社会の学習で気をつけるべきポイントまとめ 歴史・公民編

今年は新型コロナウィルスの影響があり、通常であれば考えられなかった事態が起こりました。新学年になり受験カリキュラムが切り替わったとたん、小学校は休校になり、塾もお休み、あるいは途中からオンライン授業に切り替えられたりと、例年とは異なり「学び方」を臨機応変にしなければならなかったので、特に受験学年の皆さん、保護者の方々は日々の学習をどう進めていくべきか、お悩みのことも多かったのではないでしょうか。

1学期が終わり、夏休みに入ったのもつかの間、夏休みは非常に短縮されてしまい、短いところでは10日以下、多くの小学校が2週間程度と短い夏休みとなりましたね。塾の夏期講習も受講のしかたが変わるなど、毎回のカリキュラム、夏休み全体の学習計画自体も見直しに見直しが続くという事態になってしまいました。

そんな状況だからこそ、夏休みが終わり、2学期以降、受験生なら必ず押さえておかなければいけない重点単元や苦手単元を確認し、理解が足りないところはもう一度正確に理解し、さらには実際に問題を解くときに使いこなせるまでに訓練を積まなければなりません。夏休みは受験生にとって1年の折り返し時点であるとともに、これまで学んだ内容の中から理解の十分なところとそうでないところを仕分け、今後秋以降の学習に活かしていく区切りです。その夏休みが終わって2学期に入ったいま、十分にやり切れていなかった弱点部分の洗い出しと、マストで理解しておかなければならない部分の復習は必ずしておかなければならないことです。

特に、社会や理科といった、「正確な知識」がすべての問題を解く際の土台になっている教科については、こまめな復習や知識の確認がこれから受験直前期にかけてさらに重要です。しかし、ただやみくもに単語を覚えようとするだけでは足りません。覚えられない単語をただ単純に反復しても、その意味まできちんと理解していなければ、一瞬覚えてもすぐに忘れてしまいます。それだけでなく、ほかの関連知識とのつながりを意識することができません。すると知識どうしが混乱してしまい、どのような問題でどの知識を使えば良いか、という知識の使いこなし方を習得できずいざ問題を解こうとしたときに、わかっているはずなのにできない、ということになってしまうのです。

特に、本格的に始まる志望校・受験校の過去問演習においては、正確な知識がなければ制限時間内に解くことができず、点数もとれないのでモチベーションが下がってしまい、敬遠して勉強しなくなる危険性もあるので注意が必要です。ですが、まだ挽回する時間は十分あります。もし「ここが理解できていないな」と思うところに出会ったら、今の学習方法は本当に知識の定着に役立っているのか、効率は悪くないのかという点を、今一度見直してみましょう。

受験生の皆さんはこれまで、塾の授業を中心に学習サイクルを回していくという生活を送ってきたことでしょう。もちろん、塾の学習は、カリキュラムにのっとってこなしていけば、過不足なく一通り受験範囲を学習できるという意味で大きな存在です。しかし、現在のような状況においては特にですが、本来は、塾での授業を受ける以上に、自宅においてどれだけ自分のための学習ができるのか、という点が受験の合否を分けるカギになっていることを忘れてはいけません。いまのような状況だからこそ、自宅における自分のための学習と、弱点補強のための復習の重要性を認識しながら勉強していくことが大切です。

今回は、社会の歴史と公民分野について、秋以降の学習に欠かせない、受験生であれば必ず押さえておくべき単元や知識とそれを押さえる上での注意すべきポイントを整理します。もし自信がないな、と思ったら、そのときこそ克服のチャンスです。ぜひ振り返りをして、知識の定着を図っていきましょう。

歴史で注意すべきポイント

社会は暗記の教科、というのはもちろん間違った認識ではありません。ただし、ただ単語を覚えて因果関係や意味を理解していなければいくら暗記しようと思っても覚えられず、定着も図れません。社会は大きく分けて地理、歴史、公民の3分野に分かれますが、歴史は地理や公民とも非常に関係が深く、それらの知識との関連性を意識しながら知識を覚えていく必要がある点に注意が必要です。ただ人名だけ、できごとの名前だけ覚えてもすぐに忘れてしまうので、学習の際には注意しましょう。

歴史の勉強をする際には、まずは必要となる地理の知識がしっかり理解できているかどうかの確認をすることをおすすめします。都道府県の位置が把握できていなければ、たとえば遺跡の場所や都の場所、できごとが起こった場所など、「なぜそこで起こったのか」という歴史の根本を理解することができません。

実際の入試問題でも、歴史ですが日本地図が出てきて、あるできごとが起こった場所や、都があった場所を選ばせるという、ワンクッション置いた形で知識を問う問題が増えてきます。知識が正確かどうかということと、単なる単語の暗記に走っていないかどうか、理解できているかどうかを確かめるためにはそのような形で直接的に単語を聞くのではなく、一度考えさせて答えさせるという傾向が増えてきているので注意しましょう。

まずは、歴史全体を見て時代ごとに、中心となった都や幕府などがあった場所、たとえば明治維新などで薩摩藩や長州藩といったことばがでてきたら今のどの都道府県にあたるのか、といったことを地図帳で一通り押さえてしまいましょう。地理関係が理解できると、誰がどこの出身で、なぜ歴史的事件を起こしたのか、ということが分かるので、歴史固有の知識を入れる際にも土地勘ができるので「なるほど、こうつながっているのか」という確認がしやすくなります。

このように主要な場所や地名を地図帳で調べてから、本格的に歴史特有の知識を整理していきましょう。大切なのは、ひとつひとつの人名やできごとを覚えることだけではありません。もちろん知識は量も必要ですが、質を考える必要があります。知識の質というのは、つまりは知識どうしの関連性をつかむことができているか、歴史的事件のきっかけをはじめとした因果関係について整理できているか、つまり歴史の流れを押さえることができているか、ということです。

知識の質が低いと、違う時代に人物を登場させてしまったり、年号を見ればどの時代かわかるにもかかわらず思い込みでできごとが違う時代に起こってしまったりという知識の混乱が見られるようになってしまいます。

歴史は時代と時代のつなぎ目が非常に重要ですが、それはそういった時期には変革が起こるため重要な歴史的できごとが集中し、それにかかわる歴史上の人物もたくさん出てくるからです。歴史の流れをしっかり覚えておらず、単体の単語を覚えているようでは質の高い歴史の学習はできないので意識しておこなうようにしてください。

歴史分野の学習をはじめた当初、5年生の後半は、塾の授業の進みも早く、出てきた人名や地名など、単語やできごとの年号を覚えるのに必死になってしまい、単体の知識を何とか入れよう、という学習方法に陥りやすい受験生は少なくありません。ただし、歴史を塾で体系的に学ぶ期間は量に比べて非常に短いので、知識が混乱状態になってしまっていることも多いでしょう。ですから、これからの時期、弱点になっているところをピックアップして重点的に学習していくことが重要です。

いくら単語や年号を必死に覚えてもなかなか点数が取れない、という経験をしたことはありませんか?それはなぜかと言うと、歴史上のできごとは、その事件単体で完結することはまずないからです。たとえば江戸幕府が鎖国政策に踏み切ったという知識は受験生なら皆さんお持ちですよね。しかし、ある日突然江戸幕府の将軍が外国嫌いになって鎖国に目覚めたわけではありません。鎖国をするには、諸外国との関係を続けていると江戸幕府に都合の悪い事態があったからだという理由まで理解しておかないと、本質を突かれた問題が出たときに太刀打ちできません。

また、日本が第一次世界大戦・第二次世界大戦という二度の世界大戦に参戦することになったのも、単に戦いたかったからというわけではありませんよね。このような大きな歴史上の動きが起こる前には、必ず細かい変化が存在していたということに注目してみましょう。

1941年に太平洋戦争がはじまり、1945年に日本の降伏によって終わったというような断片的な知識だけでは、その周辺に起こったほかの国との関係や戦争が起こったきっかけなどについて選択肢問題や記述問題で問われたときに歯が立ちません。世界大戦は、世界中を巻き込んだからその名がついているのです。ですから、起こった戦争も太平洋戦争だけではありませんし、どの国といつ対立関係になったのか、同盟関係を結んでいたのはどの国とか、さらにはそれを裏切られて敗戦に至ったのはなぜか・・・といったできごとの原因と結果に加えて、そこに関わった人物や国の名前をすべてあるできごとに関連する知識として絡めて覚えるようにすることがとても重要です。

もしその際に、「あ、このできごとはこれに関連するんだ」ということが分かれば、知識が深まり、さらに正確になっていきます。歴史の場合、国と国との関係は何百年もさかのぼって争いの発端となる火種があるものです。一時代だけを切り取って理解しようとするのではなく、あるできごとに至る過程を意識して、ときにはほかの時代の知識の確認に戻ることも大切です。もしその過程で地理的知識があやふやなことが分かった場合には、地図帳に戻って並行してカバーしていくようにしましょう。

公民で注意すべきポイント

公民は、主に6年生以降の1学期にはじめて学習することになります。つまり、社会の受験カリキュラムの一番最後に配置されているわけですね。なぜ地理、歴史のあとに学習するかというと、目に見えない抽象的な概念を具体的に理解しなければならないという特徴があり、4年生、5年生だとまだそこまで抽象化できる力がないからです。地理や歴史ほど出題の割合は多くはありません。中学入試では、地理:歴史:公民=4:4:2であることが多いです。なかには、成蹊中学校のように公民の大問を出して地理や歴史の知識を問うという学校もあります。

このように地理や歴史に比べて一般的には出題される割合がそれほど多くない公民ですが、たとえば選挙制度についての知識や日本国憲法の条文の知識など、ほかの分野ではなかなか学習する機会のない内容をしっかり理解し、知識として定着させる必要があるのが大きな特徴です。先日自民党総裁選や立憲民主党総裁、さらには内閣総理大臣指名選挙がおこなわれましたが、国会議員や知事の選挙制度も含めて、日本ではさまざまな選挙がおこなわれます。日本国憲法の内容が争点になることも少なくありません。そういった意味でもとても大切な知識ですが、皆さんはきちんと整理できているでしょうか。

公民では、地理や歴史のように細かい固有名詞はあまり出てきません。その代わり、公民分野に特有の用語や知識が非常に多く、しかも覚えにくいのが特徴です。たとえば、中学入試で頻出の日本国憲法の問題として、25条の1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という文言は、長いですが一字一句正確に覚えておく必要があります。

さらに、ただ文言を丸暗記するだけでなく、「健康で文化的な生活とは何か」「最低限度というのはどの程度なのか」「この条文で表されている権利は社会権であること」「社会権を実現するための政策や制度には何があるのか」といったことまで派生させて理解しなければいけないので、知識の広がりを意識することが大切なことを知っておきましょう。

地理や歴史の知識は長くてもできごとの名前などですから、この憲法の条文のように長い文言を一言一句間違わずにおぼえなければいけないというのは公民特有の知識の特徴です。そして、公民の知識問題では特に「知識の正確さ」が求められます。もちろん地理や歴史などで出てくる地名や人名、できごとや年号といった知識は正確であることが前提ですが、公民の場合は特に細かい数字に注意が必要です。

たとえば、先ほど選挙制度について重要だと指摘しましたが、衆議院議員や参議院議員の定数が何人なのか、法案を可決する際には国会議員のどれだけの賛成が必要なのか(答えは過半数)、憲法改正の発議にはどれだけの賛成が必要なのか(答えは両院の総議員数の3分の2)、その発議に基づく憲法改正の国民投票で必要な票数はどれだけか(答えは国民の過半数)といったような細かい数字がたくさん出てきますが、ひとつ間違えると芋づる式に失点してしまうのも公民の怖さです。ほかの制度の数字と混同していないかどうか逐一確認しながら、正確に覚えていきましょう。また、衆議院議員や参議院議員の定数などはときどき変わります。今年は変化はありませんが、そういった定数削減の決議がおこなわれたときには意識しておくことも必要です。

この秋には、党の総裁選や内閣総理大臣指名選挙、菅義偉内閣の発足といった大きな政治的動きがありました。菅内閣の前の安倍晋三内閣では、内閣総理大臣在任期間最長という記録も更新しましたね。また、東京都知事選挙も予定通り行われました。11月3日にはアメリカで大統領選挙がおこなわれます。

現在、トランプ大統領は夫人とともに新型コロナウィルスの陽性であることが判明し、混乱することが予想されますが、日本の選挙制度とアメリカの選挙制度には異なる点がたくさんあることも意識しておく必要があります。なぜなら、比較して何かのテーマを考えさせる問題が難関校を中心に増えてきているからです。

そのため、時事問題という意識も持ちつつ、選挙制度などの知識は正確に理解し、覚えておくことが必要です。そして、政治と憲法は切っても切れない関係であることも覚えておきましょう。安倍政権は憲法9条(戦争放棄)の改正を目指してきましたが、実現することはできませんでした。なぜ9条がわざわざ憲法の中に盛り込まれているのか、さきの戦争に対する反省と平和憲法という日本国憲法全体を通して根本となっている考え方についても改めてその意味を押さえておきましょう。

来年の入試の時事問題としては、選挙制度や憲法問題は外せないでしょう。この1週間世間で議論を呼んでいるのが、菅内閣総理大臣による、日本学術会議に推薦された学者の任命拒否です。細かい内容まで知る必要はありませんが、これは日本国憲法で保障されている「学問の自由」と大きな関係があります。日本国憲法で学問の自由がわざわざ規定されているのは、第二次世界大戦時において、政府による学問への介入が目に余ったからです。

学問の自由は思想信条の自由という、絶対に侵してはいけない人権とも関係します。日本学術会議は、学問的な立場から政府に提言をおこなっていく組織ですが、そこには多様性があることが大前提です。だからこそ、さまざまな研究・学問をおさめている学者が選ばれるのです。菅政権による任命拒否は、この学問の自由の根幹に口を出していることと同じなので、今後も議論を呼ぶと考えられます。

日本国憲法を学習する際には、なぜ大日本帝国憲法から改正されることになったのか、大日本帝国憲法と内容を比較することも大切です。大日本帝国憲法では主権者(国の政治の在り方を最終的に決定する権利を持つ人)は天皇でしたが、日本国憲法では主権は国民にあります。ですから、日本国憲法の原則は国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義となっているわけです。そして、内閣や国会、裁判所すべてが日本国憲法をしっかり守らなければならないという制度になっています。

時事問題としてもよく出題されるので、選挙や日本国憲法についてはしっかり押さえておきましょう。特に政治問題は今年の重大トピックスです。時事問題対策としてはやはり日々のニュースをチェックすることが大切です。ですが、ただニュースを流し読みするだけでは定着しません。

話題となっていることがどこで発生しているのか、なにが原因で問題とされているのか、といったことを意識することが大切です。時事問題に特化した問題はそれほどたくさん出るわけではありませんが、公民分野の学習をする際の考え方は同じです。このように意識しなければいけないポイントをしっかり考えながら情報を収集し、理解しきれないところは家族で話し合ってみるなどすると定着するので、ぜひやってみてください。

まとめ

今回は、社会の歴史と公民分野について、直前期に気をつけるべき学習のポイントをまとめました。社会はわたしたちの身の回りの身近なことが問題として取り上げられる教科です。

どの教科であっても、直前期に向けてこれまでの復習や苦手単元の克服は非常に重要です。そのなかでも非常に多くの知識量が求められるのが社会という教科であり、しかもその知識が正確なものでないと点数にまったく結びつかないという、「知らないと解けない」教科であるのが特徴です。

ですが、弱点となっているところを洗い出し、もう一度できごとの因果関係を含めて「なぜそうなるのか」ということを意識し直しながら克服していくと、知識の定着度が目に見えて変わってきます。毎週のカリキュラムをこなすだけでは理解できなかったことを一つひとつつぶしていくことがこれからの歴史や公民分野の克服にあたっては最も重要です。

効率の良い学習方法を模索することも直前期の時間との闘いのなかでは重要ですが、正確に覚えなければならないところはやはり立ち止まって考えてみて、理解を深める必要があります。入試問題で出題されるときには、単純な1問1答のような問題は出題されないからです。なぜそうなるのか、という理由づけも合わせて知識を整理し直し、弱点となっているところは短いスパンで回せるようにまとめておきましょう。

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