より深く調べて考えよう!地球温暖化が発生している原因,その根拠,そして影響【資源とエネルギー】

近年地球温暖化という現象が注目され,様々な対策が取られています。そのため中学受験の社会でも地球温暖化,というトピックが取り上げられやすいです。そのため本記事ではこの現象を詳しく理解するために,原因や影響について取り扱っていきます。

地球温暖化って?

そもそも地球温暖化とはどんな現象を表すのでしょうか。これについては,名前の通り地球の温度が上がっていくことを指します。人が産業革命以降化石燃料をたくさん使用するようになると,二酸化炭素が大量に空気中に放出されるようになりました。

この二酸化炭素のような物質は温室効果ガスと呼ばれ,地球の温度を上げる効果があると言われています。温室効果ガスがあることで地表から跳ね返る太陽光が宇宙へ返っていくことが防がれる,というのが現在考えられている温暖化の基本的な仕組みです。温室効果ガスは適度な濃度であればヒトが生きるのに快適なくらいの気温を作り出すのですが,その濃度が高いと余分な熱を逃すことができなくなってしまい,地球の気温がどんどん上がっていくというわけです。(下図は日本ガス協会からの引用です。)

この地球温暖化が進むと,海面上昇や異常気象を中心とした様々な問題が生まれてしまいます。それゆえ近年地球温暖化,ひいてはその根本的な原因となっている化石燃料の使用について「このままではまずい」と懸念されており,様々な対策がとられています。化石燃料国際的な対策・会議については過去の記事を参照していただき,ここからはどうして二酸化炭素が温暖化の原因と言えるのか温暖化の何が大変なのか,という一歩踏み込んだ話をしていこうかと思います。

温暖化と二酸化炭素が結びつくわけ!

ここからはどうして温暖化の原因が二酸化炭素の濃度の増加にあると言えるのか,ということについて見ていきましょう。学校や参考書では「温室効果ガスや地球温暖化という単語を覚えよう」と言われがちですが,受験を志すお子様の中にはなぜ・どうして温暖化が起きるのかに疑問を抱く方もいることでしょう。そこで今回はより深い,温暖化と二酸化炭素に関連をお話ししていきます。

まずは近現代に入ってから温暖化が進んでいるということをデータの側面から理解していきましょう。下のデータは気象庁から引用した世界の年平均気温の差です。読み方に若干癖がありますが,簡単に言えば横軸が時間の経過・縦軸が気温の高さを指します。このグラフを見ると,様々な変動が繰り返されながらも,現代に近づくにつれて地球の気温が上昇しているという傾向が読み取れます。

さて,それでは温暖化の傾向を確認したところで,次に二酸化炭素の濃度グラフを見ていきましょう。このグラフは気象庁から引用したもので,横軸が時間の経過・縦軸が大気中の二酸化炭素濃度の高さを表します。つまり,グラフが右上に傾いていれば濃度が上がっていき,右下に傾いていれば濃度が下がっていくというわけです。このグラフを見ると,1980年代から2020年代にかけて二酸化炭素濃度が徐々に上がっていることがわかります。ちなみにここで3箇所のデータが記載されているのは,どこの地域でも同じような現象が発生しているということを示すためですね。

ここまでの説明で察しがついた人もいるでしょうが,以上の2つのグラフの形は非常に似ています。このように温暖化が始まる時期と二酸化炭素濃度が上がる時期とが一致していることから,地球温暖化の原因が二酸化炭素の過度な排出にあるのではないか,と考えられるようになりました。中学受験レベルで二酸化炭素濃度のグラフが現れることはまずないでしょうが,理由や原因をセットで覚えておくと知識が定着しやすいので,ぜひこの機会に軽く頭に入れておきましょう。

地球温暖化がもたらす影響

ここからはさらに進んで,地球温暖化がどのような影響をもたらすのかについて説明していきます。気温が上がるというだけでは「なんだそれだけか」と感じるかもしれませんが,温暖化は地球の環境に対して深刻な被害を与えます。

海面の上昇

一つ目に考えられる影響が海面の上昇です。平均気温が上昇することで,北極や南極といった極地の氷が溶けてしまい,その結果海の水のかさが増え,水位が上昇してしまいます。海面が上昇する,とだけ聞くとそこまで深刻な話には聞こえないでしょうが,実際のところはこの問題に苦しめられている島や地域がたくさんあります。

その例としてしばしば挙げられるのが熱帯地方のツバルという島国です。この島の標高は高いところでも海抜5メートルほどしかなく,少しの海面の上昇で土地がどんどん狭くなってしまい,やがては水没する危険があると言われています。

また日本内部でも,沖ノ鳥島のような場所が水没の危険があると言われています。この島には人が住んでいるわけではないのですが,水没してしまうと日本の経済に大きな影響を与えてしまうため,防波堤を作ったりして沈むのを防いでいるというのが現状です。

このような水没や海面上昇の問題はあまり関係ないように思う人が多いでしょうが,重要視しなければいけない課題の一つです。ぜひ受験対策として覚えておきましょう。

干ばつの発生

二つ目に考えられるのが干ばつの発生です。干ばつとは,雨が降らなかったりして地面の中の水が干上がってしまう状態のことを指します。地球の平均気温が高くなると,どんどん土の中の水分が蒸発してしまい,その結果地面が次第に乾燥してこのような現象が起こりやすいというわけです。

干ばつが起こるとそこで作っていた農作物は一切ダメになってしまいますから,この干ばつという影響は食糧難にもつながる重大な問題です。また更に深刻なのが,干ばつが長続きした場合です。地面が乾燥した状態が長い間続くと,その土地は砂漠になってしまい,簡単には元の状態に戻りにくくなってしまいます。今の地球の環境を将来に伝えていくという意味では,砂漠化も食い止めなければならない事象の一つです。その点で干ばつ,ひいては地球温暖化の深刻さを再認識していただければと思います。

生態系への被害

三つ目に考えられるのが生態系への被害です。こちらは上の二つの影響とも関わってくる話なのですが,気温が上昇して海面が上昇したり土地が乾燥したりすることで,生物にとっての生息環境が大きく変化してしまいます。そしてこの変化に対して適応できる生物とできない生物とが現れてしまい,適応できなかった方の生物は絶滅する可能性が増え,生態系のバランスが壊れてしまうというわけです。

「温暖化くらいで大袈裟な」と考える人もいるでしょうが,実際私たち人間もちょっと涼しくなったり暑くなったりするだけで体調を崩してしまうことがありますよね。温暖化でそれと同じようなことが起きると考えてみてください。ちなみにWWFによると温暖化を原因として絶滅しかけている動物はなんと4000種類もいるそうです。

その代表とも言えるのがホッキョクグマでしょう。先ほど海面の上昇でも述べましたが,気温が上がることで北極の氷が大量に溶け出してしまいます。このことは,ホッキョクグマが主食としているアザラシの減少につながります。したがってホッキョクグマの食べるものがどんどん減っていき,それゆえにその数が減少しているというわけです。他にもアフリカゾウジャイアントパンダといった有名な動物も次々に絶滅の淵に追いやられていて,どうにかして被害を食い止めなければいけないという意識が国際的に高まっています。

異常気象の多発

四番目にご紹介するのが異常気象の多発です。温暖化と異常気象は一見関連していないようにも思えますが,実は地球の平均気温の上昇は異常気象という影響ももたらしうるのです。その理由は雨が降る量や時期が変動するからです。

温暖化が進むことで海の水がたくさん蒸発するようになる,ということは先ほどご紹介しましたね。ここで蒸発した水分というのはやがて雲となり雨となり地表に降り注ぎます。このことから,温暖化が進むことで降水量がとても多くなったり,普段なら雨が降らない時期にも雨が降ったり,その逆で雨が全く降らなかったりと,異常気象の発生確率が高まってしまうというわけです。現に近年日本でも,大型の台風のような災害級の異常気象がしばしば発生しています。そのため重大な影響の一つと考えられるでしょう。

感染症の飛来

最後にご紹介するのが感染症の飛来です。この感染症という単語も温暖化とはもしかしたら結びつきにくいかもしれません。温暖化が進むと,地球の中でどんどん気温が高く降水量の多い地域が増えていきます。このようにして熱帯のような地域が拡大していくと,そこに住む生物も徐々に北上して生息地を拡大していきます。

そしてこの過程で熱帯地域の伝染病を持った蚊などがやってきてしまうと,感染症が元々は暑くなかった地域に広まっていってしまうというわけです。有名な感染症だとマラリアデング熱といったものが挙げられます。これらの感染症は人間の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため,感染症や健康維持という観点からも地球温暖化に対する取り組みは重要だと言えます。

まとめ

今回の記事では地球温暖化について詳しく見ていきました。受験する中学校のレベルにもよるでしょうが,前述したように環境やエネルギーというのは今日の中学入試において対策が欠かせない範囲となっています。この記事だけでは抑えられていない環境に関する知識や情報もたくさんあるかと思いますので,参考文献やおすすめ記事を参照していただけますと幸いです。

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