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はじめに
ものが燃えるという現象は,私たちの生活の中でも,かなり身近な現象だと思います. ものが燃えるとは何でしょうか.
また,ものが燃えるときは炎が出ます. それでは炎とは何でしょうか.
これらの質問に答えるのはなかなか難しいと思います.
ものが燃えるために必要なことは何か,炎とは何か,ものの燃え方について,ここで学んでいきましょう.
燃焼とは
まずはものが燃える現象,すなわち「燃焼」とは何かについて学んでいきましょう.
化学反応には様々な種類があります. その中でも物質が酸素と結びつく反応を,特に「酸化」と呼びます.
酸化反応の中でも,その程度は様々です. 素早く,激しく酸化するものもあれば,ゆっくりと酸化していくものもあります.
少し例を紹介しましょう.
「炭や紙が燃える」のも,それらと空気中の酸素が結びつく反応ですが,これらは火が出るほど激しい酸化反応です.
一方で,「長い時間をかけて金属がさびる」のも,実は酸化反応です. さびるという現象は,非常にゆっくり,金属と空気中の酸素が結びつくことで起こります.
程度が激しい酸化反応では,熱や光を発しながら反応が進行します.
このように,大きな熱や光の発生をともなう,激しい酸化反応を「燃焼」と呼びます.
《確認》 下の空欄を埋めなさい。ただし同じ番号には同じ言葉が入ります.
- 物質が酸素と結びつく反応を( ① )といいます.
- 大きな熱と光をともなう,激しい( ① )反応を( ② )といいます.
《解答》
- ①:酸化
- ②:燃焼
燃焼が起こる条件
上では,燃焼とは何なのかについて確認しました.
次に,燃焼が起こる条件,すなわち,「ものが燃えるために必要なこと」を確認しましょう.
ものが燃えるために必要なものは3つあります.
- 燃えるものがあること
- 新しい空気に触れていること(十分な酸素があること)
- 発火点以上の温度であること
ものが燃えるためには,もちろん燃えるものが必要です.
そして新しい酸素が供給されなければ,結びつくものがなくなるので,反応(燃焼)が止まります. さらに,一定以上の温度がなくても,燃焼が続きません.
つまり,これら3つの条件が全て揃ったときに,燃焼が起こります.
どれか1つでも欠けていてはいけません.
《確認》 燃焼が起こるための条件を3つ答えなさい.
《解答》
- 燃えるものがあること
- 新しい空気に触れていること(十分な酸素があること)
- 発火点以上の温度であること
ろうそくの燃え方
燃焼で特徴的な点と言えば,炎が出るところです. 大きな炎だと複雑なので,シンプルな炎について見ていきましょう.
ここではろうそくの炎を取り上げます. ろうそくがどのように燃えて,炎が出ているのかを確認しましょう.
- まず,加熱されたろうは,固体から液体となります.
- 液体となったろうは,ろうそくの芯の部分を伝って,のぼっていきます.
- 芯を伝ってのぼってきた液体のろうは,芯の先で気体となります.
- 気体となったろうに含まれる炭素と水素に,酸素が結びつくときに熱と光を発します.
- 酸素と結びついた炭素は二酸化炭素となり,酸素と結びついた水素は水蒸気となります.
ここでポイントなのは,反応を起こしているのは,「気体」のろうであるという点です.
さらに,気体のろうが燃えるとき,一部の炭素は酸素と十分に結びつきません. 酸素と結びつかなかった炭素は,「すす」として出ます.
また,すすは熱せられることで輝きます. このすすの輝きが,炎の輝きとして見えるのです.
《確認》 下の空欄を埋めなさい. ただし違う番号に同じ言葉を入れてもよいとします.
ろうそくは次のようにして燃えます.
まずろうそくは熱せられることで固体から( ① )体となり,芯を伝ってのぼります. そして芯の先でろうは( ② )体となります.
燃えるのは( ③ )体のろうです.
このとき,ろうの成分に含まれる( ④ )と( ⑤ )が空気中の酸素と結びつきます.
( ④ )は酸素と結びつくことで二酸化炭素となり,( ⑤ )は酸素と結びつくことで水蒸気となります.
《解答》
- ①:液
- ②:気
- ③:気
- ④:炭素
- ⑤:水素
完全燃焼と不完全燃焼
ここで,上で説明したように,ものが燃えるときに,炭素が酸素と十分に結びつかない場合について,もう少し詳しく説明します.
普通はものが燃えるとき,物質に含まれる炭素が十分に酸素と結びつくと二酸化炭素になります. 炭素が二酸化炭素になるような燃焼を,特に「完全燃焼」と呼びます.
一方で,酸素の供給が不十分であったりすると,酸素と十分に結びつかない炭素が出てきます. 酸素と結びつけなかった炭素は,すすとして残ります.
また中途半端に酸素と結びついた炭素は一酸化炭素となります.
このように,炭素が酸素と十分に結びつかずに,すすや一酸化炭素が出る燃焼を,「不完全燃焼」と呼びます.
《確認》 下の空欄を埋めなさい.
ものが燃えるとき,炭素が十分に結びついて,二酸化炭素が発生するような燃焼を( ① )といいます.
一方で,炭素が酸素と十分に結びつかずに,すすや一酸化炭素が発生するような燃焼を( ② )といいます.
《解答》
- ①:完全燃焼
- ②:不完全燃焼
ろうそくの炎
ものの燃え方を踏まえたうえで,次は,実際の炎のおおまかな構造を見ていきましょう.
ろうそくの炎は図のようになっていますが,大きく3つの部分に分けることができます.
内側から,「炎心」,「内炎」,「外炎」といいます.
炎心
炎の1番内側の部分です. 芯を伝ってきたろうが,液体から気体に変わる場所です.
酸素が十分にないのでここではまだ酸素とあまり結びつかず,熱や光をあまり発しません.
そのため炎の中でも温度の低い場所であり,約1000~1100℃くらいとなっています.
内炎
炎の中の部分です. 少し酸素が不十分な場所であり,不完全燃焼を起こしています.
発生した炭素が,酸素と十分に結びつかなかったことで発生したすすが,熱せられて輝いています.
そのため,炎の中で最も明るい場所となっています. 温度は約1100~1200℃となっています.
外炎
炎の最も外側の部分です. うすくぼんやりしていて,見にくい箇所となっています.
酸素によくふれているため,炭素は酸素と十分に結びつく完全燃焼が起こり,強い熱を発します.
そのため炎で最も温度が高い場所で,約1200~1400℃となっています.
《確認》
(1) 次の空欄を埋めなさい.
炎の構造は,おおまかに分けて,外側から( ① ),( ② ),( ③ )の3つがある.
(2) 次の特徴にあてはまる部分を,上の①~③から選びなさい.
(ア) すすが熱せられて光を発しており,炎の中で最も明るい部分
(イ) 酸素が最も少なく,あまり炭素が酸素と結びつかず,うす暗い部分
(ウ) 最も酸素と触れやすく,完全燃焼のために最も温度が高い部分
《解答》
(1)
- ①:外炎
- ②:内炎
- ③:炎心
(2)
- (ア):②
- (イ):③
- (ウ):①
木の燃え方
最後に,木の燃え方について簡単に確認しましょう. 燃える原理は,基本的にろうそくと同じです. ただし木の場合,温度の高い内炎や外炎の部分で黒く焦げます.
また,木が燃えたあとには白い灰が残ります.
これは,木の中に含まれる成分のうち,カリウムなどの燃えない成分が残ったものです.
入試問題演習
ここまでに学習したことを活かして,実際の入試問題に挑戦してみましょう.
問題
解答
- (1) ③
- (2) ア
- (3) たくさんの酸素と接しているため。
- (4) イ
- (5) ア:① イ:② ウ:⑤
- (6) ウ
- (7) A,C
- (8) B
解説
(1)
炎は中心からおおまかに,炎心,内炎,外炎の部分に分けられます.
(2)
外炎が炎の中で最も温度が高い箇所となっています.
(3)
たくさんの酸素と接しているため,より炭素が酸素と結びつく反応が起こり,その分強い熱を発します.
(4)
酸素と十分に結びつかない炭素によって生じたすすが,熱せられることで強く輝きます.
(5)
- ア:ろうは外炎では完全燃焼を起こしています.
このとき炭素と水素は,それぞれ二酸化炭素と水蒸気に変化しているため,ガラス棒に付着するものはありません. - イ:ろうは内炎では不完全燃焼を起こしています.
このとき,炭素が十分に酸素と結びつかずに生じたすすがガラス棒に付着します. - ウ:外炎,内炎の部分はア,イと同様です.
炎心の部分は,気体となったろうが一部燃えずに,そのままガラス棒で冷えて固体に戻り,ガラス棒に付着します.
(6)
ガラス管の中を通ってくるのは気体のみです.
このとき燃えるものが気体の状態で存在するのは,炎心部分のみです.
(7)
ろうそくに息を吹きかけると,燃えるものである気体のろうが吹き飛ばされます.
また口から出た空気は温度が低く,発火点以上の温度を保てなくなります.
(8)
炭の場合は内側で燃えていたりするので,少し息を吹きかけても,もえるものが全て吹き飛ばされたり,一気に温度が下がることはありません.
むしろ新しい酸素が供給される効果が大きく,より激しく燃えます.
まとめ……の前に
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まとめ
ものが燃えるとはどういうことか,炎はどのような原理で生じているか,ということは燃焼という現象を理解するうえでとても重要です.
固体が燃えているように見えても,実は気体となった後に燃えているなど,イメージと違っていた点もあると思います.
身近な現象であることから,取り上げられることも多いので,しっかり復習しておきましょう.