そもそも世界遺産とは?
ユネスコの「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づき、ユネスコ世界遺産委員会での審議を経て登録される、一国にとどまらず人類全体にとって貴重なかけがえのない財産のことを世界遺産と言います。世界遺産条約は1972年にユネスコで採択され、2021年7月現在194か国が締結しています。日本も1992年にこの条約を締結しました。
【補足】ユネスコとは?
(国際連合教育科学文化機関、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.)
パリに本部があり、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関のことです。
世界遺産について
2021年7月現在、世界遺産は文化遺産897件、自然遺産218件、複合遺産39件を含む1154件に上ります。今回は日本ではなく、世界の有名な世界遺産、中でもオセアニア・アフリカの世界遺産について紹介していきます。
日本の世界遺産については以下の記事を参照ください。
オセアニア・アフリカの世界遺産
( )内の年は世界遺産に登録された年です。
オーストラリア
グレート・バリア・リーフ(1981)
大堡礁とも。オーストラリア、クイーンズランド州北東岸の沖約16~160km、面積20万km2あまりの海域に広がる世界最大のサンゴ礁です。400種以上のサンゴが生息し、1500種の魚類、215種の鳥類も確認されるほか、クジラやイルカ、ジュゴン、ウミガメなども生息しています。グリーン島やヘロン島など観光地として栄える一方で、環境破壊が問題視されています。
ウルル-カタ・ジュタ国立公園(1987、1994)
1987年自然遺産に、1994年文化遺産に登録された複合遺産です。国立公園には、世界で2番目に大きい一枚岩で、「地球のヘソ」といわれるエアーズ・ロックがあります。エアーズ・ロックは先住民アボリジニの言葉で「ウルル」と言われています。アカカンガルーやフクロモグラなど、40種の哺乳類、70種の爬虫類、480種の植物が生息し、古代アボリジニが描いた岩面画も多く残されています。
西オーストラリアのシャーク湾(1991)
オーストラリア、ウェスタン・オーストラリア州中部西岸の湾。ジュゴン・バンドウイルカ・ジンベイザメなどが生息。水深2メートル程度の浅海が広がり、湾奥のハメリンプールでは現生のストロマトライトが見られます。ストロマトライトとは、主に藍藻により形成される、層状構造をもつ石灰質または珪質の岩石で、微生物岩の一種です。
マッコーリー島(1997)
タスマニア島の南東1500kmにある火山性の岩島。南北34km、東西最大5km。インド=オーストラリア・プレートと太平洋プレートの衝突で隆起して誕生したとされ、地球上で唯一、マントルから玄武岩が海面上に突き出ています。マントルとは地球内部の分類の一つで、地殻と核との中間層にあたります。地質学的な特徴のほか、固有種のロイヤルペンギンをはじめ、数百万羽ものペンギンやゾウアザラシ、セイウチなどが生息しています。
シドニー・オペラハウス(2007)
デンマークの建築家ヨルン・ウッツォンの設計による多目的劇場。16年の歳月をかけて1973年に完成しました。外観は、貝殻やヨットの帆のような美しい曲線を描き、内部には、大小4つの劇場があり、音楽、舞踊、演劇などに利用されます。
ニュージーランド
テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド(1990)
フィヨードランド、マウント・クック、ウェストランド、マウント・アスパイアリングの4つの国立公園を含む2万6000km2の自然保護区からなります。テ・ワヒポウナムは先住民のマオリ語で「翡翠のある場所」を意味します。ウェストランド国立公園には、「双子の氷河」と呼ばれるフランツ・ジョセフ氷河とフォックス氷河があります。また、テ・ワヒポウナムは世界で最も雨量が多く、稀少な冷温温帯雨林が広がり、キウイ、ニュージーランドオットセイ、キマユペンギン、肉食のカタツムリなど固有の生物が数多く生息しています。
ウガンダ
ブウィンディ原生国立公園(1994)
コンゴ民主共和国およびルワンダとの国境付近に位置する国立公園。標高1200mから2600mの山岳地帯にあり、面積約320km2。100種以上のシダ類、200種の樹木が茂る緑豊かな原生林が広がり、絶滅危惧種のマウンテン・ゴリラをはじめ数多くの動物も生息しています。
エジプト
メンフィスとその墓地遺跡-ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯(1979)
メンフィス周辺に、ギーザからダハシュール、メイドゥームまで、古王国時代(紀元前2686年頃~前2181年頃)の30基以上のピラミッド群が登録されています。中でもギーザのクフ王、カフラー王、メンカウラー王の三大ピラミッドが有名です。一番大きいクフ王のピラミッドは高さ137m(創建時の高さは147m)、底辺一辺230mの正四角錐で、約230万個の石灰岩のブロックが使用されています。
古代都市テーベとその墓地遺跡(1979)
テーベは、古代エジプト新王国時代の首都として繁栄した都市。ナイル東岸の「生者の都」には、カルナク神殿や第18王朝のアメンヘテプ3世とラメセス2世が建てたルクソール神殿があります。ナイル西岸にある「死者の都」には、王家の谷、王妃の谷と呼ばれるネクロポリス(墓所)で、ツタンカーメンなどの王墓群、デル・エル・バハリ地区に建てられたハトシェプスト女王の葬祭殿などがあります。
タンザニア
キリマンジャロ国立公園(1973)
タンザニア北東部、標高5895mでアフリカ最高峰のキリマンジャロを中心とする国立公園。標高別に、氷河と雪、火山礫や砂に覆われた荒れ地、ヒースや草原地帯、そして熱帯雨林とさまざまな自然環境があります。アフリカゾウ、アフリカスイギュウ、シロサイ、ヒョウ、クロシロコロブス、トムソンガゼルのほか、クリイロタイガー、ヒゲワシ、ノドグロキバラテリムクドリなどの動物が生息しています。
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