中学受験・国語 随筆の読解ポイント3つ

中学受験の国語の中で随筆文について、どんなイメージを持ちますか?随筆文はエッセイとも呼ばれ、比較的読みやすい文章が多く、受験生も抵抗なく読むことができることが多い文種です。しかし、これが読解問題となると、「読めるのに解けない」となりやすいのも随筆文です。

その原因は、「平易なことばで書かれていても構造が複雑」という点にあります。日本で有名な古典の一つに「徒然草」がありますが(中学受験生にとっては社会の知識として有名ですね)、この名の通り「徒然なるままに」筆者が心に思い浮かんだことを書いているのが随筆です。それだけに、少し複雑な文章になりがちなため、読解が難しくなることがあるのです。

今回は、そんな随筆文の読解のポイントについて簡単にまとめてみます。

ポイント①「事実・出来事」と「感想・意見」を読み分ける

随筆はたいてい、筆者の思い出や経験、最近のニュースなどを紹介し、次に筆者の感想や意見、考えが展開される、というパターンになっています。ですが、なにしろ「徒然なるままに」書かれているので、これらの思い出や経験、感想や意見が入り組んだ構造になっていることが多いのです。

まずは、どれが「事実・出来事・経験」なのか、「感想・意見・考え」なのかを見分けるようにして読んでいきましょう。随筆には、論説文に近いものと物語文に近いものがあり、特に物語文に近いものの場合、明確に「感想」が書かれていないように思えて、理解が難しくなることがあります。漠然と読んでしまうと、何が言いたいのかわからない、ということになってきます。

ですから、読むときは、登場人物(それは随筆文の場合筆者になりますが)の「心情」を読みとるつもりで読むとよいでしょう。それが「感想」につながります。論説文に近いものの場合は、筆者の「意見、考え、言いたいこと」を読みとるつもりで読んでみましょう。「私はこう思う」という形で書かれていることも多いので、意見は考えだと読みとることはそれほど難しくないはずです。

ポイント②「感想・意見」の理由・根拠は「事実・出来事」にある

さきほども書きましたが、随筆文は、筆者の思い出や経験をふまえたうえで感想・意見が書かれている文章です。ですから、筆者の「感想・意見」の根拠は、「事実・出来事」の中にあります。「事実・出来事」があったからそのような「感想・意見」に至ったわけですね。

「なぜこのように主張しているのか」というような問題がよく出題されますが、その答えのヒントは「事実・出来事」の部分にあるはずです。「この経験から、どんなことを感じたのか」と問われたら、そのヒントは「感想・意見」の中にあります。

ここでも、やはり重要なのは、「事実・出来事」と「感想・意見」を読み分けることです。文章を読み進むときに、「ここは事実・出来事」、ここは「感想・意見」というように、メモを残していくと、設問を解くときのヒントが一目でわかります。注意して読むようにしましょう。

ポイント③「感想・意見」は「大人が書いている」ことに注意

中学受験生にとって、ここが一番難しいところかもしれません。論説文、物語文などほかの文種であっても大人が書いていることに変わりはありませんが、随筆文の場合は、文章の中心となる「感想・意見」が、筆者のもの、つまり「大人の感想・意見」であることが、読解を難しくしている要因になっています。

小学生にとっては、筆者の幼少時代の経験は理解できるかもしれませんが、大人になってからの感想や意見、考えについては難しくて理解できない、ということもあるかもしれません。

対策としては、普段から随筆文、あるいは論説文に多く触れておくことが大切です。塾のテキストや問題集だと、随筆文に割かれる回数は少ない傾向にあるので、論説文が中心になると思いますが、「筆者=大人」の意見に数多く触れておくことをおすすめします。あらためてそのための出版物を読む必要はありません。塾のテキストや問題集に出てくる文章で十分ですから、できるだけ多くの「大人の意見」に触れておきましょう。

まとめ

随筆文は、エッセイとも呼ばれ、こじゃれた文章も多いです。その反面、構造がつかみにくいので読解に一苦労することがあると思います。ですが、随筆文にもある程度パターンがあります。物語文パターン、論説文パターンを中心に、読み慣れておきましょう。随筆文を出題する学校はそれほど多くはありませんが、毎年のように出題する学校もありますし、毎年のように出題する文種を変えてくる学校もありますので、できるだけ多くの文章に触れておきましょう。

また、徒然草や枕草子などの古典の随筆の現代語訳を読むのもおすすめです。随筆文を読む際のヒントがつかめます。そのような古典の随筆は、当時の世の中の様子や経験をまず述べて、それに対してよいと思った、呆れた、怒った、ほれぼれした、などがはっきり書かれており、随筆文の本質をつかむのにちょうど良いと思います。マンガになっているものもありますので、それでもかまいません。受験勉強の中で随筆文に触れる回数は少ない傾向にあるので、そういったもので興味を持っておくと良いでしょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。