近年、入試でも模試でも、地形図の問題がよく出題されます。地形図は細かいうえ、たくさんの情報が入っていますから、様々な知識を正確に覚え、使えるようにしなければ苦手意識を払しょくすることが難しいところです。
今回は、地形図の問題を解くにあたり、気をつけたいポイントを4つ、お伝えしたいと思います。
ポイント① 地図記号は完ぺきに覚えましょう
覚えるべき地図記号は30~40といわれます。完璧に覚えたいですね。紛らわしく覚えづらいものもありますから、そういったものは書き抜いてまとめるなどしてしっかり覚えるようにしましょう。最近では地図記号を覚えるためのアプリもあります。
また、地図記号は改定されたり、新たに作られるものもあります。地図記号はそれぞれ意味がありますから、何を示すのか、その理由や由来を調べながら覚えると関心も持てますし、定着しやすくなります。
ポイント② 縮尺を正しく見極めましょう
縮尺については、思い込みや勘違いをしないよう、細心の注意を払いましょう。縮尺でひっかかり、芋づる的に失点するケースが非常に多いです。2万5千分の1の地図が使用されることが多いのですが、5万分の1の地図が使用されている場合もあります。この判別を誤ると残念な結果になります。
判断のポイントは等高線の間隔です。2万5千分の1の地図の計曲線は50m、主曲線は10mの間隔で、5万分の1の地図の計曲線は100m、主曲線は20mの間隔で引かれています。地形図の字は細かいですが、必ずヒントとなる数値(三角点の数値など)が入っているはずなので、それを見つけて印をつけておきましょう。
等高線を用いて標高を求める問題では、先に述べたような基本が理解ができていないと算出できません。また、川の流れの向きや斜面が急であるか緩やかであるかを問う問題も、等高線が読み取れるかがポイントになります。しっかり基礎をマスターしておきましょう。
ポイント③縮尺計算をマスターしましょう
地図上での長さから実際の距離を求めさせたり、その逆の計算をさせる問題は頻出です。ポイントは単位の変換ですが、変換のための計算式を覚えるよりも理屈そのものを覚えた方が忘れないですし、むしろ覚えやすいと思います。
2万5千分の1の地形図で、地図上の長さから実際の距離を求める場合、まず地図上の長さ(単位はセンチメートル)を2万5千倍します。その答えの単位は当然センチメートルですから、それを求められている単位に換算します。センチメートルを100分の1にする、つまり小数点を2桁分左に移動させればメートルになり、さらに1000分の1にすれば、つまり小数点を3ケタ分左に移動させればキロメートルになります。基本はそれほど難しくありません。これができれば、計算式は不要です。
よく間違えてしまう原因は、縮尺の計算をしたことで安心して単位変換を忘れてしまうことと、求めている単位に変換したかどうかの確認を怠ってしまうことにあります。気を付けましょう。
ポイント④地形図そのものに慣れましょう
中学入試に出てくる国土地理院の地形図はあまり見慣れていないかもしれませんが、やはり慣れておきたいところです。そこで、国土地理院のホームページにある電子地形図を活用することをおすすめします。自分の住んでいる地域や都市部、郊外、山あいの等高線が混み合ったところに至るまで眺めて慣れておくとよいでしょう。
まとめ
地形図の問題だというだけで苦手意識をもち、テストでも白紙で出してしまう受験生は多いです。たしかに細かく、見ただけで混乱してしまう気持ちもわかります。ですが、地図記号を覚え、縮尺の仕組みを理解すれば、計算問題も怖くありません。答えが地形図内に書いてあるようなものですから、敬遠せずに基礎をマスターし、得意にしてしまいましょう!
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。