今回の記事では資源やエネルギーについて解説していくシリーズの第4本目として,地下資源の産出国ランキングをまとめていきたいと思います。第1本目の記事では主要な発電方法を,第2本目の記事では化石燃料のメリットデメリットを,第3本目の記事では新エネルギーを取り扱いましたので興味がある方はリンク先をご確認ください。この資源やエネルギーといった範囲は頻出ではありませんが,その分出題されたときに解けるか解けないかで大きな差がつきます。本番までに是非とも完璧にしておきたい分野の一つです。
Contents
地下資源とは?
まず地下資源とは何を指すのでしょうか。端的にいってしまえば,地下資源とは地下に眠っている資源のことを指します。人間は昔からこの資源に頼って生活してきて,期限代に入ってからは特に顕著にこれらの資源を使用しています。中学受験で覚えておきたいのは,色々な資源のうち石炭・石油・天然ガス・鉄鉱石・銅鉱石・金鉱石でしょう。このうち石炭と石油,天然ガスは,熱や電気を得るのに燃やされるため化石燃料と呼ばれます。化石燃料については以前の記事で詳しくご紹介していますので,興味のある方はそちらを参照していただき,ここからは鉱石について解説していきます。
鉱石とは?
鉱石とは簡潔に言えば金属のもととなる石のことです。例えば鉄鉱石なら加工されて鉄になりますし銅鉱石なら加工されて銅になる,といった具合です。これらの金属は固くて強い上に自在に変形できるという特性から,大きな機械や建築から電子器具や通信機械まで様々な用途で活用されています。
ちなみにこの鉱石に関して一点頭に入れて欲しいことが鉱石と岩石と鉱物の違いです。似ているような感じですのでつい使い方が混同されがちですが,鉱石というのは下で扱う岩石や鉱物を資源として呼ぶときに用いられる通称です。対して岩石や鉱物というのはどちらかというと専門的な用語になります。このうち岩石は石の中に含まれている物質がバラバラなものを指し,鉱物は石の中に含まれている物質がほぼ単一なものを指します。
産出国ランキング!
それではここからは本題の産出国ランキングについて見ていきましょう。なお地下資源の産出について考えるとき,産出量と輸出量の2種類のランキングを並べるのが一般的です。これら2つは概ね一致していますが,採った資源を自国内でたくさん使っていたりする場合には産出量は高いのに輸出量は低い,といった結果が現れがちです。今回の記事でもこの2つの指標に注目していきますので,ぜひ違いを見比べてそれぞれの国の資源使用の特徴などを考えてみてください。
石炭
まずは化石燃料の一つ,石炭のランキングからご紹介していきます。第2回目の記事で石炭と石油の大雑把な産地をご紹介しましたが,今回はより詳しく国名レベルで説明していきます。以下の画像は産出国ランキングの表になります。同様の画像を他の資源についても掲載していますので,全部の図を覚える勢いで読んでいただけますと幸いです。なお割合とは,その国の算出する量が世界で出回っている石炭の何%を占めるかを表します。 (データはCNaviからの引用です。)
この表から産出量トップ3と輸出国トップ3がお分かりいただけると思います。この図から特に中国とインドに関して,たくさん産出しているのに輸出はそこまでしていないことが判断できます。これは採った石炭をそのまま自国内の工場などで使っているからです。
石油
続いては石油のランキングを見ていきましょう。ここでバレルという機器馴染みのない単位が出てきていますが,これはヤードポンド法で使われる単位のことで,1バレルは大体160リットルのことを指します。またこのグラフは1日あたりの生産量なので,「1バレル/日」だと1日に160リットルの石油を掘り出していることになりますね。(データは世界の中の日本を知る世界ランキングからの引用です。(産出量・輸出量))
石炭と違って石油のグラフはそこまで違いはなさそうです。しかし2つの表の中のサウジアラビアやロシアの数値に注目すると,輸出している量は掘り出している石油の半分に過ぎないことがわかります。このことから万国で共通する石油の重要さが導けるでしょう。
天然ガス
続いては天然ガスのランキングです。以前の記事では取り扱いませんでしたが,この天然ガスも化石燃料の一つです。ガスは気体なので体積で量を数えます。(データは世界の中の日本を知る世界ランキングからの引用です。(産出量・輸出量))
上の2つのグラフは国が全く違いますね。例えばアメリカは産出量が1位なのに対して輸出量はトップ3圏外です。これも石炭の中国と同様に,採った天然ガスをそのまま自国内で使っているからこのような結果になっています。
鉄鉱石
最後にお見せするのは鉄鉱石のランキングです。(データはCNaviからの引用です。)
天然ガスまでのランキングではアメリカや中国が何回も登場したのに対し,この鉄鉱石のランキングにはブラジルや南アフリカ共和国が初めて登場しています。その点で鉄鉱石の表は中学受験でも出題されやすいです。しっかり違いを覚えておきましょう。
なお輸出量が生産量を超えている国がいくつかありますが,これはおそらく引用先のCNaviが引用しているデータが産出と輸出とで違うことによる誤差だと考えられます。どのランキングでもそうですが,量の細かい数値は特に覚える必要がありませんので,大雑把に国名だけ覚えていただければと思います。
銅鉱石・金鉱石
そして最後に銅鉱石と金鉱石について軽く触れておきましょう。この2つの鉱石はそこまで頻出するものではないですが,覚えておいて損はないという意味で文章のみで解説していきます。
簡潔にまとめると,銅鉱石はチリ・ペルー・中国などで,金鉱石は中国・オーストラリア・ロシアなどで採れます。特に銅鉱石に関して,チリやペルーという意外な国名がランクインしてくることから,様々な問題で登場してきやすいです。要点として覚えておいて欲しいのは石炭から鉄鉱石までの4つですが,余裕がある人はこの銅鉱石・金鉱石についても頭に入れておいてください。
日本の地下資源事情
ここからは少し日本の地下資源事情について取り扱っていきます。現在日本は地下資源のほとんどを外国に依存しています。例えばエネルギー自給率という,ある国で消費されているエネルギーのうち何割がその国で作られているかを示す指標があるのですが,日本のエネルギー自給率は2018年時点でわずか11.8%しかありません。
特に化石燃料の海外依存が激しく,国際情勢などにエネルギーの量が影響されやすいということが問題とされています。また日本の鉄鋼業に使われている鉄鉱石も100%海外に依存しているため,同じく国際情勢や対外関係に経済が影響されやすいという弱みが出てきてしまいます。しかし,だからといって日本国内で化石燃料や鉱石を採ることは難しいですから,将来的な使い方や向き合い方を考えていかねばなりません。
まとめ
今回は中学受験に頻出する地下資源の産出国ランキングをご紹介していきました。この辺りの国名や地域名は頭の中でなかなか整理しきれないかと思われますので,おすすめ記事や参考書籍を使って知識の定着を図っていきましょう。本記事が今後の学習の手助けとなれば幸いです。