Contents
- 1 そもそも世界遺産とは?
- 2 日本の世界遺産について
- 2.1 (13)知床(北海道)(平成17年記載)
- 2.2 (14)石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)(平成19年)
- 2.3 (15)小笠原諸島(東京都)(平成23年)
- 2.4 (16)平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手県)(平成23年)
- 2.5 (17)富士山-信仰の対象と芸術の源泉(静岡県、山梨県)(平成25年)
- 2.6 (18)富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)(平成26年)
- 2.7 (19)明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(岩手県、静岡県、山口県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県、鹿児島県)(平成27年)
- 2.8 (20)国立西洋美術館本館(東京都)(平成28年)
- 2.9 (21)「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)(平成29年)
- 2.10 (22)長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県)(平成30年)
- 2.11 (23)百舌鳥・古市古墳群(大阪府)(令和元年)
- 2.12 (24)奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(鹿児島県、沖縄県)(令和3年)
- 2.13 (25)北海道・北東北の縄文遺跡群(北海道、青森県、岩手県、秋田県)(令和3年)
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- 4 参考
そもそも世界遺産とは?
ユネスコの「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づき、ユネスコ世界遺産委員会での審議を経て登録される、一国にとどまらず人類全体にとって貴重なかけがえのない財産のことを世界遺産と言います。世界遺産条約は1972年にユネスコで採択され、2021年7月現在194か国が締結しています。日本も1992年にこの条約を締結しました。
【補足】ユネスコとは?
(国際連合教育科学文化機関、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.)
パリに本部があり、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関のことです。
日本の世界遺産について
(注1)「地図中の茶色の丸数字(1、2、5-12、14、16-23、25)は文化遺産、緑色の丸数字(3、4、13、15、24)は自然遺産」
(注2)「明治日本の産業革命遺産」の構成資産は岩手県、静岡県、山口県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県、鹿児島県に所在
(外務省)
現在(令和3年7月)日本には25件の世界遺産が登録されています。世界遺産は文化遺産と自然遺産、複合遺産に分けられます。文化遺産は多数の歴史的建造物や都市、重要な考古遺跡、そして記念碑的な彫刻といったものが含まれます。自然遺産は以下の項目に当てはまるものが登録されます。
- 地球の生命の記録、またはその地質学的過程の顕著な例を備える
- 現在も進行する生態学上、生物学上の進化の過程を見せる優れた例を示している
- 稀有で独特であり無比であるか、傑出した美しさを特徴とする自然現象を含む
- 希少または絶滅に瀕している動植物の生息地、あるいは他に例のない生物の多様性を示す場所を備える
複合遺産は文化遺産と自然遺産双方の要素を備えてるものが含まれます。
ではそれぞれの世界遺産について紹介していきます。
(1)〜(12)については「日本の世界遺産について知ろう!その1」を見てください!
(13)知床(北海道)(平成17年記載)
豊かな自然とともに希少な動植物が生息する知床半島は北海道東端にあり、北東に突き出した半島です。山地はエゾマツ、トドマツ、ミズナラ、ダケカンバなどの原生混合林でおおわれ、オジロワシ、シマフクロウ、クマタカ、ヒグマなどが生息。海食崖にはエトピリカ、ケイマフリ、イワツバメなどの海鳥が生息し、豊から自然と生物が住む自然遺産です。
(14)石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)(平成19年)
戦国時代に開発され、江戸時代には幕府の直轄領となり生野銀山と並ぶ地位を占めた銀山です。17世紀後半になるとしだいに衰退し、大正末期に廃山となりました。石見銀山の世界遺産登録はアジアで初めての登録となりました。石見銀山遺跡とその文化的景観は以下の14資産です。
銀鉱山跡と鉱山町
- 銀山柵内
- 代官所跡
- 矢滝城跡
- 矢筈城跡
- 石見城跡
- 大森銀山
- 宮ノ前地区
- 熊谷家住宅
- 羅漢寺五百羅漢
鉱山と港をつなぐ街道
- 鞆ケ浦道
- 温泉津沖泊道
銀を積み出した港と港町
- 鞆ケ浦
- 沖泊
- 温泉津
(15)小笠原諸島(東京都)(平成23年)
東京の南南東1200kmの太平洋上にある諸島。海底から噴出した 30余の火山列島で、聟島列島、父島列島、母島列島、硫黄列島のほか、南鳥島、西之島、沖ノ鳥島からなります。固有種が数多く生息する独特の生態系をもつ。
(16)平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手県)(平成23年)
世界遺産に登録されているのは以下の5資産です。
- 中尊寺
- 毛越寺
- 観自在王院跡
- 無量光院跡
- 金鶏山
平泉は、平安末期に奥州藤原氏によって栄えました。 前九年合戦、後三年合戦を生き延びた奥州藤原氏初代藤原清衡は平泉に館を移し、中尊寺の再建に着手、天治元年(1124年)金色堂建立します。以降清衡の意志を継いで二代基衡、三代秀衡、四代泰衡と平泉で栄えました。しかし、四代泰衡は源頼朝に追われている源義経を庇い、頼朝の兵によって滅ぼされ、奥州藤原氏も絶えました。
(17)富士山-信仰の対象と芸術の源泉(静岡県、山梨県)(平成25年)
山梨県・静岡県にまたがり、標高3776メートル、日本一を誇る富士山は日本の象徴として古くから親しまれてきました。中世以後富士の信仰が盛んになり、富士山を信仰の象徴として崇め、富士詣でと称して登拝する富士講が広まりました。富士山山頂をはじめ、周辺に浅間神社など多くの神社もあり、富士山-信仰の対象と芸術の源泉として世界遺産に登録されました。
- 富士山域(山頂の信仰遺跡群、大宮・村山口登山道、須山口登山道、須走口登山道、吉田口登山道、北口本宮冨士浅間神社、西湖、精進湖、本栖湖)
- 富士山本宮浅間大社
- 山宮浅間神社
- 村山浅間神社
- 須山浅間神社
- 冨士浅間神社
- 河口浅間神社
- 冨士御室浅間神社
- 御師住宅(旧外川家住宅)
- 御師住宅(小佐野家住宅)
- 山中湖
- 河口湖
- 忍野八海(出口池)
- 忍野八海(お釜池)
- 忍野八海(底抜池)
- 忍野八海(銚子池)
- 忍野八海(湧池)
- 忍野八海(濁池)
- 忍野八海(鏡池)
- 忍野八海(菖蒲池)
- 船津胎内樹型
- 吉田胎内樹型
- 人穴富士講遺跡
- 白糸ノ滝
- 三保松原
(18)富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)(平成26年)
1872年(明治5年)に開業した、官営の群馬県富岡市の製糸工場。日本最初の本格的な器械製糸による官営模範工場として知られています。手工業による生糸生産は、需要急増に対応できないため、フランス人技師ポール・ブリュナらなどを招いて海外の技術を日本に導入しました。
(19)明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(岩手県、静岡県、山口県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県、鹿児島県)(平成27年)
(韮山反射炉)
日本は、幕末から明治に代わり、富国強兵、殖産興業を掲げ、海外の進んだ技術を積極的に取り込んでいきました。製鉄・製鋼、造船、石炭産業をはじめとした重工業の発展を支えた歴史的な建造物や土木構造物、遺跡などが世界遺産として登録されています。登録された資産は以下の通りです。
岩手県
- 橋野鉄鉱山
静岡県
- 韮山反射炉
山口県
- 萩反射炉
- 恵美須ヶ鼻造船所跡
- 大板山たたら製鉄遺跡
- 萩城下町
- 松下村塾
福岡県
- 官営八幡製鐵所(旧本事務所(北九州市)、修繕工場(北九州市)、旧鍛冶工場(北九州市))
- 遠賀川水源地ポンプ室(中間市)
熊本県
- 三池炭鉱・三池港(宮原坑(大牟田市)、万田坑(熊本県荒尾市/大牟田市)、専用鉄道敷跡 (大牟田市/熊本県荒尾市)、三池港 (大牟田市))
- 三角西港 (熊本県宇城市)
佐賀県
- 三重津海軍所跡
長崎県
- 小菅修船場跡
- 長崎造船所第三船渠
- 長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン
- 長崎造船所旧木型場
- 長崎造船所占勝閣
- 高島炭坑
- 端島炭坑
- 旧グラバー住宅
鹿児島県
- 旧集成館
- 寺山炭窯跡
- 関吉の疎水溝
(20)国立西洋美術館本館(東京都)(平成28年)
(注)7か国(日本、フランス、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、インド、スイス)にまたがる「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の構成資産の一つ。
(国立西洋美術館)
スイス出身のフランスの建築家であるル・コルビュジエが建築を手がけた代表的な17の建築作品が世界遺産に登録されています。登録された建築物は以下の通りです。
フランス
- ラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸(パリ)
- ビラ・サボワ(サボワ邸)と庭師小屋(ポワッシー)
- ペサックの集合住宅(シテ・フリュジェ)(ペサック)
- カップ・マルタンの休暇小屋(ロクブリュヌ・カップ・マルタン)
- ポルト・モリトーの集合住宅(パリ)
- マルセイユのユニテ・ダビタシオン(マルセイユ)
- ロンシャンの礼拝堂(ロンシャン)
- ラ・トゥーレット修道院(エブー)
- サン・ディエの工場(サン・ディエ)
- フィルミニの文化の家(フェルミニ)
日本
- 国立西洋美術館(東京)
ドイツ
- ワイセンホフ・ジードルンクの住宅(シュトゥットガルト)
スイス
- レマン湖畔の小さな家(コルソー)
- イムーブル・クラルテ(ジュネーブ)
ベルギー
- ギエット邸(アントウェルペン)
アルゼンチン
- クルチェット邸(ラ・プラタ)
インド
- チャンディガルの都市計画(キャピトル・コンプレックス)(チャンディガル)
(21)「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)(平成29年)
福岡県宗像市の沖合約60キロメートルの玄界灘に位置する島。島全体が宗像大社の三宮の一つである沖津宮の境内で、古くから「神宿る島」として知られています。世界遺産に登録されているのは、沖ノ島の3つの岩礁(小屋島、御門柱、天狗岩)を含めた8資産。
- 沖ノ島
- 小屋島
- 御門柱
- 天狗岩
- 宗像大社沖津宮遥拝所
- 宗像大社中津宮
- 宗像大社辺津宮
- 新原・奴山古墳群
(22)長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県)(平成30年)
長崎の天草地方には、江戸時代初期、幕府はキリスト教の信仰を禁じ、厳しい弾圧を行っていました。出島などがあり、貿易が盛んであった長崎県ではキリスト教を信仰する人々が多く、集落などで組織的に幕府に隠れてキリスト教を信仰し続けていました(隠れキリシタン)。そのような集落などが多く現代にも残っており、12の文化財が世界遺産に登録されています。
(原城跡)
(ながさき旅ネット)
- 大浦天主堂…浦上の潜伏キリシタンが訪れ自分たちの信仰を告白した「信徒発見」の舞台。
- 外海の出津集落…潜伏キリシタンの信仰組織が信仰を続けた集落。
- 外海の大野集落…氏子となった神社に密かに自分たちの信仰対象を祀り、オラショ(祈り)を唱えるなど在来宗教と信仰の場を共有していた集落。
- 黒島の集落…仏教寺院から黙認されつつ、信仰を続けていました。
- 平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)…安満岳から伸びる尾根に挟まれた集落。指導者の家には「納戸」と呼ばれる部屋の中に、密かに潜伏キリシタンの信心具が伝承されていました。
- 平戸の聖地と集落(中江ノ島)…殉教地として潜伏キリシタンが密かに崇敬していました。岩からしみ出す聖水を採取する「お水取り」が行われた聖地。
- 奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺)(五島市奈留島)…禁教期に外海の潜伏キリシタンが、海に近い谷間に開けたわずかな平地に移住して固有の信仰形態を続けました。
- 久賀島の集落…禁教期に外海から移住した潜伏キリシタンが、仏教集落と互助関係を築きながら信仰を続けました。
- 原城跡(南島原市)…「島原・天草一揆」の主戦場となった城跡。
- 野崎島の集落跡(小値賀町)…沖ノ神嶋神社の氏子を装うことで在来宗教と並存しながら信仰を続けました。
- 頭ヶ島の集落(新上五島町)…仏教徒の開拓指導者のもと、無人島に移住・開拓し、信仰を続けました。
- 天草の﨑津集落…潜伏キリシタンが信仰を続ける中で、アワビやタイラギの貝殻内側の模様を聖母マリアに見立てて崇敬するなど漁村独特の信仰を育み、在来宗教と信仰空間を共有した集落。
(23)百舌鳥・古市古墳群(大阪府)(令和元年)
古墳とは3世紀の後半から7世紀頃にかけて造られた主に貴族や地方の豪族などを葬った古代の墓です。鏡、玉、剣、武具、馬具などが副葬品として埋葬されました。百舌鳥・古市古墳群には、日本最大を誇る仁徳天皇陵古墳や履中天皇陵古墳の履中天皇陵古墳など大小様々な古墳が世界遺産に登録されています。
(24)奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(鹿児島県、沖縄県)(令和3年)
奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島など世界遺産に登録されちる島々には、イリオモテヤマネコやアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナなど固有の動植物が生息し、美しい自然を残しています。
(25)北海道・北東北の縄文遺跡群(北海道、青森県、岩手県、秋田県)(令和3年)
北海道・北東北の地域は、縄文時代の人々の生活と文化を伝える遺跡が数多く残っています。そこには祭祀・儀礼の場である捨て場や盛土、環状列石などが造られていたり、墓地も残っていたり縄文時代の人々の祖先・自然崇拝の精神を今に伝えています。文化財に登録されているのは、北海道6遺跡、青森県8遺跡、岩手県1遺跡、秋田県2遺跡の合計17遺跡です。
北海道
- 垣ノ島遺跡
- 北黄金貝塚
- 大船遺跡
- 入江貝塚
- キウス周堤墓群
- 高砂貝塚
青森県
- 大平山元遺跡
- 田小屋野貝塚
- 二ツ森貝塚
- 三内丸山遺跡
- 小牧野遺跡
- 大森勝山遺跡
- 亀ヶ岡石器時代遺跡
- 是川石器時代遺跡
岩手県
- 御所野遺跡
秋田県
- 伊勢堂岱遺跡
- 大湯環状列石