現在日本には、都道府県、市町村あわせて地方公共団体が約3300あります。1947年(昭和22年)に制定された地方自治法に基づき、地方公共団体は、学校教育、福祉・衛生、警察・消防など国民の日々のくらしに不可欠なさまざまな行政サービスを供給しています。
今回はその地方自治と地方財政についてみていきたいと思います。まずは地方自治の仕組みについておさえておきましょう。
地方自治のしくみ
(選挙ドットコム)
「日本国憲法」第8章 地方自治
第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。
日本国憲法第8章で保障された「地方自治」の内容を法制化し、1947年(昭和22年)5月3日に日本国憲法と同時に制定されたのが地方自治法です。
「地方自治法」
第一条 この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。第一条の二 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
地方自治法の第一条にはこのように定められています。国権の最高機関であり、唯一の立法機関であるとされている国会とは権限が違います。
また、国会は国民から選挙で選出された国会議員で構成され、地方自治を担う地方議会は住民から選ばれた執行機関の長(=首長)と地方議員で構成されています。このように首長と地方議員共に住民が直接選挙で選ぶことを二元代表制といいます。
地方自治会では、住民から選ばれた首長、地方議員を中心に条例の制定、改正、廃止、予算の改定などを議会で話し合い、首長が中心となって実際に政策を行っていきます。首長は議会に対し、再審議の要求や拒否権を持ち、議会は首長に対し、不信任の決議を提出する権限を持ちます。
【補足】直接選挙と間接選挙とは?
選挙人自らが被選挙人を選挙する制度を直接選挙、選挙人は単に選挙委員(中間選挙人)を選挙するにとどまり、その選挙委員が被選挙人を選挙する制度を間接選挙といいます。
地方自治の抱える財政問題
バブル崩壊後、景気は停滞し、多くの地方公共団体は財政難に陥っています。また、平成11年以降市町村合併が進み、3232であった市町村数が、平成26年4月5日には1718まで減少しました。
しかし、依然として人口1万人未満の市町村は480も存在しています。それだけでなく、地域格差も広がっています。財政難に陥っている地方公共団体では、地方債を発行するほか、地方債の返済など将来の財政需要に備えるために積み立てている積立金を切り崩して財政運営を続けています。
福祉分野をはじめとした市民向けサービスなども事務事業見直しの対象となっており、財政の健全化が課題となっています。
まとめ
今回は地方自治の仕組みと地方財政について説明してきました。少子高齢化が進み、都市部以上にその影響を受けている地方自治体には様々な課題があります。