「普段の宿題の時にはできていたのに、テストのときにはなぜかできなかった。」
「テスト中にはわからなかった問題だったけど、家に帰ってから解いてみたら解けた。」
「できているつもりだったのに、答え合わせをしてみたら計算間違いをしていた。」
他の教科に比べて、算数のテストでは上記のような経験が多いのではないでしょうか。
「単なるミス」で済ませてしまうと、後々大変なことになる可能性があります。この記事では、このように「テストになるとなぜかできない」という生徒さんの傾向や対応策について紹介しています。
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性格的な「勝負弱さ」は本番まで引きずる可能性が高い
お子さんの合格を心から信じているお母さまには、聞きたくもないことかもしれませんが、普段はちゃんとできているのにテストだと点数が取れないお子さんは、受験本番でも同様になってしまう可能性が高いです。
その理由は、「なぜか本番になると弱い」というのは「性格」による部分もあるためです。例えば、次のような場合があります。
- 自信がなく、何度も同じ問題を考えてしまう
- テストの時間制限に対して焦ってしまい、落ち着いて考えられなくなる
- 「良い点数を取らなきゃいけない」というプレッシャーから、集中力や注意力が散漫になってしまう
落ち着いてテストに臨めるように
このような生徒の場合、受験本番までにいくつかの対策を試してみる必要があります。
①「テスト慣れ」させる
まだ塾にも通っていないお子さんが入塾テストを受けた場合や、塾に入ったばかりの最初の数回の大きなテストの場合には、単純に「テスト慣れしない」のが大きな理由になっている可能性もあります。そのような場合であれば、受験学年までに何度も同様のテストを受けさせているうちに、慣れて点数の取り方がわかってくるかもしれません。
②テスト中のルールを決める
緊張やプレッシャーに弱く、普段通りの取り組み方ができない場合には、「前半部分だけ見直しをして、後半は時間がなかったら諦める」などのルールを決めてテストに臨むようにしてみましょう。テストの種類にもよりますが、模試のような大きなテストであれば満点は取れなくてもよいのです。全問取り組むよりも、取れそうな問題だけ絞って取り組むようにしたほうが点数が上がることもあります。
③リラックスできる方法を実践する
緊張や焦りから普段通りの力が出せない人に対しては、「テストが始まる直前に3秒間目をつぶって深呼吸をする」などのリラックスできる方法を実践させてみるのもひとつの手です。「こうすれば落ち着いてできる」という安心感があれば、落ち着くことができるかもしれません。お子さんがまだ幼少期の頃、意味もよくわからずに泣いたり喚いたりするお子さんに振り回されたことはないでしょうか。小学生はまだそこからほんの数年しか経っていません。よくも悪くも、気分ひとつで結果が左右されることが多いとお考えください。
④最悪の場合を想定して受験校を考える
勝負弱さがそのまま改善できずに入試期間に突入した場合、いつも以上に実力が出せないで終わってしまう可能性を無視しないであげてください。もし実力通りに力が出せなくても、試験という場においてはそれが本人の実力として判断されます。第一希望、第二希望とは別に、本人が安心して受けに行けるような学校を視野にいれておくとよいでしょう。
試験範囲のないテストになると点数が取れない場合
決まった試験範囲があればまだ点数が取れるのに、範囲のないテストになると急に点数が取れなくなってしまうお子さんがいます。
このような場合のお子さんのタイプとしては、普段からとても真面目でコツコツと努力をするタイプであることが多いです。このようなお子さんは、「この単元ならこうやって解く」ということはわかっていても、問題を見たときに「これはどの単元の問題」というのが瞬時に判断できていなかったりします。解法ツールはちゃんと持っているのに、どのタイミングで使えばいいのかがわからない、というような感じでしょうか。
普段の真面目な学習態度や努力をしていることを知っているだけに、テスト結果を見た親御さんのショックが余計に大きくなってしまうこともしばしばあります。しかし、そこでお子さんを責めないようにしてあげてほしいものです。
どの単元に該当するのかを確認する
テストが終わったら、落ち着いてどの問題がどの単元の問題であるのかを分析してみましょう。「今まで解いた中で、どの問題に一番近いか」というような形で探してみてください。「この問題に似ている」というのが見つかれば、その問題と同じように考えれば解ける可能性が高いと思います。
同様にして普段から「この問題は、和差算に近いから線分図を描こう」とか、「この問題は、つるかめ算を使えば解けるな」など、どの単元に該当するかを考えるようにしましょう。各単元の解法知識がちゃんと備わっているのであれば、該当する単元がわかるようになるだけで、その問題にどう取り組むべきなのかがわかるようになっていきます。
これのように該当する単元を考えることによって解けるようになるのは、普段から努力しているお子さんでなければできないことです。もしその中で苦手な単元が見つかった場合には、弱点補強をしておきましょう。
普段の学習に潜む危険性
宿題などはよくできているのに、テスト結果だけが悪い場合、最悪のケースも想定してください。それは、「お子さんが普段の学習で答えを盗み見ている可能性」です。もしかしたら「カンニングすることは悪いこと」という意識もないかもしれませんし、そもそもカンニングをしているという意識すらないかもしれません。
- 答え合わせで答えを見たときにちょっとしたミスをしているのに気づき、その場で答えを直して〇にした
- 解いている最中で解き方がわからなくなり、そのまま解説を写して終わりにした
- 宿題が終わらないと怒られるので、とりあえず答えだけ写しておいた
上記のようなことを、悪意なくお子さんがやってしまっている場合があります。それでは、普段はできているように見えるだけで、本当は全く実力が養われていないのは当然のことです。このような場合、親御さんの協力がなくては改善できません。
誘惑に勝てないなら物理的に離すしかない
まずは「カンニングが悪いことである」という認識を持たせましょう。実力がつかないうえに、周りの大人も「ちゃんとやっている」と騙されてしまうために本人のカンニング癖に気づかないままになってしまい、何一つよいことはありません。
やってはいけないことだと認識させたうえでやめられないのであれば、それはもう物理的に答えを見ることができない環境にしたほうがよいです。具体的には、「解答を親が持ち、答え合わせは親が(もしくは親が見ている前で)行う」ということです。テキストによっては問題と別冊になっていないかもしれませんが、本人が問題を解く際に答えを見ようと思っても見ることができないように工夫してください。
しかし、これはもう本当に「言っても治らない場合の最終手段」です。親御さんにも負担がかかりますし、下手に介入しすぎて自立の妨げになってはいけません。「悪いこととわかっても自分で自分がコントロールできていない」というような場合に限り、実行していただければと思います。
最後に
今回の記事は、親御さんにとっては少しショッキングな内容だったかもしれません。しかし、これが本当にあり得るのです。
塾の先生に相談したときに、「普段はちゃんと頑張っているから大丈夫ですよ」と無責任に安心するような言葉を投げかけられても、モヤモヤとしてしまうこともあると思います。実際、学習内容の出来具合を見るのは塾の先生に任せてよいにしても、精神的な部分や普段の過ごし方を左右できるのは親御さんの協力が不可欠です。学習面において大丈夫でも、それ以外の面で大丈夫じゃない可能性を考えてあげてほしいと思います。
(ライター:桂川)
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