皆さんは物体の運動と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか? ブランコがゆれる様子を思い浮かべる人もいれば、水が流れる様子を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。もちろん、世の中には運動の仕方が星の数ほどもあり、それらすべての性質を知ることはとても難しいです。ですが、安心してください。中学受験で問われる物体の運動は限られています。今回は物体の運動の中でも、中学受験理科でよく問われる「斜面を移動するおもりの運動」について解説していきます。身近な内容ですが、実際に物の動きを考えてみると、その内容は感覚と違っているので、注意しましょう。中学受験理科で問われる物体の運動には他にも「振り子の運動」があげられますが、それは過去の記事で解説しているので参考にしてください。この記事を読めば、以下のことがわかるようになっています。
- 斜面を下るおもりの速さはおもりを落とす高さで決まる。
- 斜面を下るおもりの飛ぶ距離はおもりの水平方向の速さで決まる。
- 斜面を下るおもりが衝突によって物体を飛ばす距離はおもりの水平方向の速さとおもりの重さで決まる。
さて、イメージが湧いてきたでしょうか? それでは早速解説していきます。
Contents
一番速くなるのはどんなとき? 斜面を下るおもりの運動
あなたは近所の坂を登っています。すると、上から誰かが落としたりんごが転がってきました。皆さんはどうしますか? もちろん、なるべく早く止めようとしますよね。なぜ早く止める必要があるのでしょうか?
それは、物体が斜面を転がれば転がるほど、速さが増すからです。速さが増せば、りんごを止めることも難しくなりますよね。このように、物体を転がす高さと物体の速さは関係しています。このことをもう少し詳しく見てみましょう。
斜面を転がる物体の速さは高さだけで決まる!
次の問題の答えを考えてみてください。
次の①~④のうち、Aの地点でもっともおもりが速く転がるのはどれでしょう。
答えは、④です。なぜこうなるのでしょうか。
実は、斜面をおもりが下る場合速さに影響するのは、おもりを落とす高さのみです。これは、振り子でも同じことが言えます。
次の図のような振り子が与えられたとき、支点の真下で最も速さが速くなるのは②です。これは物の運動を考えるうえで重要な性質といえるでしょう。
「重さ」、「斜面の角度」と「速さ」は、外から力を加えない限り無関係です。関係があるのは「おもりを落とす高さ」のみです。このことをしっかりと頭に入れておきましょう。
おもりの飛距離も高さだけできまる!
次の問題の答えを考えてみてください。
次のうち、おもりが最も遠くに飛ぶものはどれでしょう。
おもりの飛距離を問う問題も出題されます。設定は先ほどと同じですね。これも答えは④になります。この場合は何を基準に考えれば良いのでしょうか?
おもりの飛距離は飛び出すときの「おもりの水平方向の速さ」によって決まります。この場合も「おもりの重さ」は無関係です。おもりの速さが速いのは、先程の問題と同じように、おもりを落とす高さが高いものですね。したがって答えが求まります。
衝突には重さも関係する! 斜面を下るおもりと物体の衝突
似たような問題で、次のような問題を考えてみましょう。
次のうち、地点Aにある物体Bを最も遠くに飛ばすものはどれでしょう。
今までの問題と同じように、「おもりを落とす高さ」だけが関係するから……②と④を選んだ人、惜しいです! 実は物体を動かす場合には「おもりの重さ」も関係します。つまり、「速さが速いおもり」と「重さが重いおもり」は物体を遠くにとばす力が大きいのです。この点がややこしいと感じるかもしれません。おもりが物体と衝突しないときは「おもりの速さ」が速い方が遠くに飛び、おもりが物体と衝突するときは「おもりの速さ」が速く、「おもりの重さ」が重い方が物体を遠くに飛ばすと覚えておきましょう。問題の答えは④になります。
これも振り子と同じように考えることができます。次の図のような振り子が与えられたとき、おもりを最も遠くに飛ばすのは④です。これも物の衝突を考えるうえで重要な性質ということができます。
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