炭水化物以外の呼吸基質
炭水化物(グルコースなど)のほかにも、脂肪やタンパク質も呼吸基質となって分解される。
呼吸基質が脂肪の場合
脂肪はモノグリセリドと脂肪酸に分解され、モノグリセリドは解糖系に入る。
脂肪酸はミトコンドリアのマトリックスでβ酸化を経て、アセチルCoAとしてクエン酸回路へ入る。
例.トリステアリン酸 C57H110O6の反応式
2 C57H110O6 + 163O2 → 114CO2 + 110H2O
呼吸基質がタンパク質の場合
タンパク質は加水分解されてアミノ酸となり、アミノ酸は脱アミノ反応を経て各種有機酸とアンモニアになり、有機酸はクエン酸回路などに入る。
アンモニアは血液によって肝臓に運ばれ、オルニチン回路で尿素に変わる。
例.ロイシン C6H13O2Nの反応式
2 C6H13O2N + 15O2 → 12CO2 + 10H2O + 2NH3
呼吸商
呼吸によって吸収されるO2と放出されるCO2の体積比。
- グルコース(炭水化物)の場合
RQ = CO2 / O2
= 6/6
= 1.0 - トリステアリン(脂肪)の場合
RQ = CO2 / O2
= 114/163
= 0.7 - ロイシン(タンパク質)の場合
RQ = CO2 / O2
= 12/15
= 0.8
☆呼吸商を測定することによって呼吸基質を推定することができる。
基本例題 呼吸商の実験
発芽種子の呼吸に伴うO2の呼吸量とCO2の放出量を図aの装置で測定した。
図aのようにフラスコ内のビーカーに10%KOHを入れた場合は着色料が左に10目盛り移動し、水を入れた場合は左に0.2目盛り移動した。
(問1)10%KOHを入れた場合の測定値は何を示すか。
(問2)水を入れた場合の測定値は何を示すか。
(問3)目盛り数から、発芽種子の呼吸商を求めよ。
(問4)問3の呼吸商から、主な呼吸基質は何か答えよ。
【解答】
(問1)吸収したO2量
※KOHやNaOHはCO2を吸収する性質があるため
O2吸収量の分が左に移動する。
(問2)吸収したO2量と放出したCO2量の差
※水は種子がO2量と放出したCO2量が合わさっているため。
(問3)
吸収したO2量 = 10
吸収したO2量と放出したCO2量の差 = 0.2
放出したCO2量 = 10 – 0.2 = 9.8
9.8 / 10 = 0.98 ≒ 1.0
(問4) 炭水化物
脱水素酵素の実験
- もやし1人分に水100mLを加えてよくかき混ぜ、ガーゼでろ過して酵素液とする。
- 主室に酵素液を、副室に10%コハク酸ナトリウム溶液と0.01%メチレンブルー溶液を入れる。
- アスピレーターにつないで十分に排気した後、副室を回して管を密閉する。
- 副室の液と主室の液を混合し、主室を35℃に保温する。メチレンブルーの青色が脱色するまでの時間を測定する。
- メチレンブルーの色が完全に脱色した後、副室を回して管内に空気を入れると、液は再び青色になる。
※《メチレンブルー》
メチレンブルーはふつうは青色(酸化型Mb)であるが、還元されると無色(還元型Mb)になる。
また還元型Mbは、酵素があると酸化されてもとの酸化型Mb(青色)にもどる。
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