首都圏の私立中学受験では、算数・国語・理科・社会の4科目入試と算数・国語の2科目入試、さらには思考力テスト、英語を受験科目に含める入試、最近ではレゴ入試などというものもあります。
バラエティー豊かな入試方法が取り入れられている時代ですが、難関校といわれる中学校は、4教科入試が基本です。中には足切りライン(ある1教科が0点またはそれに近い低い点数だった場合、無条件で不合格とするラインを決めていること。基本的に非公表)を設けている学校もありますが、4教科バランスよく点数を取っていくことが入試の基本といえます。
入試の配点については、4教科バランスよく100点ずつ、という学校もありますが、算数2:国語2:理科1:社会1のように、傾斜配点をしている学校が多く、どうしても算数と国語に重点を置いた受験勉強になりがちです。ですから、どうしても理科、社会の学習に十分な時間が取れないのが現実でしょう。
しかし、算数・国語できっちり点をとり、理科社会で差をつける、これが特に難関校では合格のセオリーとも言えます。では、そんな理科社会、どう勉強していったらいいのでしょうか。今回は、社会の学習方法についてお伝えしていきます。
社会は暗記が命?
小学校の社会では、地理、歴史、公民の分野に分けて学習します。入試の出題割合としてはおおむね地理4:歴史4:公民2といわれています(中には時事問題も含まれます)。地理や歴史は範囲が広く、知識を効率よく理解し、覚え、使えるように勉強していかないと時間ばかりかかってしまいます。
社会は暗記が命、といわれますが、もちろん知識の暗記は必要です。しかし、その知識をいろんな方向から聞いてくるのが入試問題です。単なる一問一答では歯が立ちません。知識を暗記するにも、効率的にしていかないといけませんし、知識同士のつながりを意識することも大切です。
社会の基礎となる地理
塾では小学校4年・5年で、地図の見方、気候、地形、都道府県各地の特色や、農林水産業、工業について学習します。この部分は、中学受験の社会の学習における基礎となるので、しっかり理解し、記憶することがまず第一歩です。
地図帳を使いこなすことも大切ですし、インターネットなどで調べることもできる時代ですから、調べたいと思えば手段はたくさんあります。ですが、机上の理論だけではなく、機会があれば、家族旅行をするなどして実際に歴史ある史跡を訪れるなど、体験型の学習をすることをおすすめします。
ある生徒さんのご家庭では、夏休みの家族旅行の計画をお子さんに立てさせ、行く場所、何時何分の新幹線に乗りどこで乗り換え、目的地に行くまですべて任せて実体験をさせていました。そのお子さんはいわゆる御三家に入学しました。社会がとても得意になって、中学に入っても独自のカリキュラムを楽しんでいたようです。
また、ニュースで見聞きする地名や国名の位置を地図帳で調べておくことも大事なことです。実際の入試問題では、白地図に点が打ってあって、その都市の名前を答えさせる、という問題はよく出題されます。
歴史は「流れ」を理解する
塾では小学5年生から歴史を学習します。歴史の学習で最も大切なのは、「歴史の流れ」を理解することです。時代区分(あいまいな時代もあります。戦国時代や明治維新などはそのいい例です)、年表をすぐに見ることができるところに貼るなどして、いつも意識するようにしましょう。
また、歴史上に起きた出来事の因果関係をしっかり理解しましょう。出来事だけを知識として覚えるのではなく、なぜその出来事が起こったのか、それが次の時代にどう影響したのか、そのつながりを理解することが重要です。
ある出来事と出来事の因果関係や背景を理解するには、歴史漫画を読むことも非常に役に立ちます。地理や公民にも関係しますが、興味をもって学習することが一番効率的に知識を定着させることができるのです。
学校の社会の授業は復習?
小学校で学ぶ社会では、小学校5年の教科書で地理、小学校6年の教科書で歴史・公民を学習します。中学受験を目指して勉強してきたお子さんにとっては、学校の授業は知識や理解度を再確認する、いわば復習できる大切な時間です。おろそかにしないようにしましょう。
また、お住まいの地域にもよりますが、社会科見学や修学旅行などで、日光東照宮や国会議事堂など、写真だけではない実物を見学する機会がありますから、しっかり利用しましょう。住んでいる地域の特色や働いている人を通して社会の仕組みを学習することができるのも、小学校ならではの社会の学習です。ぜひ、大事にしてください。
まとめ~社会は現在につながっている
社会で学習する地理も歴史も公民も、すべて現在につながっています。なぜ日本はこのような地形になったのか?どうして戦争が起こったのか?今起こっている世界の紛争の原因は?興味をもって学ぼうという姿勢があれば、効率的に知識を覚え、定着させることができるのが社会という科目の特徴です。
時事問題もよく出題されますから、日々起こっている出来事やニュースにも興味をもって、普段からアンテナを張っておくこと、それが中学受験の社会を勉強する上で最も大切な姿勢であることを忘れないで学習していただきたいと思います。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。