩の重さの合計→66g、AとBの食塩水全体の重さの合計→500g、濃度→66÷500×100=13.2(%)

【別解】 上の面積図を利用し、平均の上と下の長方形に注目する。横の長さの比が3:2なので、たての長さの比が2:3になる。5⃣=8%なので2⃣=3.2%、平均の高さ(=混ぜ合わせた食塩水の濃度)は、10+3.2=13.2(%)

上の問題のように、2つの食塩水の全体の重さがどちらもわかっている場合には、面積図を使わなくても食塩の重さから計算することもできます。

しかし、次に紹介するような問題の場合には、面積図の考え方を理解しておかなければ解くのは難しいでしょう。

1つの食塩水の重さがわからない問題

2つの食塩水の和がわかっていれば、つるかめ算や消去算のようにして解くことは可能です。しかし、どちらか1つの食塩水の重さがわからない場合には、2つの食塩水の重さの和もわからないということになります。

そのような問題の場合は、平均の面積図(もしくはてんびん図)を利用するのが一番です。

(余談に近い話ですが、食塩水の問題では「□%の食塩水」と言われた場合には「濃度が」という言葉を脳内で補って解きましょう。)

問題
2つの容器AとBにはそれぞれ8%の食塩水と20%の食塩水が入っています。AとBに入っている食塩水を全て混ぜ合わせてできた食塩水の濃度が12%でした。Aに入っていた食塩水が240gだとすると、Bに入っていた食塩水は何gですか。
食塩水の重さがわからない問題

【解答】 上の図のような面積図で考えると、平均の上と下の部分のたての長さの比が1:2になるので、横の長さの比は2:1になる。このとき、2⃣=240gなので1⃣=120g

面積図をかいて考えればとても簡単に解けますが、これを食塩の重さから計算のみで求めようとすると条件が足りずに解けなくなります。(絶対に無理ということはないのですが、そこで無駄に頑張るなら面積図を理解したほうが圧倒的に楽です。)

また、同じ問題をてんびん図で解くと下のようになります。

面積図とてんびん図の比較

てんびん図の場合は、てんびんのうでの位置で濃度を表し、食塩水の重さをおもりとして考えます。釣り合っているところが混ぜ合わせた食塩水の濃度になります。

面積図とは図のかき方が違うだけで、計算する内容自体は全く同じです。うでの長さの比と重さの比が逆比になることを利用して解きます。

全く同じ内容で面積図よりも図が簡単なので、6年生になるとてんびん図で解説をする講師も増えます。

ただ、最初の食塩水の状態を学ぶのは面積図のほうがわかりやすいと思います。混ぜ合わせる問題を一度は面積図で学習してから、面積図をてんびん図に置き換えるとよいでしょう。

(ライター:桂川)

おわりに

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