中学受験の問題の中で、速さの中で「点の移動」という単元の学習があります。点の移動は一般的に、旅人算を学習した少しあとくらいのタイミングで学習します。
点の移動の問題には、問題文だけでなく図やグラフがあり、それぞれに問題を解くための条件が少しずつ散りばめられています。
この単元を苦手としてしまう子は、どういうところでつまづいしまうのでしょうか?
そもそも「速さの概念」が身についていないのであれば、速さの基礎から確認する必要がありますが、「旅人算ならできるのに点の移動になるとできない」というような場合もあります。
そこで今回は、点の移動のつまづきやすいポイントと、点の移動のグラフを描く練習ができるプリントをご用意しました。(プリントは記事の最後のほうにあります。)
Contents
つまづきやすいポイント
なんで点が動くの?
点の移動の問題を初めて学習するとき、「なんで点が動くの?」というところに疑問を持って気になってしまう生徒さんがいます。そういう生徒さんは、まず問題の本題に入る前ですでにモヤモヤしているので、なかなか問題の本質までたどり着きません。
そういう子には、「そういうもんだから」となかば強引に認めさせるよりも、もっとわかりやすく納得させる方法があります。
例えば「図形の上を虫が歩いていく問題を解きますよ~!これをPちゃんと名付けて解こうね!」というように、小さい虫や動物だと思わせることです。
速さの問題をすでに学習したうえでの問題なので、「動いて当たり前のものが主人公」として問題を解くのであれば、違和感が緩和されます。
条件の見落としが多い
冒頭にも書いたように、点の移動の問題は「問題文」「図」「グラフ」から成り立っており、そこから問題を解くための条件を拾っていきます。図やグラフにばかり目がいってしまってそもそもの問題文を読んでいないお子さんもいるので注意しましょう。
特に、問題文に書かれているのに見落としやすいのは次のような条件です。
- 点Pの速さ
- 点Pの進み方(出発点、進む方向、どこまで動くのかなど)
- 辺の長さ(図の中でなく問題文の中だけに明記されている場合があります。)
グラフの読み取りができない
点の移動の問題は、「速さ」と「平面図形」と「グラフ」を組み合わせた問題構成になっています。点の移動の問題で出てくるグラフは、たいてい「三角形ABPの面積の変化の様子」などを表しています。
「面積の変化」をしっかりイメージできていない場合に、まずグラフが何を表しているのかが理解できないので、グラフを読み取ることができません。
このような生徒さんの場合、まず面積の変化の様子をしっかりと理解させる必要があります。そのためには、実際に少しずつ時間をずらして面積を調べさせたほうがよいのですが、市販の問題集のほとんどは「読み取りの問題」ばかりで、実際に面積の変化の様子やグラフを書かせるというような導入部分はカットされています。
この「実際に面積の変化の様子とグラフを自分でかく」という作業をしているかしていないかで、グラフが何を表しているのかを理解できるかどうかがかなり変わってきます。
最初から図形の変化をイメージできるお子さんはよいのですが、平面図形に対して苦手意識のあるお子さんなどは、実際に変化の様子とグラフを描くところから始めたほうがよいでしょう。
この記事の次の項目でプリントをちょっとだけ用意していますので、ぜひ実際に取り組ませてみてください。
実際にグラフをかいてみよう
点の移動が苦手なお子さんは、まず自分がグラフを作るということを経験させることで、問題の構成を初めて理解できる場合があります。
例えば次のような問題があった場合に、グラフの読み取りの前に自分でグラフがかけるかどうかを確認しましょう。
上のような問題で、途中経過の図を描かずに頭の中で図形をイメージできるのであればすぐに右のようなグラフがかけると思うのですが、点の移動が苦手な場合にはまずそれは「できない」のではないでしょうか。グラフを描く前に、面積の変化の様子をきちんと調べていきましょう。
グラフをかくときに気をつけるべきポイントはこちら。
- 点Pの動く速さ
- 辺の長さ
- 点Pが辺を移動するのにかかる時間
- 頂点についたときの三角形の面積
「かくときに気をつけたこと」は「読み取るときに気をつけること」に繋がります。グラフを実際にかくことにより、グラフの読み取りの問題でもどこを見て問題を解けばよいのかがわかるようになります。
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