学校見学について、何回かに分けてわが家の経験談を書かせていただいています。これまで慶應系列校編として、慶應普通部、SFCについて書いてきましたが、同じ慶應系列の学校と行っても、イメージは全く違うものでした。
今回は、同じく慶應系列校の中でも、慶應中等部について学校見学をした経験について書きたいと思います。あの有名子役の女優さんも入学した中等部です。女優さんが入学したということで、「中学生から芸能活動してもOKなんだ」と興味を持った方も多いのではないでしょうか。
そんな慶應中等部について、実際に学校を訪問した感想や印象などをまとめていきたいと思います。
Contents
幼稚舎からの女子は全員慶應中等部へ
慶應の幼稚舎から中学に上がる際、男子は慶應普通部と慶應中の等部どちらかに進学するか分かれます。さらに、慶應中等部に進学すると、さらに高校は男子は慶應義塾高校か慶應志木高校、SFC、慶應ニューヨーク校の中から選択しなければならないので、男子は慶應普通部へ入学する数が多くなっているようです。慶應普通部の中学校から高校へ、そして大学へ、と日吉に通い続ける男子が多いようです。
女子の場合は、全員が慶應中等部に進学するので、慶應中等部の一般入試では、女子の人数枠が極端に少なくなっています。つまり、慶應中等部に進学する女子の約半数は幼稚舎からそのまま進学してきた方、ということになります。男子の中で、慶應中等部に幼稚舎から進学してくる方は10%以下になっています。そのため、慶應中等部の一般入試の募集人数のアンバランスさが生まれるわけです。
慶應中等部の外部向けイベントといえば「展覧会」
慶應中等部も、慶應普通部と同様に、いわゆる文化祭という行事はなく、毎年11月上旬の週末に、「展覧会」と呼ばれる、文芸部による展示を中心としたオープンイベントが行われています。展覧会というだけあって、展示が中心ではありますが、文芸部であれば、当日展示以外にも発表を行っていたり、実際の活動の様子を見ることができるほか、運動部もいくつか招待試合などを行っていました。
男子はおとなしい?雰囲気
今の子どもたちの世代は、どこの学校ももしかしたら同じかもしれませんが、慶應中等部では、男子の方が人数がかなり多いにもかかわらず、女子の活発さが目立つような気がしました。前述したように、女子の約半数が幼稚舎から進学してきているので、幼稚舎からの連帯感があるということもあるかもしれません。
共学ならではの協働関係がある
慶應中等部は、SFCと同じく共学校です。別学ではないので、授業は男女同じクラスで行われます。SFCは、帰国子女が多いということもあり、グローバル教育やICT教育に力を入れています。大学もそのような雰囲気ですが、慶應中等部の方は、SFCほどの特徴はありません。
慶應は幼稚舎から、レポートなどの作成が非常に盛んです。中等部でもそれは引き継がれており、毎日のように何かしら「書く」課題が出されています。特に、理科のレポートは有名です。課題が出されたら、それについて調べて書き、必ず自分の考察を入れて書かなければなりません。大学生が書くようなレポート課題が日々出されているようなものです。ひとりで書くものもあれば、グループを作って作成するものもあります。
意見を出し合い、協働して課題解決するために学習を進めていくのは、大学入試改革で必要とされている力です。慶應中等部の場合、そのような力を育む教育をずっと以前から行っていたわけです。アクティブ・ラーニングという名はついていなくとも、思考力を養う教育、表現する能力を養う教育、協働して問題を解決していく能力、それらは大学に入ってから必ず必要になる能力です。
男女共学ならではの視点の違いも取り入れながら、協力して課題を解決していく経験を積んでいくということは、大学に入ってから、さらに卒業して社会に出てからも必要な重要な能力を養うということです。そのような教育がなされているのは、慶應中等部の大きな特色だと思います。
慶應出身のご両親が多い
慶應普通部でもそうでしたが、慶應中等部はとても慶應出身のご両親が多いと感じました。展覧会に足を運んだときに実感しましたが、ご両親、はたまた祖父母の方々も一緒になって展覧会を見に来ているようなご一家をたくさん見かけました。
また、慶應普通部同様、展覧会も親子ぐるみでの一大行事で、親御さんも一緒になって作品を作るほどの熱の入れようだとか。その成果を一族で見に行く、そういう方が多かったと思います。
慶應中等部は受験のときに親子面接があります。そこでもやはりご両親の両方、あるいはどちらかが慶應出身かどうかは重視されるようです。もちろん、学力試験が非常によくできたお子さんはそういうったことは関係ないと思いますが、1次の学力試験を突破した後の、2次の面接については、基準が少しブラックボックスなイメージを持ちました。学力だけでは決まらないあいまいさが、慶應系列校の中では一番強いように感じます。
女子にとっては慶應女子高への切符が手に入る
わが家は男子でしたから直接は関係しませんが、女子にとっては、慶應中等部に入学するということは慶應女子高への進学が約束されたようなものです。慶應女子高といえば、高校受験では女子で断トツトップの学校です。地方からも受験しに来る方がいるくらいの名門校です。
慶應女子高に入学するのは非常に難しいということもありますが、首都圏の高校受験は、公立高校以外には上位の女子校が非常に少ないです。さらに難関大学である慶応大学に進学する可能性が高いわけですから、特に女子は慶應中等部が大人気です。御三家と慶應中等部の両方に合格しても、慶應中等部を選ぶという方も少なくありません(最初に書いた女優さんもそうでしたね)。
まとめ
慶應中等部は、立地もよく、近くに慶應大学もあるので、将来の進学先を毎日見ながら通うことになります。入試に関しては、慶應普通部のように学力勝負!だけとはいかない点があるので、不透明なところが合って不安に思われる方もいらっしゃると思いますが、活発な女子に少しおとなしい男子、そのバランスがとれていて、実際に学校生活を送っている生徒さんは元気いっぱいです。
親御さんの慶應率が高いので、そのあたりはお付き合いがなかなか大変、ということを聞いたことはありますが、キャリアウーマンのお母様も多いとのことなので、入学後にお子さんにつきっきり、ということはないようです。
慶應系列校について、息子と一緒に見に行って感じたことを書いてきましたが、3校とも全く違う校風であるように感じました。男子校がいいか、共学校がいいか、さらに大学はどこに進むか、ということまで考えて受験計画を立てる必要があります。また、受験もSFC、慶應中等部は面接もあるので、他にどの学校を受験するかは頭を悩ませることになるでしょう。
ですが、3校とものびのびとしていて、入学したら様々な経験ができる環境がそなわっていると思います。大学受験までの間には、なかなか大変な、進学のためのテストなどがあったり、中学生でも留年があったり、ということはあるようですが、学校で出される課題をしっかりやっていけば、大学と連携した授業など興味深い授業を受けながら、大学進学まで考えられたカリキュラムに載っていける、まさに大学附属校としての魅力がたくさんあると思います。
私と息子が学校見学にいって感じたことなので、実際にはぜひ見に行っていただきたいと思います。口コミだけに頼らず、実際に見に行ってみると、思いのほか学校の魅力や思っていたのとは違った印象を抱くことがあります。ぜひ、できれば親子で学校見学に行って、生の情報を得てきていただきたいと思います。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。