前回までは、習い事と中学受験の両立について、わが家の経験を書かせていただきました。やはり、習い事と中学受験の両立には様々なハードルがあるというのが実感です。
今回は、わが家の周囲でもやはり多かった、習い事と中学受験を両立されていたご家庭で、残念ながら望む結果とはならなかったケースについてご紹介したいと思います。
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習い事と中学受験の両立からのドロップアウト
息子と同じ学年で仲が良かった友人の一人は、学年一の俊足で、スポーツ少年でした。息子とは違うチームでしたが、リトルリーグで野球を頑張っていました。5年生の4月に大手中学受験塾に入塾し、頑張っていらっしゃいましたが、6年生の6月に「中学受験をやめる」と宣言してしまいました。
ドロップアウトの原因要素は・・・
全てわかっているわけではないのですが、そのお子さんの場合、いくつかのドロップアウトの要素が見られました。
リアルな情報収集不足
そのお子さんのお母さんは、私と同様ワーキングマザーでしたが、どのお母さんも、このお母さんとお話したことがない、参観日などで見かけたことがないとおっしゃっていました。このお子さんは一人っ子で初めての受験だったのですが、リアルな情報収集ができず、実際に中学受験をされる他のお子さんがどれくらいのことをやっているのかがわからなかったことが一つの理由だと思います。
勉強は塾任せ、家庭学習不足の穴が埋められなかった
お母さんがワーキングマザーだったこともあり、子のお子さんは大手塾の中でも拘束時間が長い塾に通っていました。学校などでお子さん本人とは話す機会があったのですが(息子が小6当時、小学校のPTAをやっていたので)、中学受験の勉強について、家族から何か言われるということはなかったようです。ですから、このお子さんは、ひたすら塾で言われたことだけをやっていたのですが、土日は野球で時間が取れず、未消化分が徐々にたまっていって、穴を埋めることができなかったようです。
スタート時期がやや遅かった
私もそうでしたが、塾に行き始めたばかりのころは、全てが手探りです。ようやく1年たって勉強のコツやリズム、塾の勉強がスパイラル方式だということが見えて来るかな、という感じだと思います。そのあたりが見えない中で、そのお子さんのご両親も、「あと1年しかない中では、習い事と中学受験の勉強を両立し、目標に到達することはできない」と考えられたようです。
このお子さんは、思いやりのあるお子さんだったので、わからないところがあって困っていても、忙しいご両親に相談しなかったのかもしれません。6年生の春には中学受験をやめることにした、と息子経由で聞きました。
今回のまとめ
習い事と中学受験を両立するのであれば、勉強のスタート時期はかなり重要な要素です。ただし、中学受験を志した時期が遅かったとしても、そのお子さんに合ったスケジュールと戦略次第で、習い事との両立は不可能ではありません。そういった意味で、受験勉強のスタート時期が遅く、習い事との両立もしたいという場合は、「自分の勉強」をやるためにも、そのお子さんに合った、何らかの個別指導スタイルの方が有効なのではないかと思います。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。