【神奈川の女子御三家！】フェリス女学院中学校の算数の特徴とは？最新の出題傾向や入試対策方法ついてもご紹介！

フェリス女学院中学校は、神奈川県横浜市中区山手町に所在する、中高一貫の私立女子中学校です。

完全中高一貫校であるため、高校からの募集は行っていません。

また、創立は1870年に遡り、山手町の歴史的景観地区の一角を占めています。

中学・高校校舎の1号館は、横浜市の第3回「横浜・人・まち・デザイン賞」のまちなみ景観部門に選定されています。

今回は、そのようなフェリス女学院中学校の、算数の出題傾向や入試対策方法についてご紹介します！

入試情報

問題構成

フェリス女学院中学校の算数は、試験時間50分に対し大問5問、総設問数15問程度となっています。

大問5問のうち、第1問は複雑な四則混合の計算問題と小問集合の問題、第2問〜第5問は応用問題という問題構成です。

解答形式

フェリス女学院中学校の算数は、問題用紙上に直接解答を記入する形式であることが特徴的です。問題用紙の空欄に解答を記入し、その記述が採点対象となります。また解答に必要な単位も自分で記入する必要があります。

このような解答形式をとっている学校の中でも、桜蔭中や学習院女子中などと同じくらいの大きさの解答欄で、あまり大きさに余裕がありません。そのため、必要な式をコンパクトに整理して記述する必要があります。

第1問の計算問題・小問集合では式・答えのみを書けば良いですが、第2問以降の応用問題では、途中式や考え方を書くことも求められます。

そのため、最終的な答え自体が正しくても、途中式や考え方が十分に記述されていなかった場合、高得点は期待できません。

近年の出題内容

2021年度

2020年度

2019年度

出題傾向

概要

出題傾向

フェリス女学院中学校の算数は、第1問が計算問題と小問集合、第2問以降が応用問題という問題構成です。ここ最近は問題構成の変化が見られず、一定の形式を取っています。

まず計算問題についてですが、内容は四則計算、逆算、計算の工夫など一般的なものです。しかし当校の算数では、式も長く、計算処理に手間がかかる複雑な計算問題が出題されています。

後に続く小問集合は、各単元の基本的な理解を問うような問題がほとんどで、幅広い分野からまんべんなく出題されています。

応用問題は、主に「定型問題をベースとした問題」と「フェリス女学院中でよく出題される特徴的な問題」に分けられます。

まず定型問題をベースとした問題は、各単元の理解を問う典型的な問題で、様々な問題集に掲載されているようなものです。

一方で、フェリス女学院中特有の問題もよく出題されています。フェリス女学院中特有な問題とは、推理を必要とする整数の問題や逆比を利用する問題、近似値と逆算を用いる図形の問題などで、これらの問題はかなり前から出題されています。そのほかには速さ、図形、割合と比、数の性質などが頻出です。

応用問題は難易度高め

フェリス女学院中の算数は応用問題の割合が大きく、他校と比べても難易度の高い問題が出題されています。

かつては合否に関わらないような高度な難問が出題されており、捨て問と取るべき問題の境界が分かりやすい出題でした。しかし、ここ最近は突出して難しい問題は出題されず、ほぼ同程度の難易度の応用問題が並んでいる傾向にあります。

内容

出題分野・出題傾向についての詳細

【頻出分野】

計算

四則計算、逆算、計算の工夫

割合と比

割合と比、濃度、仕事算、ニュートン算、還元算、相当算、売買損益

速さ

速さ、旅人算、通過算、流水算

図形

角度、面積、長さ、体積、表面積、構成、分割、図形・点の移動、表とグラフ

数の性質

約数と倍数、約束記号、文字式、整数、少数、分数

フェリス女学院中学校の算数は、第1問が計算問題と小問集合、第2問以降が応用問題という問題構成になっています。

第1問の計算問題は四則計算、逆算、計算の工夫など一般的な内容のものがほとんどですが、与えられている式も長く、計算処理に手間がかかるような問題です。

小問集合は、各単元の基本的な理解を問うような問題が出題されています。特に特殊算の出題が多く毎年趣向を変えて様々な単元から出題されています。

第2問以降の応用問題は、「定型問題をベースとする問題」と「フェリス女学院中特有の問題」で構成されています。定型問題をベースとする問題は各単元の理解を問うような問題がほとんどで、典型的な解法をマスターしていれば解くことができます。

フェリス女学院中特有の問題とは、①推理を必要とする整数の問題、②逆比を利用する問題、③近似値と逆算を用いる図形の問題です。①推理を必要とする問題は、しばしば場合の数と関連づけて出題されることが多いですが、当校では整数と関連づけて出題されます。このような問題は暁星中や桐朋中、頌栄女子学院中などでも出題されています。

②は逆比を利用して差を考える問題で、定型問題の一種です。③は解く過程で長さや面積などから逆算するような問題や、図形の面積に関する近似値が与えられている問題です。

全体としては速さ、図形、割合と比、数の性質などの問題が頻出です。

速さからは速さ、旅人算、通過算などが、割合と比からは割合と比、濃度、仕事算、ニュートン算、還元算、相当算、売買損益などが、数の性質からは約数と倍数がよく出題されています。図形からは角度、面積、長さ、体積、表面積、構成、分割、図形・点の移動などが出題されるほか、作図の問題なども頻出です。他の学校でよく出題される、面積比や相似比を用いる問題があまり出題されないことも特徴的です。

対策方法

分野別対策法

図形対策

フェリス女学院中学校の算数では、図形の問題がよく出題されています。なかでも図形・点の移動に関する問題がよく出題されています。点の移動の問題はしばしば旅人算や通過算の考え方を必要とする場合があります。合わせて対策しておきましょう。

まずはそれぞれの問題の典型的な解き方や公式を身につけるため、標準的なレベルの問題集をくりかえし解き、定型問題をマスターしましょう。定型問題を一通りマスターしたら過去問研究を行い、実際に出題されている問題の難易度を把握しましょう。

また当校の算数では、受験生に作図を求めるような問題が出題されています。作図の問題は問題集など掲載されている量も少ないため、過去問演習をしっかり行い、出題形式に慣れましょう。

割合と比対策

フェリス女学院中学校の算数では、割合と比の問題が頻出です。なかでもニュートン算の問題がよく出題されます。

割合と比対策も図形対策と同じように、標準的なレベルの問題集をくりかえし解き、定型問題の解法を一通りマスターしましょう。問題集を一通り終えたら過去問研究に移り、応用問題を解く上での実践的な力を身につけましょう。

また特殊算の問題を解く際は、条件が多く、立式だけで解くことが難しい場合があります。普段問題を解くときから図を描いて整理するようにしましょう。

速さ対策

当校の算数では、速さの問題が頻出です。なかでも旅人算や通過算の問題がよく出題されます。まずは標準的なレベルの問題集を繰り返し解き、速さの基本公式や定型問題の解法を理解しましょう。定型問題一通りマスターしたら過去問研究に移りましょう。

旅人算や通過算の問題は、立式だけでは条件を整理できず、図を描いて整理しなければいけない問題がほとんどです。また当校の算数は、問題用紙上に考え方や式を記入する方式なので、採点の際に図もチェックされる可能性があります。普段問題を解くときからきれいに、分かりやすく図を描く練習をしましょう。

計算対策

ここ最近の入試では、毎年大問1で必ず計算問題が出題されています。内容は分数・少数・整数を中心とした四則計算や逆算など、いずれも一般的な出題であるため、必ず満点を目指したい内容となっています。

とはいっても、当校の計算問題は、与えられている計算式が長く、計算処理の分量も多く複雑な問題がほとんどです。そのため計算問題だからといってあなどらず、しっかり対策をすると良いでしょう。

計算問題の対策としては、一度に大量の問題を解くというより、コツコツ少量の問題をこなしていく方が効果的です。計算問題のみを集めた問題集やドリルなども各出版社から発売されているので、自分の好きなものを1冊購入し、毎日3〜5 問程度のペースで進めていくと良いでしょう。

その際、ただがむしゃらに解くというより、入試本番と同じように慎重に解き、解き終えた後も検算をして計算ミスを減らす努力をしましょう。

問題集別対策法

【おすすめの問題集】

『予習シリーズ』 (中学受験の四谷大塚)

四谷大塚や早稲田アカデミーなどを始めとした中学受験大手塾と同じカリキュラムで算数の学習ができるシリーズ。各学年用の教材が出版されており、レベルに合った教材を選ぶことができます。予習シリーズ6年下まで一通り理解すれば中学受験における典型問題は一通りおさえることができます。予習シリーズが終了したら過去問研究に取り組みましょう。

また各ページに数問ずつ計算問題が掲載されているため、計画的に進めていけば、計算問題対策をすることもできます。このシリーズだけで基本〜標準レベルの問題をすべて網羅できる点が魅力的です。

フェリス女学院中学校の算数で頻出の、「旅人算」の定型問題を問題集からピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

【中学受験新演習　算数小6　実力アップ問題集】より

〜旅人算の問題、追いつきの旅人算と比〜

p.31〔6〕

家から学校まで行くのに姉は12分、妹は20分かかります。妹が家を出発してから６分後に、姉が家を出発して、妹を追いかけました。これについて、次の各問いに答えなさい。

⑴姉と妹の速さと比を求めなさい。

⑵姉が妹に追いつくのは、姉が家を出発してから何分後ですか。

【解説】

⑴5:3 ⑵9分後

⑴1/12:1/20=5:3

⑵姉の速さを5、妹の速さを3とすると、姉が出発する時までに妹が進んだ道のりは、3×6=18

姉が妹に追いつくのは、

18÷(5-3)=9(分後)

実際の過去問を解いてみよう！

フェリス女学院中学校中学校の算数では、「計算」、「速さ」、「図形」、「和と差」、「数の性質」などが頻出です。これから、実際に出題された過去問を参考に、入試対策方法をご紹介します。

実際の出題例

(2020年度・第5問より抜粋)

【5】

Aさん、Bさん、Cさん、Xさんの所持金はそれぞれ1600円、3000円、4000円、x円です。AさんとXさんの所持金の差はa円、BさんとXさんの所持金の差はb円、CさんとXさんの所持金の差はc円です。a,b,cはすべて異なる数です。

次の問いに答えなさい。⑴、⑵は下のわくの中から選んで答えなさい。

①a<b<c ②a<c<b ③b<a<c ④b<c<a ⑤c<a<b ⑥c<b<a

(注意)例えば①は、bがaよりも大きく、cよりも小さいことを表しています。

⑴a,b,cの大小関係についてありえないものを、上のわくの中の①〜⑥からすべて選び、その番号を答えなさい。

⑵bとcの和がaの2倍に等しいとき、a,b,cの大小関係として考えられるものを、上のわくの中の①〜⑥からすべて選び、その番号を答えなさい。

⑶bとcの和がaの2倍に等しいとき、Xさんの所持金x円はいくらですか。

【解答】

⑴　②,⑤
⑵　③
⑶　2550円

【解説】

⑴
- xが0〜1600、1600〜2300の間にあるとき→a<b<c, a<c<b
- xが2300〜3000の間にあるとき→b<a<c, a<b<c
- xが3000〜4000の間にあるとき→c<b<a, b<c<a
- よって、②a<c<b⑤c<a<bとはならない。
⑵
- b+c=2aより、aはbとcの平均に相当する。
- よって、a,b,cの大小関係は、b<a<cまたはc<a<b
- ⑴より、⑤はあり得ないので、答えは③のみである。
⑶
- ⑴⑵より、b<a<cであり、このような大小関係になるのは、Xが2300〜3000の間にあるとき
- よって、a=X-A, b=b-X, c=C-Xなので、b+c=2aに代入すると、(b-X)+(C-X)=2(X-A)
- これを整理すると、B+C-2X=2X-2Aより、X=2550
- よって答えは、2550円

【ポイント】

フェリス女学院中学校では、第2問以降で応用問題が出題されています。後半の問題は、前半に比べてグッと難易度が上がるものの、難問・奇問が出題されるわけではありません。
全体的に解きやすい問題が多いため、高得点を目指したい内容となっています。

合格点を取るには？

解答形式に慣れよう

フェリス女学院中学校の算数は、問題用紙上に途中式・考え方を含め解答を記入する形式です。そのため最終的な答え自体が合っていても、式や考え方についての説明が不十分であった場合、高得点を期待することはできません。

普段問題を解くときから途中式や考え方を残すようにしましょう。解答に必要な単位も自分で記述する必要があるので、抜け忘れがないように注意しましょう。

また、問題用紙上に解答を記入する欄もそこまで余裕があるわけではありません。そのため必要な式・説明を取捨選択して整理することが求められます。できるだけコンパクトな記述を心がけましょう。

フェリス女学院中特有の問題は念入りに対策を

フェリス女学院中学校の算数では、①推理を必要とする整数の問題、②逆比を利用する問題、③近似値と逆算を用いる図形の問題がよく出題されています。応用問題は、これらの問題と定型問題をベースにした問題とで構成されている場合が多いです。

これらの問題は昔から出題されていて、過去問研究をすることで十分に対策することができます。時間が許す限り多くの過去問を解き、実際に出題されている問題のパターンを理解しましょう。

時間配分は入念に

当校の算数は、試験時間50分に対し大問数5問、総設問数15問程度となっています。大問5問のうち4問は応用問題となっており、他校と比較しても難易度の高い問題が出題されており、時間にあまり余裕がありません。

また、応用問題は難易度順に並べられているとは限りません。そのため、一つの問題で詰まってしまい、本来解けたはずの問題に手が回らなくなってしまう可能性があります。

試験が始まったらまず問題全体に目を通し、自分の得意分野や解きやすそうな問題から手をつけましょう。試験終了前の5〜10分間は見直しの時間とし、検算をしたり、解答の抜け忘れがないかどうかチェックしましょう。

まとめ

今回は、フェリス女学院中学校の算数入試対策についてご紹介しました。

当校の算数は大問5問、総設問数15問程度で、それぞれ第1問が計算問題・小問集合、第2〜5問が応用問題となっています。

応用問題はかなり難易度の高い問題も出題されていますが、ここ最近は単元についての理解を問うような問題が中心となっています。まずは標準的なレベルの問題集を繰り返し解き、定型問題を一通りマスターしましょう。また、フェリス女学院中特有の問題も出題頻度が高いため、過去問演習を通して問題のパターンを理解することが重要です。

また、当校の算数は試験時間に対し問題数が多く、あまり時間に余裕がないことも特徴的です。時間配分や解く順番に注意しましょう。

算数は全科目の中で一番点差を分ける科目です。算数の点数が合否を分けると言っても過言ではないでしょう。入試本番まで時間は限られていますが、他科目とのバランスを考えつつ、限られた時間の中で優先順位に気をつけながら最大限の対策をしましょう。

参考

福久はな

こんにちは！ライターの福久はなです。
都内の中高一貫校出身で、大学受験を経て東京大学に入学しました。
塾講師や家庭教師のアルバイト経験があり、算数・数学・英語を中心に教えていました。
これらの科目に限らず、中学受験の経験を活かして理科・社会といった科目の対策方法や、学校別の受験対策、学校情報についてなど、幅広く記事を執筆しています。
皆さんの役に立つ、面白くてわかりやすい記事をお届けできるように頑張ります！