首都圏中学受験の動向③~東京編~

東京はなんといっても受験できる学校数が多く、他県からの受験生がたくさん集まります。入試解禁日は2月1日で、複数回の入試を行う学校では1日あるいは2日に1回目の入試日を設定しています。おおよそ5日ごろまでには約8割の学校が入試を終了します。解禁日が同じ神奈川の学校と併願する受験生が多く、また、先に行われる埼玉と千葉エリアの学校を腕試しに受け、その後本命の東京の学校を受けるというスケジュールを組むというのが一般的です。

ただし、メリットばかりではなくデメリットも存在します。今回は、最近の東京の中学受験の動向をみていきながら、どのように受験スケジュールを組んでいくのがよいのかということにも言及していきます。

入試スケジュール

東京の私立校の入試は、2月1日~5日ごろまでの間に行われることが多い(複数回入試を行う学校はそのあとまで入試を設定しているところもあります)です。近年注目されている公立中高一貫校は2月3日が適性検査の受検日となっています。国立校も2月3日に受験日が設定されており、この間のスケジュール計画が非常に重要なポイントとなります。

多くの私立校で複数回の入試が設けられており、また午後入試を行う学校も多く、入試方式も学校のカラーが色濃く出ているのが特徴です。偏差値も幅広く、学校数も多いため、2月に入ってからの入試スケジュールをどうするかが非常に重要となってきます。第1志望は早くから決め、併願校をどう選ぶのか、午後入試と体力の問題など、早い時期から情報を収集し、秋から初冬(11月ごろ)までにおおよその受験校を決めるケースが多いようです。

受験生の動向

私立の中高一貫校が入試の中心になっており、男子校・女子校が多いですが、近年は共学化を打ち出す学校、大学の系列・系属校になるケースも増えており、東京の入試は親御さんが持っているイメージとは様変わりしつつあります。三田国際学園中学(旧・戸板中)は、平成27年に共学化し、双方向授業やICT授業といった最先端の授業を取り入れ、非常に人気を集めている例です。

男女御三家といわれる開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、雙葉をはじめとした伝統校も根強い人気があります。それぞれポリシーをもって入試問題を作り、大学受験まで見据えた教育を行うことで定評があるため、「受験するなら、あそこに行きたい」という憧れの中学として有名です。倍率そのものはそれほど高くはありませんが、ある一定以上の実力者が受けに来る前提ですので、倍率だけでは測れないハイレベルな戦いが毎年繰り広げられています。最近では偏差値の上では御三家を超える学校も出てきています。「どういう教育を受けさせたいか」「どこに行けばわが子の能力は伸びるのか」そういう視点をもって受験校を選ぶことが大事です。

また、東京は私立以外にも国立や公立中高一貫校の学校が多く、こちらも支持を集めています。都内では公立中高一貫校の開校ラッシュはやや落ち着きましたが、中高一貫教育校に子どもを入れたいと思いつつも経済的な理由などから受験を断念していた層に門戸が開かれたということで、変わらず倍率は非常に高いです。公立中高一貫校では入試を「適性検査」と位置づけ、科目融合型の出題や、会話形式の出題によりコミュニケーション力をみるような独特の問題作成がなされているので、きちんとした対策をしていかなければ合格は非常に狭き門と言えるでしょう。学習指導要領の範囲内とはいえ、学校で学習する内容、知識を「どう使うか」という訓練をしておかなければいけません。

大学進学を見据えた受験を考えているご家庭にとって魅力的な存在が大学附属校です。私立では、慶應中等部、早稲田高等学院中などの早慶附属校、学習院中等科や学習院女子、青山学院、日本大学や中央大学の付属などはその代表でしょう。ただし、エスカレーター式と言われてきましたが、課題も多く難しくなってきており、入ったら何もしなくても大学まで行けるということではありませんので、注意は必要です。慶應中等部では理科のレポートが有名ですが、中学で習う範囲を超え、調べてまとめて、ときにはプレゼンも要求されるなど、非常にハードなものです。附属校に入っても、その学校専門の対策塾があるほどですから、内部進学で希望の学部に行こうと思えばやはり中学に入ってからのレベルの高い学習が要求されます

国立では最難関校である筑波大学附属駒場中学、お茶の水女子大学附属中学、東京学芸大附属(世田谷、竹早、小金井)が挙げられます。東京学芸大附属は、中学に入っても高校に全員上がれるわけではないので、しっかり成績をとっていくことが必要です。このように書くと勉強ばかり?と思うかもしれませんが、体験型学習の機会が多く、周りもしっかり勉強する環境にあるので、安心感があります。部活動も盛んです。非常い人気が高い一方、高校受験で入ってくる生徒さんも一定程度いますので、自学自習をし、しっかりついていくことが必要です。

選択肢がありすぎて選べない?

はじめにも述べましたが、東京エリアは学校が多く。選択肢の幅が非常に広いです。それゆえ、学校選びに迷うご家庭は非常に多いです。学校説明会に足を運んで教育理念に共感できるか考えたり、個別相談にいって校内を見て回って詳しく説明を受けるなど、受験校選びには時間をかける必要があります

情報収集をしていくと、選択肢が多いためむしろ決め手に欠けると感じることもあると思います。できるだけ早いうちにお子さんと一緒に文化祭を見に行くなどして、まず核となる学校を早めに決めることをお勧めします。

そして、私立中学は出題傾向も学校毎に異なります。出題形式一つとっても、記述中心なのか、答えだけを書く形式なのか、問題量は多いのか少ないのか、特色はそれぞれです。偏差値だけで合否を占うことが難しいのも東京の中学受験の特徴かもしれません。難関校は記述中心の学校が多いですが、記述の練習に特化して学習していると、おさえの学校として位置付けていた、選択肢問題中心・問題数の多い学校の過去問を解くと全く点数が取れないという逆転現象が起きてしまうこともよくあります。校風とともに、入試対策を行う上で、なるべく負担の少ない学校選びをするという視点を持つことも大切です。

まとめ

東京の学校には、首都圏エリア全体から非常に多くの受験生がチャレンジしてきます。学校数が多いだけに、どこを受験するべきか、なかなか決められないというご家庭が多いという現実があります。先述したように、偏差値だけで選べるほど甘いものではありません。塾での志望校決定面談では、どうしても偏差値帯での受験計画が提示されることが多いですが、受験して終わりではないので、その先通うことまで見据え、さまざまな視点から学校を選ぶように心がけていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。