首都圏の中学入試は、まず埼玉からはじまります(千葉県独特の一志入試、推薦入試を除けば、ですが)。そのため、首都圏、特に東京・神奈川の難関校を目指す受験生にとっては最初の入試として、ここで合格を一つでも取っておくと、プレッシャーが和らぎ、本命校に向かう第一ステップと言えるでしょう。
ただし、最近では埼玉県内の学校も特色ある校風や大学進学実績を出しており、また、近年の地元志向から、埼玉県在住の方が地元の私立校を第一志望にして受験するケースも増えてきています。今回は、このように注目されてきている埼玉県内の中学受験の動向について調べてみました。
入試スケジュール
埼玉の中学入試解禁日は、1月10日です。多くの中学が1月10日または11日に1回目の入試をを設定しています。その後、2月4日ごろまで、複数回の入試日を設けている学校が多いのが特徴です。東京都の入試解禁日は2月1日ですから、埼玉の学校では、前半(1月)よりも後半(2月)の日程の方が受験者数が減り、倍率が低くなる傾向にあります。
腕試し?と思ったら足をすくわれる
最初に書いたように、最近では各校が特色ある教育方針を打ち出したり、大学進学へ向けた学習指導を行っており、また結果も出ていることから、埼玉県内の中学校を受験する生徒は増加傾向にあります。そのため、全体的に受験生の学力レベルが上がってきています。「単なる腕試し」の入試ではなくなってきている現状をしっかり知っておきましょう。全く準備をせずに受けに行って受かるほど、最近の埼玉入試は簡単なものではありません。
知名度の高い中学としては、男子校は立教新座中学、城北埼玉中学、城西川越中学など、女子高は浦和明の星女子中学、淑徳与野中学、大妻嵐山中学などが挙げられます。その他の学校は共学校となっています。
共学校の中でも、栄東中学校は埼玉県内の最難関校で、難関大クラス、東大クラスがあり、東大をはじめとする国公立大学、医学部、難関私立大学への高い進学率が魅力の学校です。また、早くからアクティブラーニング(AL)を授業に取り入れていることや、部活動にも力を入れています。そのような教育方針が人気を呼び、この数年間の受験者数の増加には目を見張るものがあります。
注目を集める公立中高一貫校
公立中高一貫校は、私立校と同様に6年間の一貫教育を行う中等教育学校です。授業料が割安で済むことから、どの地域でも注目され、倍率も高くなっています。教育水準も高くなってきており、卒業生の大学進学実績などを見ると、私立校の難関校をしのぐケースもみられるようになってきました。
埼玉県内の公立中高一貫校では、さいたま市立浦和中学校があります。平成19年にさいたま市初の併設型中高一貫校として開校しました。平成29年度の入学者選抜適性検査は、第一次選抜が1月14日です。受検倍率は例年約6倍。私立校と併願して受検するお子さんも多いです。ただし、公立中高一貫校の適性検査は、これまでの一般的な私立中学の出題傾向と異なります。併願する場合には、対策をしっかりとりましょう。
近年の埼玉県の中学受験動向
埼玉県は東京都と隣接し、交通アクセスもよくなってきたことから、埼玉県在住の受験生が東京の学校を第一志望にして受験するケースは非常に多いです。その影響を受け、1回目の入試では倍率が高いものの、合格辞退者が多い傾向にあります。また、東京や神奈川の難関校と併願している場合、入学金の延納措置をとる学校も多いです。そのため、「腕試し」と言われてきましたが、最近は人気のある学校も増え、難化傾向にありますので、埼玉県内の中学校を志望するのであれば、第1回の高い倍率にも負けないだけの学力が必要です。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。