今回の記事は,日本全国に存在する工業地域・工業について一つずつご紹介していくシリーズの第2本目,関東内陸工業地域編になります。日本全国にはたくさんの工業地帯・工業地域が存在しますが,それらについて細かいことまで覚えていくのは難しいです。しかし中学受験でこの範囲は必ず問われます。そのためこのシリーズでは,それぞれの地域の特徴について簡単にわかりやすくまとめていきます。前回は瀬戸内工業地域について解説しましたので,よろしければそちらもご確認ください。
Contents
場所は?
まず関東内陸工業地域の場所について確認しておきましょう。名前からも分かる通り,この工業地域は関東の内陸部,つまりは海に面していない場所にあります。大雑把に範囲を表すとなると,次の地図のようになります。オレンジ色の点は代表的な都市を,都市とともに書かれている()の中身はその都市で栄えている産業を表しています。
この地図のように,関東内陸と言うと栃木・群馬・埼玉などを含む地域のことを指します。関東にはこの関東内陸工業地域の他に,京葉工業地域・京浜工業地域などもあるため,位置が混ざりやすいです。関東内陸の場所を覚えるときは,内陸=海に面していないことを頭に入れておくといいでしょう。
工業の特徴!
ではここからは関東内陸工業地域の工業の特徴について見ていきます。工業地域の特徴を抑えておく上で大切なことは,どれくらいものが作られているのかということと,どの種類のモノが盛んに作られているのかということです。この特徴を確かめるために,以下では工業製品出荷額と種類ごとの出荷額割合を見ていきます。
出荷額について
初めに出荷額を見ていきましょう。下の図は全国の工業製品出荷額にしめる工業地帯・工業地域のグラフです。このグラフで左側にあればあるほど,たくさんモノを作って売っている,ということになります(データは教育出版株式会社からの引用です)。
上のグラフの緑色の部分が関東内陸工業地域を指します。このグラフから関東内陸工業地域の出荷額は全国の10.0%をしめていて,中京・阪神に次ぐ第3位となっていることがわかります。ただ10.0%という数値は阪神の10.7%・瀬戸内の9.6%という数値と近いです。そのため年度によっては第2位だったり第4位だったりするかもしれません。大雑把に「1割くらい」「3番目くらい」と頭に入れておくといいでしょう。
このグラフはシリーズを通して載せていきますので,都度思い出してみたり比較してみたりしていただけると幸いです。
盛んな産業について
続いて関東内陸工業地域の工業種類別の割合を見ていきましょう。工業の種類には金属・機械・化学・食料品・繊維などがあります。これらの種類の違いについては【瀬戸内工業地域編】で説明していますので,よろしければそちらを参照してください。
以下の図は全国と関東内陸工業地域の工業種類別出荷額割合を比較したものです。割合の数値が大きいほど盛んに生産されている産業だ,ということを意味します。(データは教育出版株式会社・HelloSchool社会科からの引用です)。
このグラフから分かる特徴として,機械の割合が高く,対象的に化学の割合が低いということがわかります。特に大事なのが,機械が盛んに生産されているということです。機械の割合が50%を越すのはこの関東内陸工業地域と中京工業地域(約70%)だけです。大事な要素として覚えておきましょう。
なお繊維産業については,関東内陸での生産割合のデータが見つからなかったため割愛しましたが,全国・関東内陸ともに1%ほどでそこまで変わらないかと思われます。
なぜ機械の割合が高い?化学・食料品の割合が低い?
ではここからはなぜ機械の割合が高いのか,そしてなぜ化学の割合が低いのかということについて考えていきます。簡潔にいうと,これらの特徴がある理由は関東内陸という地域の特性にあります。
関東内陸工業地域は海に面していないことから,石油・ガスなどの海外からしか採れない原材料を輸入しづらい環境にあります。自動車などで陸まで運ぶこともできますが,コストがかかってしまうため避けられる印象です。またそれとは対照的に,関東内陸は高速道路が整備されていますので,国内で作られた小型のパーツ・部品を運び込むことには優れている地域であるといえます。
瀬戸内編でもご紹介した通り,機械とは自動車工業のような部品から機械を組み立てる産業を,化学とは石油などから製品を作る産業を意味しました。このことから,部品のような運びやすい原材料を使う機械産業が発展し,石油のような運びにくい原材料を使う化学産業が発展しなかったといえます。
この機械産業に関して覚えておいて欲しいことが,群馬県太田市発祥のスバル自動車です。みなさん少なくとも一度は聞き覚えがあることでしょう。自動車というのは日本全国で盛んな産業ですが,特にこの関東内陸工業地域では自動車工業が優れているといえます。ぜひ具体的な会社の名前まで覚えておくといいでしょう。
工業以外の産業の特徴!
次は,関東内陸工業地域で盛んな工業以外の産業について確認していくことにします。工業地域なのにどうして工業以外のことを?と思われる方もいるかもしれません。しかし,地域ごとに農業・漁業・工業,他にも気候や人口などの要素を関連づけて覚えるほうが,一つずつ項目を暗記していくよりも体系的な知識を獲得しやすいです。特に産業については土地や地域の条件が強く結びついていますので,この機会に頭に入れてしまいましょう。
ただ,もちろん優先して覚えるべきなのは工業の特徴ですので,余裕のある方のみ下の文章をお読みいただければと思います。
農業の特徴は?
まず見ていくのは農業の特色です。瀬戸内編では促成栽培が行われていると確認しましたが,この地域では近郊農業というものが行われています。
先ほど抑えたように,この関東内陸は海に面していない一方で,高速道路が発達しているので陸地への輸送に優れている環境でした。この特性を活かすのが近郊農業です。関東内陸の地域は東京という消費者,つまりは野菜を食べる人が多いです。したがってこの地域で作物を育て,高速道路を使ってすぐに発送し,短時間で新鮮な野菜を届ける,といったことが可能です。このように都市周辺に位置するという特性を生かした農業が行われています。
この地域の気候は比較的涼しいことが特徴です。そのため旬の時期を少し遅らせる抑制栽培が群馬県嬬恋村などのキャベツ畑などで行われています。旬を遅らせる理由は,作物が旬ではない,つまり本来ならたくさん採れない上においしさも落ちる時期に合わせて育てることができ,高めの値段で売ることができるからです。なぜ遅らせるかまでは覚えなくてもいいですので,近郊栽培・抑制栽培という単語は覚えておきましょう。
水産業の特徴は?
関東内陸工業地域は海に面していないため,水産業については特に覚えることはありません。強いて言えば,何も採れないということを覚えておくといいでしょう。
まとめ……の前に
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まとめ
今回は関東内陸工業地域の工業と農業の特徴についてまとめていきました。工業地域・工業地帯という分野はどの中学校でもほとんど必ずと言っていいほど出題されているので,学習は欠かせません,この記事を読むだけでなく,他の地域についての記事も読んで特徴を比べてみたり,参考の欄にある問題集を解いてみたりして,知識を定着させていくと良いでしょう。本記事が今後の学習の手助けとなれば幸いです。
(ライター:大舘)