入試情報
問題構成
横浜雙葉中の算数は、試験時間が50分で、大問3問・小問15問程度で構成されている傾向にあります。大問3問のうち、第1問は計8問程度の計算問題や一行問題で構成されているのに対し、残りの2問では標準〜応用問題が出題されています。
解答形式
問題用紙と解答用紙が別々に用意されており、第1問では解答用紙上には答えのみを空欄内に書き込み、途中式や考え方を示すスペースは用意されていません。そのため途中過程が正しかったとしても解答が間違っていると得点できません。
第2・3問は基本的に第1問と同じく解答のみを書き込む問題で構成されていますが、合計3問程度、途中式や考え方を含め解答欄に記入させる問題が出題されています。
近年の出題内容
2019年度
分野・単元 |
〈大問1〉計算問題・小問集合 |
〈大問2〉平面図形 |
〈大問3〉点の移動 |
2018年度
分野・単元 |
〈大問1〉計算問題・小問集合 |
〈大問2〉数の性質 |
〈大問3〉平面図形 |
2017年度
分野・単元 |
〈大問1〉計算問題・小問集合 |
〈大問2〉条件整理 |
〈大問〉時計算 |
出題傾向
概要
難易度は基本〜標準レベル
横浜雙葉中の算数は、全体的に基本〜標準レベルの問題で構成されています。第1問は計算問題・小問集合で、各単元の基本問題が8問程度出題されています。第2問・第3問は第1問よりは難易度が高めですが、応用問題や難問が出題されることは稀で、基本的に標準的な内容となっています。
大問ごとの出題傾向要約
第1問では計算問題・小問集合が出題されています。四則計算や逆算などの計算問題は毎年必ず出題されているため注意が必要です。小問集合は出題分野の傾向がはっきりしている訳ではなく、幅広い分野からまんべんなく出題されていることが特徴的ですが、なかでも還元算は頻出です。
第2問・第3問では、第1問よりもやや難易度の高い標準的な内容の問題が出題されています。それぞれ2、3問程度の設問が用意されており、速さ・図形問題・場合の数などが頻出です。なかでも図形問題は平面図形、立体図形問わずほぼ毎年出題されています。
内容
出題分野についての詳細
横浜雙葉中の算数は、第1問に計算問題・小問集合が出題されています。第1問は計算問題と各単元の基本的な一行問題8問程度で構成されており、幅広い分野からまんべんなく出題されています。
計算問題は毎年必ず出題されており、内容も四則計算や逆算といった基本的な問題であるため、一番得点を期待しやすい問題と言えるでしょう。一行問題の出題分野の偏りはあまりありませんが、なかでも還元算からの出題が多いため、念入りに対策をしておきましょう。
第2・3問は、第1問よりも少し難易度の高い標準レベルの問題が出題されています。第2・3問ともに2〜3問の小問が用意されており、速さ・図形・数の性質からの出題が頻出です。速さからは速さ、旅人算、通過算、流水算、時計算、速さと比などが出題されています。そのほかにも、場合の数、約束記号、約数と倍数、数の性質と規則性の問題などが頻出です。
図形問題は速さ、数の性質よりも頻出で、ここ最近は平面図形・立体図形問わずほぼ毎年出題されています。平面図形からは角度、面積、長さ、水の深さと体積、体積、表面積、点対称と線対称、平面図形の移動、点の移動が、立体図形からは立体図形の展開図、回転体、求積が出題されています。
難易度について
第1問は基本的な計算問題・一行問題が、第2・3問は定型問題を中心とした標準問題が出題されており、全体的な難易度は基本〜標準レベルとなっており、そこまで高くはありません。そのため十分に対策を行えば、高い得点率を期待できます。
一方で、2020年入試の算数の合格者平均得点率は56.4%と4教科の中で一番低い結果となりました。難易度自体はそこまで高くないことから、得意不得意が点差に出やすい科目であると言えるでしょう。
対策
分野別対策法
図形対策
横浜雙葉中の算数入試は図形からの出題頻度が高く、様々な問題がまんべんなく出題されています。
そのなかでも、平面図形からは角度、面積、長さ、水の深さと体積、体積、表面積、点対称と線対称、平面図形の移動、点の移動が、立体図形からは立体図形の展開図、回転体、求積などが頻出です。
まずはそれぞれの問題の典型的な解き方や公式を身につけるため、標準的なレベルの問題集を一周して定型問題を一通り解きましょう。定型問題が一通り解けるようになったら、実際の入試問題の難易度を把握するため、過去問研究に入りましょう。
速さ対策
当校の算数では速さの問題が頻出です。なかでも旅人算・速さと比の問題がよく出題されています。
対策方法ですが、図形問題と同じくまずは標準的なレベルの問題集を一周して速さに関する定型問題を解き、速さの基本公式や定型問題の解法を理解しましょう。その問題集を一通り解き終えたら過去問研究に移り、応用問題に慣れましょう。
速さの問題では、「速さ・時間・道のり」の3要素を意識して、図を描きながら条件を整理していくことが重要です。条件が多く一見難しい問題も、一つずつ落ち着いて理解するよう心がけましょう。
計算対策
ここ最近の入試では、毎年大問1に計算問題が出題されています。内容は四則計算や逆算など難易度も易しめの問題であるため、必ず得点しておきたい問題です。
計算問題の対策としては、一度に大量の問題を解くというより、コツコツ少量の問題をこなしていく方が効果的です。計算問題のみを集めた問題集やドリルなども各出版社から発売されているので、自分の好きなものを1冊購入し、毎日3〜5 問程度のペースで進めていくと良いでしょう。その際ただがむしゃらに解くというより、入試本番と同じように慎重に解き、解き終えた後も検算をして計算ミスを減らす努力をしましょう。
規則性対策
横浜雙葉中の算数では、第2・3問で規則性の問題が出題されることが多いです。規則性の問題では、しばしば自分で規則性を見つけなければいけない場合があります。
ここで重要なのが、実際に手を動かして規則性を発見しようとすることです。単純な規則性ならば数列を一目見ただけでパッと思いつくかもしれませんが、応用問題における規則性は複雑なものがほとんどです。数列をただ見ているだけでは手がかりが少なく規則性が見えづらいため、実際に手を動かして考えられる規則性についてその成否を確認しましょう。
実際の過去問を解いてみよう!
実際の出題例1〜規則性〜
(2020年第1回・第1問より抜粋)
⑶7を2020回かけたとき、一の位の数を求めなさい。
【答え】
- ⑶1
【解き方】
- ⑶実際に7をかけていくと、一の位が「7,9,3,1,7,9,3,1,…」というように、4個ずつの規則性が成り立っていることが分かる。
2020÷4=505…0
より、7を2020回かけると、一の位は周期の4番目である1になることが分かる。
〔ポイント〕横浜雙葉中では、小問集合、応用問題問わず規則性の問題が頻出です。一見すると規則が分かりづらく、難しく感じてしまうこともあるかもしれません。重要なことは、「実際に手を動かしながら規則性を見つける」ことです。
実際の出題例2〜約束記号〜
(2018年度第1回・第2問より抜粋)
記号〈A〉は、Aの約数の個数を表すものとします。
例えば、8の約数は1、2、4、8の4個あるので、〈8〉=4です。
次の問いに答えなさい。ただしA〜Dは1以上、100以下の整数とします。
⑴〈100〉を求めなさい。
⑵〈A〉=3のとき、Aにあてはまる数をすべて答えなさい。
【答え】
- ⑴9
- ⑵4,9,25,49
【解き方】
- ⑴100の約数は1,2,4,5,10,20,25,50,100の9つ。
- ⑵約数の個数が3つの数とは、「素数の平方数」となる数である。1以上100以下の数の中でそのような条件を満たす数は、
\(2^{2}=4,3^{2}=9,5^{2}=25,7^{2}=49\)
より、4,9,25,49の4つ。
〔ポイント〕約束記号自体は中学受験全体の中でそこまで頻出の単元ではありませんが、横浜雙葉中では度々出題されています。そこまで難易度の高い問題は出題されておらず、基本的な条件整理がほとんどなので、問題文をしっかり読み、一つずつ理解していくことが重要です。
問題集別対策
【おすすめの問題集】
四谷大塚や早稲田アカデミーなどを始めとした中学受験大手塾と同じカリキュラムで算数の学習ができるシリーズ。各学年用の教材が出版されており、レベルに合った教材を選ぶことができます。予習シリーズ6年下まで一通り理解すれば中学受験における典型問題は一通りおさえることができます。予習シリーズが終了したら過去問研究に取り組みましょう。 また各ページに数問ずつ計算問題が掲載されているため、計画的に進めていけば、計算問題対策をすることもできます。このシリーズだけで基本〜標準レベルの問題をすべて網羅できる点が魅力的です。 |
合格点を取るには
時間配分に気をつけつつ、正確に解く
横浜雙葉中の算数は定型問題の出題が多く、難易度がそこまで高いわけではありませんが、その分高い得点率が求められます。しかし時間配分を間違えたり、一つの問題で詰まってしまうと、本来解けたはずの他の問題に手が回らなくなってしまい大幅に失点してしまう危険性があります。試験が始まったら一通り目を通し、各問題の難易度を把握した上で、解きやすい問題から順番に解いていきましょう。
基本的には解答用紙上の空欄に解答のみを書き込む形式なので、考え方が合っていても答えが間違っていた場合、大量失点をしてしまう可能性があります。正確に解いていくこと・試験時間の最後に必ず見直しの時間を5〜10分程度とることを意識し、ケアレスミスをできるだけ減らしましょう。問題用紙上の計算スペースも十分ではないので、普段から計算をコンパクトに工夫する・整理して行う練習をしておくと良いでしょう。
また第2・3問では合計3問程度、解答欄内に途中式や考え方も記入する問題が出題されています。慣れていないと必要のない計算式を残してしまったり、長い記述になってしまいます。普段から途中式や考え方を整理して書き残す練習をしましょう。
苦手分野を克服する
当校の算数では第1問に一行問題が出題されており、毎年幅広い単元からまんべんなく出題されることが特徴的です。そのため苦手な単元を減らし、どの単元から出題されても解くことができるようにしましょう。どの単元も難問レベルの問題まで解けるようになる必要はありませんが、苦手な単元がある場合は問題集等で演習を繰り返し、定型問題レベルまでは一通りマスターするようにしましょう。
総括
今回は、横浜雙葉中の算数入試対策についてご紹介しました。当校の算数は計算問題、小問集合、標準問題の計3問の問題構成で、幅広い分野からまんべんなく出題されていることが特徴的です。
全体としては基本〜標準レベルの難易度で、発想力や難しい工夫を必要とする問題はそこまで出題されません。対策としては、定型問題を集めた標準的なレベルの問題集を繰り返し解き、苦手な単元を克服することが得点率を上げる上で特に重要です。
算数は全科目の中で一番点差が分かれやすい科目です。算数の点数が合否を分けると言っても過言ではないでしょう。入試本番まで時間は限られていますが、他科目とのバランスを考えつつ、優先順位に気をつけながら最大限の対策をしましょう。
参考
- 学校公開行事|受験生の皆様へ|横浜雙葉中学高等学校
- 中学入試要項|受験生の皆様へ|横浜雙葉中学高等学校
- 中学入試データ|受験生の皆様へ|横浜雙葉中学高等学校
- 横浜雙葉中学校 2020年度用 6年間スーパー過去問 (声教の中学過去問シリーズ)/声の教育社
こんにちは!ライターの福久はなです。 都内の中高一貫校出身で、大学受験を経て東京大学に入学しました。 塾講師や家庭教師のアルバイト経験があり、算数・数学・英語を中心に教えていました。 これらの科目に限らず、中学受験の経験を活かして理科・社会といった科目の対策方法や、学校別の受験対策、学校情報についてなど、幅広く記事を執筆しています。 皆さんの役に立つ、面白くてわかりやすい記事をお届けできるように頑張ります!