論説文問題読解〜森博嗣『面白いとは何か? 面白く生きるには?』〜[中学受験国語過去問解説シリーズ]

今回は2021年度の聖光学院中学校の国語の過去問を一部修正して小説の問題の解き方を説明していきたいと思います。本文はPDF、もしくは森博嗣『面白いとは何か? 面白く生きるには?』(ワニブックス)を参照してください。 

問題

問1

_線部①に「若者や子供は、新しいものに目を輝かせる」とありますが、それはどうしてですか。その説明として最もふさわしいものを、次のア〜オの中から一つ選び、記号で答えなさい。 

ア、子供が大人になるためには多くの知識を身につける必要があり、大人がやっていることを身につけることで自分を成長させることができれば、将来の可能性を広げるものだと思えるから。
イ、大人になるとほとんどのことを知り尽くしてしまい、何事にも動じない境地に達してしまうが、子供にとってはすべてのことが新しく、感動の対象だから。
ウ、若者や子供は、利益を優先して考える大人と違って、自分の得になるかならないかでなく、好奇心を満たしてくれるかどうかが面白さの基準だから。
エ、大人がやっていることに若者や子供が好奇心を持つのは、周りの人たちが知らない知識を先に身につけることで、誰よりも有利な立場になれるという予感を持っているから。
オ、若者や子供は、大人とは異なり知識が少なく、新たに知識を得ることで他人よりも優位に立ち、また将来の可能性も広がるのではないかという感覚を抱けるから。

【解答】オ 

2、3段落に注目してみましょう。 

 子供が、なにを見ても、「やらせて」とせがむのを、大人は知っている。逆に、大人になるほど、手を出してみても、自分の得にならない、という悟りを開いてしまうのだろう。
 子供は「無知」であるから、知らないことが周囲に沢山ある。それらを知ることが、「面白い」のだ。おそらく、知識を得ることで自身が有利になれるとの「予感」があるためだろう。つまり、好奇心とは自分が「成長」するイメージを伴うものである。

子供は知らないからこそ知識を得ることが面白く、知識を得て自分が有利になる、つまり成長につながるイメージがあると述べています。一方、大人は知っているからこそ得にならないことには手を出そうとしないといいます。 

以上をふまえてそれぞれの選択肢をみていきましょう。 

ア、子供が大人になるためには多くの知識を身につける必要があり、大人がやっていることを身につけることで自分を成長させることができれば、将来の可能性を広げるものだと思えるから。⇨大人のやっていることを身につけるのではなく、新しいものに対し試してみることに面白さを感じ知識を得ることで自分の将来の可能性を広げると述べています。

イ、大人になるとほとんどのことを知り尽くしてしまい、何事にも動じない境地に達してしまうが、子供にとってはすべてのことが新しく、感動の対象だから。⇨「大人は知っているからこそ得にならないことには手を出そうとしない」といっています。それは「大人になるとほとんどのことを知り尽くして」しまったのではなく、手を出した後の結果がある程度予測できるため、得にならないことには手を出さないのです。

ウ、若者や子供は、利益を優先して考える大人と違って、自分の得になるかならないかでなく、好奇心を満たしてくれるかどうかが面白さの基準だから。⇨面白さの基準は好奇心を満たしてくれるかどうかではなく、知らないことを知ることであるのであてはまりません。

エ、大人がやっていることに若者や子供が好奇心を持つのは、周りの人たちが知らない知識を先に身につけることで、誰よりも有利な立場になれるという予感を持っているから。⇨大人がやっていることではなく、自分が知らない新しいものに対して面白いと感じ、好奇心を抱くのです。

問2

_線部②に「僕は、ミステリィを書いているので。これを常に意識している」とありますが、筆者が「これを常に意識している」のは、どうしてですか。二十字以内で説明しなさい。 

【解答】 (例)意外性が面白さを誘発する要因になるから。

まず「これを常に意識している」の「これ」を明確にする必要があります。「これ」は「意外性」のことを指します。ではなぜ「意外性」を意識しているのでしょうか。その内容が_線部②の前の文にあります。 

 「新しさ」に含まれるのかもしれないが、「意外性」というのも、「面白さ」を誘発する要因、あるいは条件と言えるだろう。

よって「意外性が面白さを誘発する要因」であるから意外性を意識しているという内容が書けていれば良いでしょう。 

問3

_線部③に「その意外性が、『面白さ』になる」とありますが、それはどうしてですか。その説明として最もふさわしいものを、次のア〜オの中から一つ選び、記号で答えなさい。 

ア、犬は予想外のことが生じた時にはがっかりしてしまうが、人は時に想定しない事態が起こってしまうという偶然性に対して面白さを覚えるものだから。
イ、人にとって想定しないことが起きることは避けたいものであるが、その状況を前向きに捉えることで、事態を好転させることに面白さが存在するから。
ウ、自分が予想したことと違う状況に直面したときに人は戸惑いを覚えることが多いが、思考力や知性によって、その戸惑いを解消していくことに面白さを感じるから。
エ、人は、あらかじめ予測していたこととは異なる事態が生じたときに驚きを感じるが、その事象に対して思考力を働かせることで、面白さが見えてくるものだから。
オ、犬は繰り返し起こる現象に対してだけ面白さや楽しみを抱けるが、人はより高度な知性を働かせることで、未知なる面白さを求めることができるから。

【解答】エ

意外性というのは想定できない事態が起こることであり、本来歓迎されないことが多い事態です。その意外性に対し人はまず驚きます。その驚きが面白さに変化していくと言っています。変化していくにはある程度の思考力や知性が要求されるといいます。意外性が面白さに変わる例としてあげているのがギャグです。 

たとえば、ギャグの中には、この意外性がある。変なことを言うな、という驚きがある。もちろん、定番になって、来るぞ来るぞと期待したところへ出てくるギャグもあるが、慣れてしまうと、普通は笑えなくなるものだ。これは意外性がなくなるからにほかならない。

そのことをふまえた上でそれぞれの選択肢をみていきましょう。 

ア、犬は予想外のことが生じた時にはがっかりしてしまうが、人は時に想定しない事態が起こってしまうという偶然性に対して面白さを覚えるものだから。⇨偶然性ではなく、意外性に面白さを感じるのであてはまりません。

イ、人にとって想定しないことが起きることは避けたいものであるが、その状況を前向きに捉えることで、事態を好転させることに面白さが存在するから。⇨想定していないことに対し、事態を好転させることに面白さを感じるとは書かれていないためあてはまりません。

ウ、自分が予想したことと違う状況に直面したときに人は戸惑いを覚えることが多いが、思考力や知性によって、その戸惑いを解消していくことに面白さを感じるから。⇨イと同じく、想定していないことに対し、戸惑いを解消していくことで面白さを感じるのではありません

オ、犬は繰り返し起こる現象に対してだけ面白さや楽しみを抱けるが、人はより高度な知性を働かせることで、未知なる面白さを求めることができるから。⇨人は繰り返し起こる現象ではない、すなわち意外性のある事象に対し、戸惑いを感じそれが面白さに変わります。よって未知なる面白さを求めるわけではなくこれもあてはまりません。

問4

_線部⑤に「同じことを繰り返して『面白さ』を感じるのは、どちらかというと動物的である」とありますが、「動物的である」といえる具体例として最もふさわしいものを、次のア〜オの中から一つ選び、記号で答えなさい。 

ア、初めて乗ったジェットコースターが気に入って、何度も乗りたくなる。
イ、通学路を歩きながら、日々変わりゆく季節の変化に気づく。
ウ、素振りを繰り返すことで、自分の理想とする打撃フォームを見いだす。
エ、初めて同じクラスになった友達と、いつも一緒に下校する。
オ、酸っぱそうな梅干しを見るたびに、思わず唾液がたくさん出てしまう。

【解答】ア 

_線部⑤の後ろに犬の遊び方を例にあげています。 

犬を観察していると、同じような遊びを繰り返すことが多い。ボールを投げれば、走っていき、それをくわえて持ってくる。何度もそれをしたがる。

以上の部分を参考に、同じ行動を何度も繰り返す内容が書かれている選択肢は「ア、初めて乗ったジェットコースターが気に入って、何度も乗りたくなる。」であると考えられます。 

おすすめ記事

参考