中学受験の社会の中でも、不得意とするお子さんが多いのが、歴史の並べ替え問題です。いくつかの出来事が並んでいて、それらの出来事が起こった順に並べ替えなさい、という問題ですね。難しいと感じて敬遠してしまっていませんか?中学入試でも、非常によく出題されます。なぜなら、「差がつきやすいから」です。出来事そのものを知らない、ということはあまりないと思いますが、並べ替え、という見た目にしただけで自分の知識に自信がなくなってしまい、不正解になってしまう・・・とてももったいない話です。
では、なぜ並べ替え問題になると難しく感じてしまうのでしょうか。今回は、歴史の並べ替え問題を克服するための勉強法について書いていきたいと思います。
問題演習中心で勉強すると・・・
歴史は正確な知識が必要とされる分野です。知識を自分のものとして定着させるには2つの段階が必要です。1つはインプット。教科書を読んだり、先生の授業を聞いて頭に入れるのがこの段階ですね。もう1つはアウトプット。問題演習がこれに当たります。このインプット、アウトプットは、何も歴史に限らず、どの科目でも必要なことです。そして、この両方の段階を繰り返すことが大切なのですが、手っ取り早く事を進めようとして、インプットを軽視し、いきなりアウトプットに入る人が多いのです。中にはアウトプットだけしかしない人もいます。つまり、「これは知っておかなければならない」という知識を飛ばして、問題演習だけ行うという勉強です。
歴史の勉強を、このような問題演習だけで進めていくと、知識が断片化してしまいます。聞いたことのある言葉は増えていくかもしれません。でも、全く歴史の流れや関係性がつかめない、という事態に陥ってしまいます。それでは、並べ替え問題はいつまでたっても解けるようになりません。歴史の並べ替え問題で一番重要なのは、「歴史の流れを理解していること」だからです。
インプットの勉強を見直す
もしこれまで、問題演習、つまりアウトプットばかりで知識が断片的になってしまっているならば、まず教科書や塾のテキストを読むことによって、歴史の流れを確認することがまず何より大切です。つまり、インプットの作業をやり直す、ということです。
まず歴史の時代を全部正しく並べられるように覚えます。これは避けては通れません。必ず覚えましょう。そのあとで、それぞれの時代に何が起きたのか、重要な出来事を書き出していきます。つまり、「自分で年表を作る」わけです。部屋に貼るようなきちんとしたものでなくても構いません。大事なのは、書き出す際に、その出来事、次の出来事への流れ、ストーリーを口でぶつぶつとつぶやきながらやってみましょう。「このとき、AがBを倒して、ついにCが天下を取るんだな」というようにです。この「流れ」を小声でつぶやきながら書き出していき、ストーリーを頭の中でまとめていくのです。
アウトプットの際にインプット漏れを確認する
インプットの勉強に戻って、歴史の流れ、ストーリーを書き出したりしながら覚えたら、問題演習に入りましょう。特に今回のテーマ、並べ替え問題が出てきたときに、間違えた内容はぜひ自分で作った年表にしるしをつけておきましょう。内容を記していなかったら、書き足しておきましょう。やがて、テストによく出るポイントがまとまった、自分専用の年表が出来上がります。それは、自分で作ったものなので、ストーリーをすらすらと解説できる、しかもテストのポイントを押さえた有意義な自分だけの参考書になっているはずです。
並べ替え問題の意義
並べ替え問題は、単なる歴史用語の確認ではなく、流れを理解しているかを確認する問題です。年号を覚えればよい、という考えもありますが、それを追求しだすと膨大な量の年号を覚える羽目になります。入試直前になって全く時間がないという状況なら、必死で年号を覚えざるを得ないことになるかもしれませんが、出来事と出来事の流れを理解していれば、細かい年号を覚えていなくても、並べ替え問題で間違うことは減っていきます(もちろん、重要な年号を覚えなくていいというわけではありません。どの時代が何年ごろなのか、流れに関するものはしっかり覚えましょう)。入試でも模試でも差がつくところですから、並べ替え問題をマスターできれば、かなりのアドバンテージをとることが出来ます。並べ替え問題だけでなく、歴史の問題全般に抵抗がなくなりますから、歴史全体の底上げにもなるでしょう。
語呂合わせや歌で覚える方法などがインターネットで紹介されていることもあり、それも面白いと思いますが、でも、まず地道にインプットをして、歴史全体の流れをつかむことを強くお勧めします。そうすれば、並べ替え問題なんて、怖くなくなりますよ。ぜひ得点源にしてしまいましょう!
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。