これまで何回かに分けて、中学受験と習い事の両立について書いてきました。わが家では、中学受験と並行して野球とアイスホッケーを続けてきました。以前はどちらかというと両立について、勉強にまつわる出来事をメインにして書きましたが、習い事の視点に立って考えた場合、練習時間が入ってくる分、受験のみに集中しているお子さんや、受験をしないで習い事に集中しているお子さんと全く同じような状況ではありません。そんな中、受験勉強にも影響してくるような出来事が、習い事の方で起こったのです。
今回は、習い事の視点に立って、中学受験と習い事の両立について書いていきたいと思います。
キャプテンをクビになった
野球もアイスホッケーも、実はキャプテンを務めていた息子。6年生になって、最上級生としてプレーすることはもちろん、キャプテンに指名されてそれはそれは張り切っていました(親である私もですが・・・)。不思議なもので、そういう心理状態のときは、どんなに大変でもいろいろなことに前向きになれて、4月は受験勉強もかなり張り切ってやっていました。その後、5月には以前書いた「塾サボり事件」がおこるわけですが、そのときに一度、監督やコーチに洗いざらい相談をしたのです。
受験もチームも両方がんばりたいこと、両方本気で取り組むこと。ただ、やはり小学生なので、状況を見て親として調整が必要だと思ったら何らかの方法をとる可能性があること、などについて相談しました。アイスホッケーの方は、わりと強豪のクラブチームだったこともあり、「受験生だろうが関係ない、チームやプレーのことを一番に考えるのがキャプテンの務めだし、受験勉強を優先していいという判断はチームとしてはできない」という返答でした。
そんな中、6年生の10月に遠方で遠征試合があったのですが、初めて息子が「その週末は志望校別特訓とSS(日曜特訓)に行きたい」と言ったのです。ちょうどテスト結果で座る席が指定される志望校特訓のクラスで成績が上昇中だったため、もう少しで最前列に座れる、そんなタイミングでした。インフルエンザなどを除くと、試合を欠席したのは高学年になって初めてのこと。息子自身も考えた結果のことですし、チームにその意向を伝えました。
そして、その試合後初めての練習のときに、「事件」は起こりました。息子が欠席した試合でキャプテン代行をしたお子さんを、残り3カ月間キャプテンにする、と告げられたのです。息子はキャプテンをクビになったのです。
中学受験に関する考え方はチームにより大きく異なる
ユニフォームに縫い付けてあったキャプテンマークをほどきながら、親子ともどもかなりショックを受けていました。しばらくすると、それで踏ん切りがついたのか、それまで完全に両立モードだった息子が、受験の方に対する意識が高まっていきました。相変わらず練習は夜遅くや早朝にあってきつかったのですが、息子にとってはよい息抜きになっていたようで、その後も1月の最後の大会までチームを続けました。
ちなみに、野球の方は当初より8月いっぱいまで続け、受験が終わるまでお休みする旨を伝えていました。それでもキャプテンに任命してくれ、お休み中も「キャプテン不在だけど、待ってるよ。受験頑張って」と言っていただいたのです ですが、他の6年生や親御さんから不満も出ると思ったので、いったん秋からキャプテンは別のお子さんにお願いをしました。
一口にスポーツチームといっても、カラーや考え方はチームによって異なります。これはスポーツに限らず、オーケストラやその他チームとして活動する団体すべてに言えることです。中学受験について全面的に許容してくれるところもあれば、そうでないところもあります。いずれにせよ、チームのためにも、子どものためにも、とことん話し合う機会を持つことが必要だと思います。「こんなこと相談して迷惑じゃないかしら」という発想はやめ、「子どものためにどうしたらよいか」を第一に考えれば、自然とそのような行動になってくるのではないでしょうか。
まとめ
中学受験と習い事を両立する場合、個人でやる習い事なら自分のペースで物事を決めやすいですが、チームや団体の場合は、団体それぞれで方針や考え方が異なります。また、これは親の立場に立った個人的な意見ですが、中学受験についてあまり前から相談してしまうと、レギュラーから外されたりなど不利益を被る可能性もあるかもしれません。わが家では5年生の3月に相談をしましたが(それ以前に塾通いは認知されていました)、習い事の方も真剣に頑張る姿勢は伝えておいた方が良いと思います。また、最低限チームに迷惑をかけないように、チームに影響するような事項を想定して、あらかじめ伝えておくべきでしょう。そういう意味で、受験と習い事の両立を続けるうえで親が果たすべき役割はやはり大きいのだと思います。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。