読解力を身につけるためには、「読書がいい」と言われますよね。確かにその通りです。ですが、中学受験の勉強をしている受験生には、正直なところ、読書を読むための時間の余裕(あるいは精神的余裕も)がないのが現状ではないでしょうか。
実際に、大手の塾では中学受験の国語の読解力をつけるためであっても、今更本を読む必要はないと指導しているところもあります。本を読む時間があるならば、文章題をひとつでも多く解き、コツを学ぶ方がよい・・・それも一つの考え方です。国語の授業で扱われた文章を使って「読解」の練習をするのも大事なことです。
でも、お子さんの将来のことを考えたときに、本を読むことの大切さも教えてあげたいですよね?
今回は、受験のその先にある将来を見越して、読解力をつけつつ、受験対策にもなる一石二鳥の方法についてお伝えしていきたいと思います。
受験に役立つ本とは?
たしかに、受験生には時間がいくらあっても足りないくらいで、本を読む時間があるならばその分受験勉強をしたほうがいいというのは、受験の世界では正論でしょう。本を読むことは勉強ではない、という位置づけをするならです。
でも、本といっても様々な種類の本がありますから、読みたい本というよりも、受験対策にもなる本を選んでみてはどうでしょう?中学入試問題で抜粋された本を読んでみると、受験対策にもつながります。
とくに、小学生ということを考えると、物語文がよいのではないでしょうか(論説文は、東大生がおすすめする〇冊に選ばれたような本からの出題も多いですから・・・)。
受験対策にオススメの作家は?
中学入試の国語の問題を見てみると、必ず出典が書いてあります。作家が誰で、なんという文章、なんという本から抜粋されているかが書かれています。ときどき、中学校が独自で作成した文章が出されることもあります(神奈川県の栄光学園はその傾向が強いです)が、多くは作家の文章からの抜粋です。
入試問題で出題される作家は、その年によって流行がありますが、最近の出題状況を見ると、辻村深月さん、重松清さん、宮下奈都さん、森絵都さん、原田マハさんなどは定番です。
例えば、重松清さんの作品は、これまで多くの中学入試で出題されています。文章力が高く、かつ小学校高学年の子供が共感しやすい内容が多く、かつ読みやすい。それが、入試で用いられやすい理由だと思います。
このほかにも、主人公が小学生や中学生で、友情や家族、心の成長がテーマの作品は物語文の出題では鉄板です。学校によっては、最近の作家の作品よりいわゆる文豪と呼ばれる夏目漱石や山本有三などの作品を好んで出題することもありますから、過去問を参考に出題の傾向を探ってみてもよいかもしれません。
もしかしたらラッキーなことがあるかも?
国語の入試時間は50分であることが多いですが、その中で出題される長文問題は2つであることが多いです。中には1つ超長文を読ませる学校もあります。1つの長文で抜粋される文字数は2000字~5000字ほどのものが大半です。これに設問に答えることを考えると、いかにスピーディに文章を読みとれるか、が国語の勝負の分かれ目になるのです。
でも、もし入試問題に読んだことがある作品の抜粋が出ていたら、とても有利になりそうですよね。同じ作品でなくとも、読みなれている形の文章が出れば、それだけでスピードアップが図れます。
読んだことがある作品が出題される確率はそう高いものではありません。でも、その学校の過去問に出題された作品に興味を持って読んでいたら、しらずしらずのうちに受験の国語の勉強をしていることにつながりますよ。
受験対策にもなる本を読もう!
本を読むことは気分転換にもなり、心のゆとりを持つことができると言われています。
朝の30分間、塾への通学途中、家庭学習のお合間などに、ぜひこれまで書いてきたような作品を読んで、効率的に読解力をつけてみませんか?
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。