例年ですとこの時期は、各中学校で学校説明会がおこなわれますよね。入試の情報や学校の雰囲気、先生方のようすや生徒さんの学校生活を垣間見る貴重な機会です。
しかし、今年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあり、学校説明会の様相も例年通りというわけにはいかないようです。感染防止対策として、実際に学校に足を運ぶ形の学校説明会ではなく、オンラインでおこなうという中学校が多く見られます。
これから入試直前期を迎えるお子さんのことを考えると保護者が感染して帰ってくるわけにもいかないですし、ましてやお子さん同伴だと感染リスクが倍になります。ですから、オンラインであっても学校説明会を聞くことができるのはメリットだと言えるでしょう。
ただし、すでに学校に足を運んだご経験がある場合はよいのですが、オンライン説明会だけだと一度も志望校に足を運ぶことなく、学校の雰囲気を祖のみで感じることなく入試本番を迎えることにもなりかねません。また、オンライン説明会というのは中学校にとってもはじめての試みであることが多く、説明を聞く側も事前の準備が必要になるので満足のいくものになるかどうかわからないというデメリットもあります。
そのため、オンライン説明会に参加するにあたっては、事前準備の点も含めてメリットとデメリットを確認したうえで十分活用する姿勢が大切です。今回は、オンライン説明会について、事前準備や活用法も含めて解説します。ぜひうまく利用して受験情報を得られるよう、参考にしてください。
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そもそもオンライン説明会って?
これまで学校説明会と言えば、実際に志望校・受験予定校に足を運んで説明を聞き、入試情報を入手したり個別質問会で先生に疑問点を聞いたり、さらには校内見学をするなどして授業のようすや生徒さんの学校生活を垣間見るという形が中心でしたよね。学校説明会は、実際に学校の雰囲気に触れる、受験生親子にとっては非常に貴重な機会です。
しかし、今年は新型コロナウィルスの感染拡大がなかなか終息しないこともあり、入試における対策が各中学校から発表されるほか、学校説明会も通常の形ではなくオンラインでおこなうという中学校が少なくありません。ですが、これまで経験のないことなので受験生のご家庭にとってはどのように参加して情報を入手したらよいのか戸惑われるという声も聞かれます。
では、オンライン説明会とはそもそもどのような形態の学校説明会なのでしょうか。オンライン説明会とは、インターネットを利用してリモート(遠隔操作)で学校説明会をおこなうという、学校側にとっては広く学校紹介を受験生向けにおこなう場です。一口にオンラインと言ってもさまざまな方式があるのですが、zoomなどのビデオ会議システムを使った説明会を開催する中学校が多いようです。この場合、リアルタイムで学校側が説明をおこなうので、臨場感があります。また、ホームページ上で説明動画を公開する学校もありますが、その場合は事前に録画された動画を流す形なので、リアルタイムで参加しているという実感は得られません。
オンライン説明会のメリットは、自宅に居ながらにしてリアルタイムで学校説明会に参加できるということに尽きるでしょう。新型コロナウィルスの感染拡大の問題もあり、やはり大人数が集まる学校説明会に参加するのには今のところ躊躇せざるを得ませんよね。そんなときに、自宅で学校の説明を直接聞くことができるのは貴重な機会だと言えるでしょう。
中学校によってオンライン説明会で取り上げる内容はさまざまですが、たとえば授業や部活動、文化祭や体育祭といった学校行事などの映像を流したりして、実際に入学してから生徒としてどのような学校生活を送ることになるのかイメージしてもらえるような紹介動画を説明会の中で流すこともあります。これはリアルの学校説明会でも説明会の前後や説明会の間に時間をとっていることも多いですよね。
そして学校説明会ならでは聞ける、その学校の教育理念、教育方針や授業カリキュラム、進学実績など学業や情操教育の特徴についても紹介がおこなわれます。また、課外活動や学校の設備などについて、特徴あるものを紹介してくれるという点もリアルの学校説明会と変わらないのが特徴です。なかには質疑応答の時間を設けており、オンライン上でも参加者からの質問に答えてくれる中学校もあるので、その点では内容的にリアルの説明会と大きく異なる点はありません。
オンライン説明会に参加するためには自宅にインターネット環境があれば特殊な機材を準備する必要はなく、パソコンやスマートフォン、タブレットなどを利用して参加することが可能です。
オンライン説明会のメリットは?
オンライン説明会のメリットは何といっても時間を使って学校まで行く必要がなく、自宅に居ながらにして説明会を聞くことができる点です。新型コロナウィルスの感染を警戒せざるを得ない現在、多くの受験生や保護者が集まる学校説明会では感染リスクを押さえられるとは限りません。また、移動時間もないので電車やバスなどでの感染リスクを避けることも可能です。新型コロナウィルスも非常に心配ですが、そろそろインフルエンザの流行がはじまる時期なので、入試直前期の受験生の体調管理という意味でも予防に役立つのはありがたいところです。
また、学校説明会は日程が重複してしまうことが少なくありません。ぎりぎりはしごできたとしても移動時間がかかるために間に合いそうにないと思ってどちらかひとつの学校の説明会をあきらめるということも多くありました。しかし、オンライン説明会では移動に時間を費やさなくて良いため、重複日程の学校説明会に両方参加できる可能性もあります。
さらに、午前と午後で別の学校の学校説明会が設定されていれば両方参加できますし、模試と学校説明会の日程がかぶってしまった場合には模試を受けてから説明会に参加することも可能になります。また、土曜日に学校説明会をおこなう中学校は多いですが、説明会に参加してから塾の土曜特訓などの授業に参加することも可能、といったように時間の有効活用ができるのもオンライン説明会の大きなメリットだと言えるでしょう。
オンライン説明会にデメリットってあるの?
オンライン説明会は、自宅に居ながらにして入試情報をはじめとした学校側の説明を聞くことができるというメリットがあり、内容としてもそれほどリアルの説明会と異ならない、しかも感染リスクが抑えられるのならデメリットなんてないのでは?と思われるかもしれません。しかし、やはりリアルの説明会とは異なる点があることには注意しておきましょう。
学校のリアルな雰囲気が伝わりにくい
オンライン説明会のデメリットとして挙げられるのは、実際に学校に足を運ぶわけではないため、リアルな学校生活を想像しにくい、また設備を実際に見ることができないといったことです。オンライン説明会でも授業中のようすを動画で紹介されるでしょうが、やはり実際の授業中の生徒と先生のやり取りの活発さや、先生を中心とした学校側の雰囲気と体制、生徒がいきいきと活発に学校生活を送っているか、といったことは学校に実際に足を運んではじめてわかることです。
リアルの学校説明会の場合、説明会と学校内見学がセットになっていることが多いです。先生が来校した受験生や保護者を学校中案内してくれて、授業のようすや設備についての説明をしてくれるので、わが子がこの学校に通ったならどのような6年間を過ごすのだろうか、また学習環境や情操教育の環境がどのように整っているのか肌で感じることができるという点が学校内見学のメリットですが、オンライン説明会の場合はどうしてもそれができません。リアルな学校のすがたを見ることが難しいのはオンライン説明会のデメリットだと言えるでしょう。
もちろん、中学校側もこうしたデメリットがあるということはわかっています、そしてできるだけ学校のようすをオンラインでも伝えることができるように動画などを流して理解を促す努力はしているでしょうが、時間が限られている中ではなかなかリアルの説明会と同程度の理解をしてもらうことは難しいのが現状です。オンライン説明会に参加して情報などは得られても、生徒や先生、学校生活の雰囲気、学校そのものが持つ伝統といったものを肌で感じることができないと、この学校を受験して大丈夫かな・・・と心配に感じるという保護者の方も少なくありません。
学校の雰囲気を感じるためにできる方法
ただし、現在の新型コロナウィルスの状況を考えれば、オンラインでも説明会が開催されることは受験生親子にとってはありがたいことですよね。学校説明会を聞くことなくいきなり受験に行く、というのではその学校へのあこがれや合格へのモチベーションを保つことは難しいでしょう。そのため、オンライン説明会に補足して、学校の雰囲気を感じるために別の機会を設けてみることをおすすめします。
やはり学校の実際の雰囲気や重みを感じたいのが受験生心理ですから、説明会の機会とは別に、実際に学校を訪問してみると良いでしょう。新型コロナウィルスの影響で受け付けているところと受け付けていないところがありますが、多人数ではなく個別見学という形であれば対応してくれる中学校もあります。
密を避けた形で生徒の実際のようすや先生の熱心な指導、施設を新しくした学校であればその設備など、実際に見て感じてほしいという思いは中学校であればどこでも持っています。学校によって対応は異なりますが、入試広報室などに電話してみると対応してくれる可能性があるので、ぜひ可能な場合は足を運んで学校の雰囲気を感じてみてください。
もし個別見学に対応していないという場合であっても、実際に入試当日のルートを踏襲して家から学校まで行ってみて、生徒さんが登校または下校するようす、挨拶をしているようすを見るだけでもお子さんのこれからの6年間を想像することができます。入試の予行演習にもなるので一度は足を運んでおくと良いでしょう。
これは実際に志望校に合格された生徒さんの話ですが、学校の校門の前で写真を撮り、それを机の前に貼って毎日の受験勉強の励みにしていたというケースもあります。どうしても実際に学校の中に入れないとモチベーションが下がってしまいがちですが、写真を目の前に貼ってあこがれの学校を常に意識することでモチベーションを保ちながら受験勉強を頑張ることができますよ。
オンライン説明会に必要なツール
では、実際にオンライン説明会に参加するために必要なツールについて確認しておきましょう。
まず必要なのは、インターネットに接続するための端末、たとえばパソコン、スマートフォン、タブレットなどの機器を1台確保しましょう。カメラやマイクが内蔵されているかは確認してください。最近のパソコンやスマートフォン、タブレットはまず内蔵しているでしょうから、そのほかの特殊な機材は特に必要ありません。もしカメラやマイクがない場合は別途揃える必要があります。
オンライン説明会を開催する中学校によって使用するビデオシステムが異なるため、これまでに使ったことのないビデオシステムを使う場合は、当日あわてないためにも事前に使い方をチェックしておくことが必要です。マイクやカメラのオン・オフの切り替えやチャット機能など、ビデオシステムにはいろいろと機能があるので、基本的部分で構わないので使い方を覚えておくと便利ですし安心です。
オンライン説明会はインターネットを介しておこなわれるので当然のことながらインターネット環境は必要です。Wi-Fiに接続できればまず問題ありませんが、スマートフォンの4G回線の場合は、接続はできますが、オンラインのビデオ通信がメインになるのでデータ容量をかなり使うので注意が必要です。
そして、学校説明会と言えば説明会資料が配られますが、リアルの学校説明会と異なりオンライン説明会の場合は紙に印刷された資料の配布はありません。パワーポイントなどを使ったスライドで説明をおこなう中学校がほとんどなので、やはりできるだけ画面の大きい機器で説明会に参加する方が良いでしょう。スマートフォンよりはタブレット、タブレットよりは大画面のパソコンの方が移されている資料が見やすいのでおすすめです。
そして、説明会の内容は聞いて終わりにするのではなく、ここは気になる!というところをメモしておきましょう。説明会用ノートや手帳を作っても良いですね。そこで気になったことは、後日学校に電話して個別に聞くことも可能です。もし質問したからと言って入試で不利になることはないので安心して聞いてみましょう。
リアルの学校説明会の場合、今の時期ですと募集要項を配布していることも多いです。郵送での取り寄せも可能になっている学校が多いので、事前にパンフレットや募集要項を取り寄せておいてチェックしておき、当日は横に置いてすぐみられるようにしておくとオンライン説明会を補完してくれるので有意義な説明会経験になりますよ。
申し込みをするときの注意点
オンライン説明会に参加するためのインターネット環境と接続機器などの準備ができたら、いよいよオンライン説明会の申し込みをしましょう。
まずは、すでに決まっている志望校や受験校・併願校、また迷っているけれど関心がある中学校のホームページを開き、オンライン説明会の日程を調べてください。リアルの説明会の場合、予約不要という学校も多いですが、オンライン説明会の場合は事前の申し込み(予約)が必要になります。ビデオ会議システムを使うため、予約した人だけに説明会参加のための当日のURL(ここから入って参加するというインターネット上のアドレス)が送られてくるので、事前の申し込みが必要なんですね。
もし、事前に申し込んだにもかかわらず確認メールが送られてこないという場合は、受信トレイ以外のところにメールが入ってしまっていないか確認しましょう。はじめて受信するドメインのメールアドレスからのメールだと、迷惑メールに自動的に振り分けられてしまい、受信トレイに入ってこないことがあり得ます。
特にスマートフォンで携帯メールアドレスから申し込みをした場合は注意してください。ドコモやau、ソフトバンクなどのドメインのアドレスの場合、迷惑メールに振り分けることすらせずにそもそも知らないアドレスからのメールを受信してくれない設定になっていることがあるからです。そのため、できればパソコンのメールアドレスから申し込みをしておくことをおすすめします。パソコンのアドレスから申し込んだ場合も受信設定の確認は必要になりますが、パソコンから申し込んでおくと、帰ってきたメールに添付されているURLをクリックすればそのまますぐにオンライン説明会に参加できることが多いので便利です。
オンライン説明会当日のチェックポイント
事前準備や事前申し込みが完了したら、いよいよオンライン説明会に参加です。説明会当日はぎりぎりに参加するのではなく、時間に余裕をもってビデオ会議システムに入室するのがポイントです。
システムの設定によっては、また学校によっては、開始時刻を過ぎてしまうと入室できない仕組みになっていることもあるので注意が必要です。マイクやカメラが正常に作動しているか確認する時間も必要なので、やはり開始10分程度前にはスタンバイしておきたいところです。あまり早くに入室しても先方が準備していない場合もあるので早すぎる必要はありません。あくまで正常にオンライン説明会に参加できるか確認する時間を確保するという気持ちで早めの入室を、ということで構いません。
先ほども説明会資料のところでご紹介しましたが、オンライン説明会の場合、パワーポイントなどのスライドをスクリーンに映してそれを画面で見るということが多いです。その場合は、資料が手元に残るように、スクリーンショットの機能を使って画面を保存しておくと良いでしょう。そうすれば、あとで見返すことができるので説明会の先生からの説明に集中できます。あとでスクリーンショットを見返して、疑問点があったら個別に問い合わせると良いですね。
オンライン個別相談会があれば活用を!
学校説明会に参加しようという目的は、ご家庭ごとに異なりますよね。進学実績が気になる、留学制度が気になる、普段の授業の進み方や教材が気になる、先生と生徒の距離感が気になる・・・などご家庭によって気になるポイントはさまざまです。ですが、オンライン説明会ではリアルの学校のようすまではなかなかわからないので、知りたいことがあっても疑問点が解消しなかった、というケースも少なくありません。
そこで、ぜひ利用したいのがオンラインの個別相談会です。オンライン説明会をおこなっている中学校のなかには、説明会が終了したあと、オンライン上で個別相談の場を設けていることがあります。リアルの学校説明会でも、説明会の後に別の会場で個別相談会をおこなっていますよね。そのオンラインバージョンだと思ってください。
説明会の全体的な説明だけではよくわからなかったことを質問したり、説明会では触れられなかったけれど気になる点を細かく聞いてみたりと利用のしかたはさまざまです。積極的に活用して、情報収集をしておきましょう。全体の説明会の場合はどうしても最大公約数的な説明が多くなります。しかし、受験生一人ひとりその学校を志望する理由は異なるので、それだけ気になることは違って当然ですよね。ですから、オンライン個別相談会が設定されていたらぜひ活用したいところです。
中学受験は、情報戦とも言われるほど、正確な情報がものをいう受験です。実際に学校に足を運ぶ機会がないとインターネットの口コミなど信ぴょう性の低い情報に踊らされてしまいがちですが、実際に学校に聞きたいことをぶつけてみればより正確な情報が手に入り、納得したうえで受験できますよね。積極的な情報収集こそ、また正しい情報を収集することこそが合否のカギを握っています。ぜひ個別相談会まで徹底活用して、オンライン説明会で正しい情報収集をすることを心がけてください。
まとめ
今回は、オンライン説明会のメリットやデメリット、参加方法や個別相談会についても解説しました。新型コロナウィルスの感染拡大により、なかなか先が見えずに不安、学校説明会すら例年通りではない、ということでご心配のご家庭も少なくないと思います。
ですが、それでも来年度の入試は予定通りおこなわれるでしょう。ただし、例年通りの難易度の入試問題になるのか、それとも基本的な理解を問う問題を出題するのか、など、知りたいことはたくさんありますよね。入試当日の中学校のコロナ対策についても気になるところです。
正確な情報をいかに集められるか、そしてそれらと成績、過去問演習の進み具合を総合的に考慮することが志望校や併願校を決定し、合格に向かって直前期を過ごすためにはとても大切です。ぜひオンライン説明会をしっかり活用し、設定されている場合はオンライン個別相談会も徹底活用して、自分の知りたいことを徹底して聞き、万全の態勢を整えて入試直前期を駆け抜けていきましょう。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。