【中学受験】復習するなら欠かせない復習ノートの作り方と活用法②

前回は、復習ノートを作る意味と、その作り方の具体例について解説しました。作りやすさはご家庭によって、またお子さんの性格によって違いますのでアレンジして使いやすいノートを作っていただきたいと思います。ただし、どのような復習ノートを作るにせよ、そのノートは「作るのが目的」ではなく、「今後に役立てるために作るもの」だということは意識していただきたい重要な点です。

復習ノートというと、カラフルに解法を書き写して終わらせてしまうお子さんが非常に多いのを、塾講師の立場から見てきました。それでは、その解法を頭に入れるのではなく、ノートに吸い取られているのと同じです。あくまで「作って満足」ではなく、「自分だけの何度も解き直す問題集を作る」、そういう位置づけで作っていくことを忘れないようにしてください。

かつて、筆者が中学受験勉強をしている際には「バツノート」と呼んでいました。それではあまりにも「バツ」ということばが頭に残ってしまうので、自分の子どもの中学受験時や、指導する生徒さんに対しては「復習ノート」と軟らかい表現で端的に表すようにしました。

しかもこの「復習ノート」は、習慣化すると、中学受験だけではなく、高校受験、大学受験、学校のテスト勉強にもとても役立つのです。ですから、作ったらどのように活用していくか、ということも重要なポイントです。

今回は、前回作り方を解説した「復習ノート」について、どのように活用したらよいのか、また、どのタイミングで解き直しを続けるのがよいのかについて解説していきたいと思います。

復習ノートは作って終わりではもったいない!

最初にも書きましたが、復習ノートは作るのにそれなりに時間がかかるので、作って満足してしまうという受験生の方、保護者の方が多いです。ですが、それでは非常にもったいないことです。

復習ノートを作るうえで最も重要なのは、「自分だけの最強間違い問題集」を作るという意識を持ち、作った後も何度も開いて復習できるようにすることです。最初のうちは間違いが多く、ノートの問題が多くて嫌気がさしてしまってやめてしまうという方も実はいらっしゃるのですが、そこは自分の実力不足が露呈しているわけですから、つらくなってしまっても仕方ない時期だとドーンと構えてください。復習にも時間がかかると思われるかもしれませんが、そこで我慢して問題を解くことが、間違いを減らし、今後の模試やテストでの間違いを減らしていき、成績アップにつながるのです。受験勉強には我慢も大切です!

ですから、復習ノートを作り始めたら、あきらめずに作り続けて解き続けるという、地道に思われるかもしれないですが非常に重要な学習を続けていくという強い意志を持ち続けてください。実際のところ、そのように自分だけの復習ノート=自分オリジナル問題集を作り続け、模試やテストのたびに見直し、解き続けた方は、直前期に入試過去問演習に集中することができ、合格率も非常に高いのです。

復習ノートは作って終わりではもったいなさすぎます。作ったら、次はそれをどう使いこなすか、この後解説していきましょう。

復習ノートの活用法

一度目はノートに直接答案を書く

復習ノートの左ページに間違えた問題を貼ったら、一度目の復習のときはノートの右ページにお子さん自身が問題を解き、書き込んでいきましょう。その問題がノートに加わった時点で解くわけです。そして、間違えたポイントを、解説や解答を利用して赤字で書き込んでいきます。解法そのものや考え方そのものがわからなかった場合は、その解法や原理原則、公式や関連知識を書き足していきます。

そして、大切なことですが、一度目の復習のときに間違えた場合は、問題の左側にもう一つ色を変えて×をつけておきましょう。これで「二回間違えた」ということが一目でわかるようになります。ノートが汚れると嫌がる受験生も実は多いのですが、ノートは汚してこそ学習の証です。間違えたものは間違えたと受け入れ、次こそは間違えないように、という意識につながるように、前向きな自分だけの問題集にしていきましょう。

二度目以降は間違えた理由を自分の頭で考えながら解く

一度目のノートは、答案をそのまま書き込みますが、二度目からはそのスペースもないので、工夫していきます。ノートの左側には問題のプリントが貼ってあるので、ノートを真ん中で追って、問題だけを見ながらほかのノートに問題を解いていきます。

最初は、二つバツがついている問題から解いていきましょう。前回も間違えた問題なので、優先順位が高いからです。もし解けた場合は、再度解法や解答と見比べて、正しくとけているかどうか確認しましょう。もしまぐれで正解したという場合は、できたとはいえないので、もう一度違う色で問題の横にバツをつけておきましょう。

再度間違えた、解けなかった場合も同じです。問題の横に違う色でバツをつけ、再び解法や解答を確認しておきましょう。もし違う解法があって、その方が解きやすい場合は、復習ノート本体に書き加えておきましょう。

大切なのは、思い出しながら解くというよりは、新たに問題に向かうという姿勢を忘れずに復習することです。前にも間違えたからどうせ解けない、という消極的な姿勢ではいつまでたっても不得意な分野や単元、問題の形式を克服することができません。また、知識問題であっても同じです。覚えられないから最後にまとめて、というのではなく、間違えたその時が頭に入れるチャンスなのです。

最終的には解けない問題がすべて〇になるまで解き続ける

三度目以降も二度目と同様です。復習ノートを二つに折って、左側の問題を見ながら再度解いてみましょう。解説や解答を見て、本当に解けるようになったか自分の目で厳しくみて、本当に解けるようになったかどうかを確認するようにしましょう。最終的には、解けない問題がすべて○になり、自分だけの間違い問題集を「卒業」できることが、入試直前期に向けた受験の高い基礎力を身に着けることができた、ということになるので、くじけずに解き続けるようにしてください。

もし、解いていく中で完全に自分のものにできたというものは、それ以上バツをつける必要はありません。ただし、過去問演習に入る前にざっと解いておくと、過去問演習にも役立つでしょう。

復習ノートを取り出して解くタイミングは?

一度目、二度目、三度目以降と、復習ノートを繰り返し解いていくことの重要性は、スムーズに入試直前期の学習に入ることができるようになることにあります。日々の塾の学習、新しい単元も出てきますので、毎日復習ノートを開いて解くということはなかなか難しいかもしれません。

では、どのタイミングで解くのがよいのでしょうか。

基本的には次の模試やテストの前

復習ノートが一番活躍するのは、まずは次の模試やテストの前にこれまで学習した範囲の自分の弱点をつぶすために使う場面でしょう。バツがついているだけに、自分の弱点だから、これを克服すると次の模試やテストで解けなかった問題ができるようになる、という意思をもって復習ノートを解くことで、成績アップが見込めます。

バツがついているため、自分が解くべき問題、思い出すべき知識が塗り替えられていくので、一通り解くことをオススメします。同じ問題を何度も?と思うかもしれませんが、模試やテストの問題は寝られた良問が多いです。あまりにも正答率の低い難問奇問はよほど時間がない限り手をつけなくても構いませんが、そうでない正答率50%、30%程度以上の問題については解けるようにしておくと安心です。

そこで解けなかった問題についてはもう一度違う色で問題の左側にバツをつけておきましょう。テスト直前に、それだけをもう一度さらっておくとより安心です。

新しい問題を加えたとき

次の模試やテストを受けたときには、また新たに間違えた問題が増えています。その場合は、まず復習ノートにそれらの問題を加え、一度目の復習を早めにおこないましょう。その際には、自分がなぜ間違えたのか、途中までとけていたのか、それともまったく歯が立たなかったのか、など感触を思い出しながら解くようにしましょう。もちろん、模試のあと解説を読んで、少し時間をおいて解くのでもかまいません。

g中学受験は中帳場ですので、復習ノートも1冊や2冊で収まるわけではありません。科目ごとに作りますので、直前期には相当の数になっていることでしょう。ですが、間違えた問題を放置するのは中学受験においては致命的です。なぜなら、その解けなかった問題一問が、少し形を変えて次の模試やテストの問題として出題されることもあるからです。

中学入試では、特に近年、見たことがあるような気がするけれどとっかかりがつかめない、という問題が増えています。つまり、見た目を変えているけれど実は聞かれている知識、解法は同じという問題が非常に多く出題されるのです。そういった中学入試問題の傾向に合わせて、基礎力をしっかり固めることは非常に大切です。「こんなに難しいのに基礎?」と思われるかもしれませんが、志望校に合わせて基礎のレベルはずいぶん変わるものです。ですから、出てきたときにつぶしておくのが一番良いのです。

まとめ

今回は、復習ノートの活用法について解説してきました。模試やテストを受けた後、解けなかった問題をそのまま放置するということは最もやってはいけないことです。なぜなら、そこに受験生本人の弱点が多く詰まっているからです。中学入試は、知識が足りなくても、解法のバリエーションをしっかり理解できていなくても、合格することは非常に難しくなっています。それは、「基礎」が足りないからです。

「復習ノート」を作るということは、その大切な「基礎」を固めるために何度も復習を重ね、バツを〇にするということにつながるのです。バツをバツのままにしておくと、どんなに頑張って塾に通おうと、問題集を解こうと、正解できる問題がどんどん少なくなってしまう危険性があります。

模試やテストを受けたら、まずやるべきことは今自分の弱点がどこにあるのかということをつかむことです。これは、受験生ご本人はもちろんですが、保護者の方も是非把握しておいてください。学習内容には口を出さなくても、復習ノートを作るのをサポートしているうちに、わが子がつまずきやすいところがわかるようになってきます。そうすれば、塾での面談でも、どのように対処したらよいのか相談し、アドバイスをもらいやすくなるでしょう。

何よりも大切な「復習」ですが、さまざまある間違えた問題が散逸してしまっては、どれを復習したらよいのかわからなくなってしまいます。復習ノートにまとめておけば、それだけを繰り返し解いていき、バツを減らしていけばいいという明確な目標を持つことができるので、中学受験のための学習を通して何をやるかが明確になります。

復習ノートの仕組み自体は単純なものかもしれません。ですが、誰でもできるからこそ、やるかやらないか、によって大きな差が出てくるのも事実です。形にバリエーションがあるのは全く問題ありませんので、やりやすい方法で続けてみてください。長丁場ではあるものの、期間は決まっています。ぜひ、保護者の方も受験生であるお子さんのサポートの一環として取り組んで、合格を勝ち取りましょう!

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。