学校選びの大問題の一つが、「男女共学にするか、別学にするか」ではないでしょうか。
受験時に共学が第一志望であれば併願校も共学、そして別学が第一志望ならば全て別学を受ける!という人が多いように思います。
今回は、女子校に12年間通った筆者が考える、女子校の良さ・通うメリットについてお伝えします。
私の通っていた学校
私は小学校受験で女子校に入学しました。12年間女子校に通った生粋の女子校育ちです。
通っていた学校は幼稚園、小学校、中学校から入学が可能な学校で、小学校から入学した人は「内部」と呼ばれていました。(分かる人にはすでに学校名がわかりそうですね。)
場所は都内の一等地。駅の目の前にある、カトリックの女子校です。
学校の前には桜並木があり、春には廊下から桜を眺めることができます。
制服のセーラー服の可愛さには定評があります。特に小学生の麦わら帽子は今見ても本当に可愛いです。
最近では芸能界のOGの方たちが一緒に旅行をする番組も人気のようです。今までの「お嬢様学校」イメージとはまた違う、破天荒女子輩出校としても世に知られ始めている気がします。
良かったこと① 「女の子」を押し付けられない
すこぶる当たり前のことですが、女子校には男子がいません。
その結果、「男の子」の目線を良くも悪くも気にせずに過ごすことができます。それは、「女の子らしさ」をジャッジされない環境だと言えると思います。
- 意見をはっきり言う
- 思う存分勉強をする(頭が良くなる)
- 委員会や部活動でリーダーシップを取る
- 体育や運動会で本気を出す
など、いまだ世間で求められることも多い「女の子らしさ」、つまりは男性を立てて少し後ろにいる、と正反対のことを堂々とできます。
むしろ女子校に通っていた当時は、世の中に「女性がパワーを発揮すると疎まれる」だとか「男尊女卑」だとかが存在していることを知ることすらありませんでした。
社会人として働くようになってようやく、女性というだけで不利益を被ったり、「女の子らしさ」を理不尽に求められることが“大人の世界”にはまだ存在しているのだと知りました。
今になって思うと、女子校に通っていた頃は、心の赴くままに伸び伸びと過ごしていました。
そして、自分には何でもできるんだと確信していました。(“大人の世界”の方が早く変わってほしいですね。)
もちろん同級生同士で「あの子は女子力があるよね」などといった話題になることはありましたが、それはそれで個性として認めた上で「でも私には無理だわ〜〜笑」と笑っているような感じだった記憶があります。
性別という枠組みに捉えられずに過ごせた時間はとても貴重なものでしたし、今につながる財産になっていると感じています。
良かったこと② 進路選択へのバイアスがない
①に書いたこととも繋がりますが、女子校の良いところの一つに進路選択へのバイアスがないことがあげられます。
学校によっては高校2年生ごろから理系コース文系コースのように、進路によってクラスが分かれている場合もあるでしょう。(なお、私の母校にはそのような制度はありませんでした。)
そうなった際、クラスの男女比などを理由に「何となく女子は文系」と思ってしまう人もいると思います。
女子校であればそのようなバイアスなく自分の進路を選択することができます。
実際、私の学校では理系を選択する人が多かったですし、医療系学部への進学者もかなりの人数がいました。
また、美術系の大学に進学するなど、自分の個性を追求した道を選ぶ人も多くいたように思います。
母校の特性もあるとは思いますが、周囲に流されることなく自分の道を切り開く意識を持つことができたのは、女子校という自由な空間にいたからではないでしょうか。
良かったこと③ 素を見せ合える友人ができる
社会人になった今、女子校のありがたさと、そこで出会った友人のありがたさを痛感しています。
自分の力を存分に発揮できる環境で共に過ごしたからこそ、同級生たちすごさを知ることができました。
今もそれぞれの場で頑張っている同級生たちのことを心から尊敬してもいます。
これはどのような学校で育ったとしてもそうだと思いますが、久しぶりに会った人でも、会えば学生の頃に一瞬で戻ることができるのです。
また、中高一貫校だったからこそ、そして私の場合は小学校から通ったからこそ、その人の内面の多面性に気づくこともできました。
一時期は性格がキツかった人が、年を重ねて優しくなる様も見てきました。
最初は引っ込み思案だった人が、リーダーシップをとるようになる様も見てきました。
人は精神的に成長できる存在なのだと、身をもって知ることができたのです。
中学・高校という人が大きく成長をする時間を伸び伸びと共に過ごしたことで、今この社会で生きる上で出くわす苦しいことや悲しいことについても本音を話すことができる、まさに素を見せることができる友人ができました。
最後に
中高時代、嫌なことももちろんありました。
学校が嫌いになったこと、女子校という空間が嫌になったことも何度もありました。
それでも私は、女の子には女子校をすすめたいと思います。
いまだ男女が平等に扱われる場面ばかりではないこの社会で生きる上で、女子だけの空間で伸び伸びと過ごす時間は、何物にも変えがたい素晴らしい時だと思うのです。
1995年生まれ。東京都出身。
中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。