中学受験・理科 天体の問題に取り組むには

中学受験の理科の中で、地学分野は好き嫌いの分かれやすいところです。特に天体については、好きな生徒さんは目を輝かせて問題に取り組みますが、苦手な生徒さんは問題のイメージすらつかめないと、手をつけることができないこともあるほど、差がつきやすいのです。

太陽や月、星など、毎日のように空を見上げれば見えるものであるはずなのに、なぜこのように好き、苦手と差がついてしまうのでしょうか。今回は、天体の問題について、なぜ苦手意識を持ってしまうのか、どのように勉強していくと克服できるのか、書いていきます。

なぜ天体が苦手になるのか

暗記でのりきろうとする

たしかに天体のところは、覚えるべき知識が多いところです。ここに、天体が苦手になる原因があります。つまり、「暗記でのりきろうとする」ことが、天体が苦手になってしまう大きな原因となっているのです。

たとえば、「夕暮れ時に西に月が見えたらそれは満月だ」とか、「北極星は北の空の中心にある」などという知識を、理屈抜きにただ覚えようとする受験生はとても多いです。しかし、肝心なのは、「なぜ満月に見えるのか」「なぜ北極星は北の空の中心にあるのか」という、「そうなる理由」を理解することです。こう問われたらこう問われる、といった1問1答のようなマニュアルで覚えようとしてもまず定着しません。

視覚で理解しようとしない

さらに原因に挙げられるのは、視覚で理解しようとしないことにあります。天体の問題に限らず、理科は視覚で理解することがとても大事です。なぜなら、理科は本来、実験や観察したもの、すなわち目で見たことの理由や原因を追求していく科目だからです。ビジュアルを確認せずに文字だけで理解することはできないといっても過言ではありません。この段階を面倒くさいと思ってしまうと、文字だけながめて覚えようとして、いつまでたって覚えられない、ということになってしまうのです。

知識が分断化してしまう

天体が苦手になる原因をもう一つ挙げるとすれば、それは「知識の分断化」です。月の満ち欠けや動き、金星の満ち欠けや動き、星座の動きなど、天体の問題はいろいろなタイプがありますが、究極のところ、実はみな同じ問題、自転、公転の問題なのです。

また、たとえば、空の星の動きを東西南北別々に覚えようとする生徒さんがいます。そんな必要はないのです。空はつながっているのですから、便宜上東西南北に分けるとしても、分断して考える必要はないのです。このように、天体は知識を分断して、「それぞれ」覚えようとすると、覚えることが増えてしまい、いやになってしまいますが、実はシンプルで、みなつながっているのです。それに気づくことができれば、覚えなければならない知識量が減り、苦手意識も減っていきます。

どのように勉強すればよいか

体的なビジュアルをイメージしてみよう

天体の問題は、星の名前、星座の名前など、暗記することはもちろんゼロではありません。でも、暗記に頼らずに「理解する」勉強をすることによって、知識を正確に意識することはできます。その方法は、立体的なビジュアルをイメージすることです。

まずは太陽、地球、月、代表的な星座の位置関係を図に描いてみましょう。教科書や参考書、資料集に図があると思いますが、それを見て済ますのではなく、できれば自分で図を描いてみましょう。そして、描いた図が立体的にイメージできるかどうか考えてみましょう。もしイメージできれば天体の問題は8割は理解できたことになります。地球上のどの位置にいると、この星はいつ、どのように見える、というのは図が描けて、立体的イメージができれば解くことができます。

図でイメージできなければ、モデルを作ってみよう

図を描いても、立体的イメージを思い浮かべるのがどうも苦手だ、という方は、親子で太陽系のモデルを作ってみると理解が進みます。市販されているキットもありますが、発泡スチロールなどで簡単に作れます。インターネットなどで調べれば、参考になる模型の写真が出ていますから、まずは太陽と地球、月、金星を作ってみて、教科書や塾のテキストで解説されている月や金星の満ち欠け、見える位置などを確かめてみてください。さらに、星座やほかの惑星も簡単なものでいいので追加して、これも動きを確認してみましょう。

これは非常に手間がかかるように思えますが、天体を理解するためには、この「宇宙観」がとても必要です。それを、実際にモデルを作ってみることで「実感」するのです。算数の、立体図形の切断のときに、発泡スチロールやスポンジ(中には豆腐を切ったという方もいらっしゃいます)を実際に切断してみてイメージするとわかりやすいように、理科でも「実感」することによってイメージをつかむことができます。実際に模型を作ることができたら、そこから自分でノートに平面的な(二次元の)図描いても、立体(三次元)をイメージしやすくなるでしょう。

立体を作る→図を描く、という逆算の勉強法ですが、一度イメージをつかめると様々な問題に応用できます。

まとめ

天体の知識はみなつながっています。先ほども書きましたが、いろいろなタイプの問題が出てきても究極的にはみな同じ問題です。そして、空はつながっていますから、分断して細かい知識を覚えなくても、ビジュアルで一度基本的な知識を理解できれば、そのあと応用が利きます。そういった基本的な知識の理解ができてから、実際に問題を解くことにステップアップしましょう。

子どもの宇宙観は非常に狭いことがあります。大人にとっては常識だと思っていても、子どもは全然知らないということが天体に関する問題ではよくあります。それは、天体を観察する機会が少ないことにあります。少しの興味や予備知識があると非常に楽になる単元なので、もしまだ低学年ならばプラネタリウムに行ったりして興味を養っておくことをおススメします。なかなかそういう時間が取れない、という場合には、図に描く、モデルを作ってみる、といった実感を伴った理解ができるような学習をして、様々な問題に取り組むようにしましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。