【中学受験】時事問題の傾向と対策の総まとめ その1

近年の中学入試では、時事問題が必ずと言っていいほど出題される傾向にあります。時事問題を2割以上出題する学校もありますし、時事問題を大問で扱うこともあれば、歴史や地理、政治や国際社会についての大問の中に1問から数問時事関係の問題を出題するケースもあります。また、時事問題の問題と見せかけて、歴史や地理、公民の基本知識を実は聞いているという形の問題も増えています。

塾でも、秋から冬期講習にかけて時事問題を学習されてきている受験生も多いと思います。ただし、時事問題と一言で言っても、非常に範囲が広かったり、違う分野の問題と横断的に出題されたりしているため、「何が出るかわからない」という気持ちが先走ってしまい、苦手意識を持つ受験生も多いのが現状です。

ですが、1年間に大きなニュースになったことは覚えておくべきですが、それがこれまで学習してきた内容とどのようにつながっているのか、そのつながりを聞かれているということを忘れてはいけません。時事問題というのは、そのような名前の特別な問題では決してありません。

今回から数回に分けて、時事問題についての総まとめと取り組み方について解説していきます。

そもそも時事問題とは?

時事問題と一口に言っても、いったいいつまでの、どのような出来事が出題されるのでしょうか。

いつごろまでの出来事が出題されるの?

時事問題とは、一般的に、主に受験の前の年に起こった、日本や世界の主な出来事について考え、答えを導く問題のことをいいます。多くの学校では、夏休み中から秋ごろにかけて入試問題を作成するので、大体夏休みくらいまでにニュースなどで取り上げられた大きな出来事が題材とされることが多いです。しかし、選挙や国際紛争など、内容の重要性によっては12月ぎりぎりに起こった出来事が翌年の入試に出題されることもあるので注意が必要です。

たとえば、昨年度の2017年度の入試では、アメリカの大統領選挙という大きなトピックスがありましたが、現在のアメリカ大統領であるトランプ氏が当選したのは12月のことでした。就任式は2017年の1月でした。

また、環境問題は社会にも理科にも関係する重要な分野ですが、「パリ協定」についてしっかり理解できていますか?パリ協定とは、地球温暖化の防止を目指して、温室効果ガスの排出について、2020年以降の各国の取り組みを決めたルールのことです。これは2016年11月に発行され、法的な効力を持つことになりました。11月という時期でしたが、出題した学校もありました。また。この問題については、アメリカのトランプ大統領がパリ協定からの離脱を6月に表明したので、引き続き出題される可能性が高いといえるでしょう。

「周年問題」のチェックをしておこう

時事問題では、「周年問題」として、ある大きな出来事が起こってから何年後にあたる年に、その当時の問題が出題されることがあります。漫才ではありませんが、「あれから○○年」の出来事をチェックしておくことも実はとても大事なことです。特に、入試の年やその前の年から見て、区切りの良い節目の年に起こった出来事が出題されることがよくあります。

たとえば、2017年を基準とすると、節目の年として、過去にこのような有名な出来事が起こっています。

  • 80年前(1937年):日中戦争がはじまる
  • 150年前(1867年):大政奉還が行われ、王政復古の大号令が出される
  • 550年前(1467年):応仁の乱がおこる

などの大きな出来事がありました。いずれも有名な歴史上の出来事です。しかも、歴史を学習してきた受験生にとっては、決して知らない知識ではありませんね。このような出来事に関して話題になった本の内容を問題文とするような出題も考えられますし、国語でも出題される可能性は十分あります。

2018年度も、同じように節目の年に起きた大きな出来事について、「あれから○○年」という問題が出題されることは十分考えられます。学習の合間に、思いついた出来事を書き出して、その内容を簡単でよいのでチェックしておくとよいでしょう。

時事問題の出題はなぜ増えているの?

時事問題は、例年8割から9割の中学校で出題されています。2017年度に、首都圏の国立・私立中学校の時事問題の出題率は、男子校で約8割、女子校ではほぼ10割、共学校でも約9割に上ります。この割合から見ても、時事問題が出題されないことの方が今や珍しいくらいになっています。

特に社会は、受験生自身が国の政治の主人公(国民主権ということばを公民分野で学習しましたね)であり、18歳になれば選挙権を持つことにもなる、生活に密着した教科なので、時事問題が作りやすいのです。国民として、基礎的な国に関する地理や歴史などの知識や政治のあり方、さらにものの見方や考え方までを問うことができるからです。

2016年に選挙権が18歳に引き下げられてから何度か選挙が行われてきたこともあり、たとえ小学生であっても、幼いころから政治や社会に対するものの見方や考え方を培ってほしいという、中学校からの受験生へのメッセージこそが時事問題として表れているといえるでしょう。

時事問題と固く考えなくても、「いま日本で、世界で何が起こっているのか」という、政治や社会に対する興味や関心を持っているお子さんは好奇心が強いことが多く、よりたくさんのことを知りたいという積極性を持ち、学習意欲も高い傾向があります。中学校としては、やはりそのような生徒さんに入学してほしいという気持ちがあるのです。そのため、時事問題の出題はこれからますます増えていくと考えられます。

2017年度に多く出題された時事問題とは?

では、実際に2017年度はどのような時事問題が多く出題されたのでしょうか。

選挙関係

2016年度には参議院選挙や東京都知事選挙が行われました。また、さきほども書きましたが、2016年度には選挙権を持つ年齢が18歳に引き下げられました。このように、選挙に関連した問題は非常によく出題されています。国政選挙、地方選挙、知事選挙の仕組みの違いや、被選挙権の年齢、議員の任期や議員定数等、基本的な数字は混乱の内容に整理しておきましょう。

また、選挙に関しては、少し難しい話になりますが、「一票の格差」という問題があります。国政選挙が行われた後、よく「一票の格差の裁判」が起こされているのを知っていますか。特に、人口の少ない島根県と鳥取県、徳島県と高知県を一つの選挙区にした「合区」についても出題されました。一票の格差が、国民が持っている選挙権とどのように密接に関わっていることなのかについても理解しておきましょう。

その他にも、ときどき国会中継でも見かけることがあると思いますが、強行採決の問題点について、憲法の条文と関連させて説明させる問題が雙葉中学で出題されました。議会政治そのものの理解がしっかりできていれば、時事問題だと構えなくても正解できます。選挙に関する問題は、今後も頻出だと考えられます。時事問題という形で学校が本当に受験生に求めている知識がどのようなものなのか、押さえておきましょう。

国際関係

国際関係では、イギリスのEU離脱、リオオリンピック、オバマ前アメリカ大統領の広島訪問、難民問題などについても多く出題されました。難民や移民については、2017年度にも大きな問題として報道されていましたから、今後も出題の可能性は高いでしょう。

日本にいると想像もつかないかもしれませんが、世界にいる難民の数は、2015年末で6530万人と言われており、第二次世界大戦後最多となっています。特に最大の難民が発生している国はシリアです。新聞やテレビのニュースで難民関係の国名が出てきたら、必ず地図帳で位置を確認する習慣を最後まで持ち続けましょう。世界地図の中で正しい場所を選ばせる問題もよく出題されます。

難民や移民の問題は、日本には関係ない出来事だと思っていないでしょうか。実際はそうではありません。たとえば、2017年度の入試で慶應義塾中等部では、リオオリンピックに関連して、「日本からブラジルへの集団的な移民が開始された年」を選ばせる問題が出題されています。一見すると難問に思えるかもしれませんが、これは日本の経済が困窮していたことが背景にあります。そして、日本はいくつかの戦争を行っていましたが、特に日露戦争では勝利は得たものの賠償金を得ることができず、経済的に厳しい状態でした。そのことから考えると、日露戦争後すぐの年号を選べばよい、ということになるわけです。実はこの内容は小学校の教科書にも載っています。決して「特別な問題」ではないという意識を持つことが大切です。

このほか、飛鳥時代に、百済の滅亡により、朝鮮半島から渡ってきた渡来人も移民・難民の一つの形といえます。また、1931年の満州事変以降には、日本は、中国東北部の旧満州国に多数の移民を送り込んでいます。決して日本が移民・難民の問題と関係ない立場を貫いているわけではありません。そして、時事問題と歴史も深く結び付いており、結び付けて考えることも大切だということがわかると思います。

その他に多く出題されたトピックス

これら以外にも、伊勢志摩サミットや、世界遺産(国立西洋美術館)、天皇の生前退位についても、かなり多くの学校で出題されました。天皇の生前退位は、2018年度の入試でも出題される可能性が大きいと考えられます。これに関連して、憲法(1条。天皇の地位、国民主権)や皇室典範についても出題されています。細かすぎる知識は必要ありませんが、いま何が起ころうとしているのか、これまでになかったことが起ころうとしていることに興味を持つことが大切です。

憲法の条文は正確に覚えておこう

2017年度の入試では、憲法の条文が、約4割の学校で出題されましています。憲法は公民の中でとても重要な知識ですが、特に最も多く出題されたのは、憲法25条(生存権)でした。憲法25条は、社会保障に関連させた出題が多いです。条文と生存権など、その中身についても簡単でいいので説明できるようにしておきましょう。

25条の次に多く出題されたのは憲法9条(戦争の放棄)でした。何年にもわたって議論され、選挙のたびに問題になる非常な条文です。アメリカとの安保条約の関係、また、三権分立をはじめとした、政治のしくみの基本を、憲法の条文を見ながらしっかり復習しておきましょう。

まとめ~入試でよく出題される時事問題とは

今回は、社会を中心に、2018年度にも出題される可能性が高い分野、知識をまとめてみました。入試でよく取り上げられる時事問題とは、どのような特徴があるのでしょうか。最後にまとめておきましょう。

社会の学習内容と関連しているもの

これまで解説してきたように、いま日本で、あるいは世界で起こっていることがらについて、時事問題という形で出題するというのが最もオーソドックスな形でしょう。ここで気をつける必要があるのは、教科書で扱われていることがらは知っているものという前提で時事問題が出題される、ということです。

塾に通っていると、そのテキストの内容がすべてだと思い、教科書をおろそかにしがちですが、学習指導要領の改訂に応じて、教科書にはかなりの量の知識、写真や地図などの資料が載っています。「中学入試を受けに来る受験生は学校の教科書の内容をおろそかにせず学習している」ということを中学校側は期待していること、そしてその内容が中学入学後も非常に重要だということを改めて意識しておきましょう。

社会と理科の両方にまたがる内容(自然災害など)

理科でも時事問題の出題が増えています。理科単体の時事問題も出題されることはありますが、たとえば地震や火山の噴火、台風などの自然災害は、社会と理科にまたがる内容です。計算問題を解きながら地形図を分析するなど、頭を切り替えながら1問1問着実に解いていかなければならないので、知識の正確さはもちろん、聞かれている内容に必要な知識を選ぶ力が必要になります。

特に、最近は自然災害が頻繁に起こっています。地震なども、首都圏直下型地震が起こったらどうなるでしょうか。そのようなことが起こった場合にどのようなことが起こるか想像ができるでしょうか。このような地震の問題については、まず理科の教科書を確認し、よく理解しておくことが大切ですが、ハザードマップや緊急地震警報など、社会の取り組みについても簡単にまとめられるようにしておくとよいでしょう。

時事問題は、私たちの生活に密着しています。自分には関係ないと思うのではなく、自分がその立場だったらどのような解決方法を考えるだろうか、何が必要だと思うだろうか、そのような想像力も必要です。いくつかの科目にまたがる出題も多いですが、難しいと決めつけずに柔軟に対応できるように、これまで学習してきた基礎知識をしっかり確認しておきましょう。聞かれている知識自体は決して難しいものではありません。本質的なところを理解できているかどうか、中学校は受験生のそういう力を見るために時事問題を出題しています。知っていることを、さまざまな聞かれ方で問われたときにあわてずにこたえられるよう、直前まで基礎の定着をしっかりしていきましょう。

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