中国、アメリカ、ドイツに次ぐ世界第4位の貿易大国日本。
「貿易」とは、国家間で行われる商品の取引のことをさします。外国から物を買うことを輸入、海外に物を売ることを輸出と言います。今回は日本の貿易を品目から説明します。具体的な輸出入の品目を見ていく前に日本の貿易についてみていきたいと思います。
日本の貿易の特徴は原材料を輸入し、加工した製品を輸出するという「加工貿易」がメインであることです。その背景には日本には資源が乏しいという背景があります。
第二次世界大戦以前は、生糸など繊維原料を輸入して繊維製品などを輸出する軽工業が中心でしたが、第二次世界大戦後、高度経済成長期に入ると石油などの原料を輸入し、自動車や精密機械などを輸出する重化学工業中心に変化していきました。更に近年では半導体など機械類の輸出も増えています。
上のグラフは2000年から2018年の貿易の輸出額、輸入額、貿易収支をまとめたグラフです。
2000年から貿易黒字で輸出入額共に右肩上がりで推移していましたが、2008年のリーマンショックにより輸出入額共に大幅に落ち込みます。2011年以降は貿易赤字が続き、2016、2017年に黒字に回復するも2018年にはまた赤字になっています。
(NHK)
また、2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、2020年の輸出は前年比11%減の68.4兆円、輸入は前年比14%減の67.8兆円となり、リーマンショック以来の落ち込みとなりました。しかし、2021年に入り落ち込んだ輸出入は右肩上がりに回復し、2021年3月の段階では輸出額が輸入額を超え貿易黒字となっています。
以上を踏まえ、日本の貿易を品目別に見ていきます。まずは日本の輸出を見ていきましょう。
グラフ、図は全て日本貿易会きっずサイトのものです。
輸出相手国は経済成長が著しいアジア諸国が多く、欧米諸国ではアメリカ、ドイツが多くなっています。
アメリカは日本が高度経済成長期を迎えた戦後から長く日本の輸出相手国一位でしたが、2008年のリーマンショックを機に中国が一位になりました。2013年以降はアメリカが一位に返り咲きましたが、2018年に6年ぶりに中国が再び一位になりました。2019年はアメリカ、2020年は中国がトップとなっています。
輸出品目の大部分を占めるのは自動車や半導体などです。
輸出品目、相手国についてみていきましょう。以下のグラフは2020年の日本の主な輸出品と主な輸出相手国をあらわしたものです。
【自動車】
【半導体等電子部品】
【自動車の部品】
【鉄鋼】
【原動機】
【プラスチック】
それぞれのグラフを見てみても、アメリカ、中国の占める割合が多いことがわかります。中でもアメリカは自動車、自動車の部品、原動機など機械類が多くなっています。一方中国は半導体、鉄鋼、原動機、プラスチックと多くの輸出品目の大部分を占めています。
半導体をはじめとした電子機器やプラスチックなどの化学製品などアジア各国に輸出が集中しています。その背景には、日本国内より人件費や材料費が安くなることから日本の企業の多くがアジア各国に工場を構えたことがあります。
次に輸入についてみていきたいと思います。冒頭で述べたように日本の貿易は原材料を輸入し、加工した製品を輸出する加工貿易をおこなっているという特徴があります。よって輸入の大半を占めているのは原材料になります。
主な輸入品と輸入国のグラフを見ながら詳しくみていきましょう。
【原油】
【天然ガス】
【通信機】
【衣服】
【半導体等電子部品】
【非鉄金属鉱】
【とうもろこし】
【小麦】
【大豆】
資源の乏しい日本はサウジアラビア、アラブ首長国連邦など中東から原油を多く輸入し、天然ガスはオーストラリア、マレーシア、カタール、ロシアなどから輸入しています。
そのほか日本企業が海外に建てた工場でつくられた製品を逆輸入や、スマートフォンなどの通信機は中国、半導体等電子部品は台湾と電気機器も多く輸入しています。
資源だけでなく食料自給率も低い日本では、とうもろこし、小麦、大豆などの食料も輸入に頼っています。そして食料品の輸入相手国の大部分を占めているのはアメリカです。
日本で売られている衣服も輸入品が多くあり、大部分を占めているのは中国です。