「小論文ができるようになりたい」と思った時、何からすれば良いのでしょうか。
もちろん、小論文という科目には単語帳で単語を覚えたり、教科書を読んだりしたりするような勉強法はありません。
それでも、小論文が得意な人に近づく方法はあります。今回はそのうちのいくつかを紹介します。
本を読む
日頃から良い文章に触れなければ、良い文章を書けるようにはなりません。良い文章に1番簡単に出会える方法が読書です。小説でも新書でも学術書でも、まずは日頃から本に触れる習慣をつけましょう。
小説であれば、古典的名作に触れることは非常に有効です。「名著」には普遍的な魅力があるからこそ、今でも愛されているのです。
ギリシャ悲劇やローマ喜劇などは数千年経っても読み継がれているものですが、現代に生きる私たちにとっても新鮮で学びが多く、名作たる理由が分かります。
志望学部が決まっている人は、その学部での学問に関連するものを読みましょう。AO入試や推薦入試を受ける人は、志望理由と関わるものを読んでいれば面接対策にもつながります。
ハードカバーの学術書は、難易度の面からも価格の面からもハードルが高いと思います。もちろん、自分の志望理由に関わる書籍はハードカバーであろうが読んで欲しいですが、入り口として新書をおすすめします。
新書とは、文庫本よりやや大きな小型本のことを指します。1938年に岩波書店が岩波新書を「現代人の現代的教養」を追及するためのものとして発刊しました。
現在では様々な出版社が新書シリーズを出版していますが、大学教授や高名な研究者が執筆しているケースが多くあります。このようなものが「教養」書として比較的分かりやすく書かれており、入門書として最適です。
なお、新書を買う際には著者がきちんとしたバックグラウンドを持っている人かを確認しましょう。大学教授であれば大抵の場合は問題ないでしょう。
知識があれば問題文を読み解く際の手助けになります。もちろん思い込みで読解してはいけませんが、一度出会っている知識と全くの初見のものとでは理解にかかる時間は異なります。
書く際にも、知識があればそれを根拠にすることができますし、思考の幅も広がります。どれだけ多くの知識に触れてきたかが、小論文には顕著に現れます。
それでなくとも、読書という行為は自分の知識の幅をひろげ、可能性を広げてくれるものです。この世の中には数多の素晴らしい書籍がありますから、手に取らないのは勿体無いことです。ぜひ読書の習慣をつけてください。
音読をする
文章には書く人によって癖があります。それが個性となって良いアクセントになる場合もありますが、読みにくい文章の原因になってしまうこともあります。
自分の書く文章の癖を理解することは、読みやすい文章を書けるようになるために必要なことです。
そのためにも、書いた文章は音読するようにしましょう。声に出して読むことで、不自然な言い回しや文章の重複に気付けます。
自分の文章だけでなく、小論文や現代文の課題文章や新聞の社説を音読するのも良いでしょう。
音読をすると黙読よりも意識的に文章を読むことができ、何気なく読み飛ばしてしまっていた部分を見つけることができます。実は読み方が分かっていなかった漢字があったことに気づく、というのもよくあるケースです。
現代文でも小論文でも、文章の読解が苦手な人は文章に対する注意力が低い可能性があります。読んだつもりではなく、きちんと読んで内容を理解できるようにならなくてはいけません。
まずは音読をして丁寧に読むことに慣れ、その注意力を保持したまま黙読するようにしましょう。注意して読む癖がつけば、文章を理解しながら読めるようになるはずです。
時事問題に触れる
小論文を書く際、具体例を書くことを求められる場合があります。自分の経験を書けと指定されていないのであれば、基本的には個人的な事例よりも社会的な事例を書いたほうが適切です。
実際に社会で起きた事例は自分の意見の根拠にもなります。説得力のある小論文を書くためには、社会的な事例を書くことが不可欠と言えます。
しかし、知識がなければ社会的な事例を書くことはできません。まずは日頃からニュースを見るようにしましょう。家庭で新聞をとっているようであれば、一面だけでも毎日読むと良いでしょう。
ニュースを見ても新聞を読んでも、そもそも理解ができないこともあると思います。わからない言葉に出会ったならば調べるようにしてください。
新聞社が出版しているキーワード集などを読むのも良いでしょう。朝日新聞社の『朝日キーワード』は比較的読みやすくコンパクトに内容がまとまっているのでおすすめです。
まとめ
小論文を得意にするには、日頃からの習慣が大切です。
- 本を読む
- 音読をする
- 時事問題に触れる
この3点を日頃から心がけることで、入試直前になって焦ることもなくなるでしょう。
まだ受験まで時間がある学年の人も、様々な知識に触れることは進路を決める上でも重要なことです。心がけてみてください。
おすすめ記事
参考
1995年生まれ。東京都出身。
中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。