公立中高一貫校の適性検査に合格するために必要な学習法とは?

公立中高一貫校の入試が「適性検査」と呼ばれることはご存知だと思います。一般的な4教科の入試問題とは異なり、各教科の枠を超えて、小学校で習得してきたことを総合的に活用することができるかどうか、を見る検査です。小学校で学習する内容をしっかり理解しておくことはもちろん必要ですが、適性検査で試される力とはどういうものなのでしょうか。そして、その力をつけるためにはどのような学習法が効果的なのでしょうか。

適性検査で試される力とは?

公立中高一貫校の入試の合否は「適性検査」、学校からの「報告書(調査書)」などによって総合的に判定されます。適性検査では、国語、算数、理科、社会という、一般的な入試での4教科の区分での学力検査は行われません。教科を超えて、総合的な思考力、判断力、表現力を見るための検査となっており、出題範囲は小学校で学習する内容と決められています。

適性検査で試される力とは、

  • 文章を読みとる力
  • 分析する力
  • 論理的に考える力
  • 問題を解決する力
  • 自分の意見をまとめる力

などが挙げられます。

社会問題にアンテナをはる

教科にとらわれない出題としては、たとえば、社会的な問題を取り上げる傾向があります。たとえば、「少子高齢化」や「環境」、「国際化」、「福祉」などについての出題が多くみられます。これらの社会問題についてのグラフやデータをたくさん見ておくことは、適性検査対策としてとても有効です。世の中でどのような問題が起こっているのか、それを見つけ出すことと、グラフやデータを見て何が読み取れるのか、問題を解決するのにそのデータをどう使うか、また、自分自身はその問題についてどういう意見を持っているのか、まとめる力が必要です。普段からニュースや社会的な問題にアンテナを張り、自分だったらどうするかな、どうすれば解決するのかな、ということを考えるクセをつけましょう。

算数は全てにつながっている

算数は、特にほかの教科との融合問題として多く出題されます。歴史や理科の問題を取り上げたうえで、算数の計算問題に移行するような問題です。たとえば、歴史上の通貨を円に換算し、ものの値段を求める問題や、発光ダイオードによってどのくらい電気代を節約することができるのか、などの問題が考えられます。最初は算数の問題に見えなくても、最終的に問題を解決したり、算数の視点から別のものを見たらどうなるか、ということに抵抗なく対処する力が必要になります。身の回りの問題を、算数を使って考える訓練、それから何よりも、基本的な計算がしっかりできるように練習をしておきましょう。

作文を上達させる方法

適性検査の問題の中には、自分の意見をまとめる作文も出題されます。最も多い出題形式としては、説明文や物語文の一部を読んで、そこから読み取れることを理解したうえで、自分が考えたことを実体験も交えて記述する、というものです。途中まではいわゆる中学入試の読解問題の形をとる学校も多いですが、私立中の国語の記述はまず「あなたの考えを書きなさい」という自由作文は出題されませんが、適性検査では自分の考えたことをわかりやすく書く力も必要になります。ただし、「この文章から読み取れることを理解したうえで」自分の考えを書かせるなど、設問をよく読んで答えることが必要になりますから、正確な読解力と記述力が必要になります。

作文の力をつけるには、やはり「書く練習」が欠かせません。さまざまな題材を使って自分の意見をまとめる訓練を積んでおきましょう。各校の適性検査の過去問などを参考に解いてみたり、あるいは私立中学の入試問題を使って、最後に自分の意見を加えて記述するなどの練習が効果的です。

また、適性検査の作文はただ思いついたことを書けばいいというものではありません。学校側が「聞きたいこと」に対して「わかりやすく表現する」ことが求められていますから、どういう順番で書くとわかりやすいか考える、という文章構成の力も必要になります。さまざまな問題にチャレンジして文章を書き、それを書きっぱなしにせず、できるだけ指導者に添削してもらうようにしましょう。

適性検査に求められている力

適性検査で求められている力は、最近中学校でも学習スタイルの中心となりつつある「アクティブ・ラーニング」によって養成されていく力と非常に近いものがあります。思考力・判断力・表現力は、大学入試改革で求められる学力の要素ですが、これを適性検査の段階で(小学生レベルで)見定めようという意図も見えてきます。この力は、高校、大学、社会に出ても必要とされる力ですから、公立中高一貫校を受検する際には、そういった力が求められている意識を持っておくことが求められます。

なお、公立中高一貫校では、「報告書(調査書)」も重視されます。学校によって配点は異なりますが、合計得点のうち3割近くを報告書が占める学校もあります。小学校の生活にどれだけ一生懸命取り組んでいたか、ということも合否の判断材料とされますので、適性検査対策だけでなく、学校生活に真剣に取り組む姿勢を養うことも必要です。親御さんからの働きかけも重要になりますので、ぜひ覚えておいてください。

<関連記事>

公立中高一貫校の適性検査で問われる力とは?

中学受験・学校説明会で注意して聞きたい「アクティブ・ラーニング」とは?

中学受験生のお母さん向け無料メールマガジン

    本サイトの監修者である、開成番長こと繁田和貴が執筆する無料メルマガは、その内容の濃さから6000人以上の読者に愛読されています!

    登録も解除も簡単にできますので、まずはお気軽にご登録ください。

                                

「開成番長・繁田の両親が語る繁田の中学受験PDF」プレゼント!

無料メルマガ登録

ABOUTこの記事をかいた人

アバター

一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。