中学受験の勉強を始め、学年が上がったりそこそこ時間がたってくると、しっかり塾での勉強についていけているのか、苦手単元になってしまっているところはないか、さらに細かく穴になっているところはないか、など、子どもの学習の達成度がだんだん見え始めてきて、不安になってくることが多いと思います。
そうすると、以前書かせていただいたように、わが家のように「個別の対策が必要」と感じるご家庭も多いのではないでしょうか。集団塾には集団塾の、個別塾には個別塾の良さがあるので、併用すべきか、切り替えるべきか、あるいはやはり集団塾だけで頑張ってみるか、家庭学習を工夫するか、様々な考え方があっていいと思います。
今回は、家庭教師や個別指導のフォローが必要なケースについて考えてみたいと思います。
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個別対策をしても効果が出ない場合もある
以前書かせていただいたように、わが家ではGWと夏休みに、スポットの家庭教師の先生、そして10月から1月までは週1回、家庭教師の先生をお願いしていました。
息子の場合は、現状を洗い出し、どう解決したらよいか考えた結果、以下の3点の要素が大きいな、と考え、「個別のフォローが必要だ」という判断に至りました。
- 物理的な自宅学習時間に限界があること
- 自学自習が十分できる前提で授業を活かせるという塾(サピックス)に通っていたこと
- 自信を喪失しかけていたことへのフォロー
ただ単に「単元に穴がある」「集団塾の勉強が順調ではなさそう」というだけで個別対策をすることには、疑問があります。単元に穴があっても、物理的に時間があれば塾で質問したり、自学自習を丁寧にやることでなんとかなる場合もあります。また、「集団塾での勉強が順調ではなさそう=成績が伸びない」ということだと思いますが、なぜ成績が伸びないのか、という分析をしっかりせずに個別指導をつければ何とかなる、と安直に考えていては、いくらいい先生をつけて個別で対策しても負担が増えるだけになるおそれだってあります。
実例として、大手塾から中小規模の塾に転塾(個別指導ではない、集団塾であることに変わりはありません)しただけで自信を取り戻し、その後すごい勢いで伸びた息子のお友達もいましたし、逆に個別指導塾に加え、家庭教師もつけて手厚くフォローしたつもりが、学習のマネジメントについて十分な意思疎通ができないまま、今一つの結果に終わった知り合いの方もいらっしゃいました。
中学受験成功組の共通点
息子は、集団塾+スポットと秋以降の家庭教師という形をとり、今は志望校の一つに楽しく通っています。また、周囲のいわゆる「いい受験をした」「結果に満足している」お子さんたちには共通点があると思っています。それは、「ゴールが具体的にいくつもあること」です。
「ゴールって、第一志望、もしくは第二志望くらいまでに合格することでしょ」と思われるかもしれません。たしかに、受験結果という意味ではその通りだと思いますが、ここで言いたいのは、「小さなゴール」です。たとえば、「自信をつけたい」「○○の単元をマスターしたい」「塾のクラスで△クラスになる」、というような、大きな目標に向かう過程にいくつもある小さなゴールたち、それを一つひとつ達成していく喜びを知った子どもは、受験勉強中に幾度となく「小さな達成感」を味わい、それを積み上げていって受験に打ち勝つ力をつけていくのだと思います。
さきほど紹介した、個別指導塾に加え家庭教師を雇い、ありとあらゆる個別フォローをしたにもかかわらず結果が出なかったお子さんは、「とりあえず伸び悩んでいるから」という漠然とした理由で個別フォローを選びましたが、具体的なスモールステップを積み上げているというわけではなかったようです。やはり、「まずこうしよう」という大きな目標、それに向けた小さな目標を立て、子どもに達成感を持てるようにし、それを繰り返すということが必要だったのではないかな、と思います。
どんな場合に個別指導が必要なのか
個別指導が有効な場合とそうでもない場合もある
先ほど述べた「小さなゴール」にはいろいろありますが、それらの中で個別指導が有効なものとそうでもないものがあると思います。たとえば、「○○の単元をマスター」などは、必ずしも個別指導をつけなくても、自分で勉強してわからないところは塾の先生に聞きに行く、そういうやり取りで達成できる場合もあると思います。
ただ、わが家のように習い事との両立で時間が相当とられてしまって、通常なら3時間くらいかけて仕上げる復習を1時間で終わらせなければならないというケースもあるわけで、それは子ども1人の力ではどうにもなりません、専門家の力を借りて、効率よく理解させることが必要でしたので、そういう意味でわが家では個別指導を入れることはマストでした。
個別指導をつけるか悩んだときのチェックポイント
個別指導をつけるべきか?と悩んだときは、次のようなポイントに立ち戻り、よく整理して考えてから決めるとよいと思います。
- 最終ゴールの整理(第1志望校合格がゴールなのか、志望校を変更する余地があるのか整理する必要があるとき)
- ゴールを達成するための現状の問題の洗い出し
- 問題を解決するための手法の洗い出し
- 問題を解決するための物理的な時間があるかどうか検討
- お子さんの性格
それらを総合的に判断して、やはり「個別指導が必要」となった場合には、個別指導塾や家庭教師など、個別対応策を追加するのがよいと思います。案外こうやって問題を整理していくと、個別に頼りきりにならなくても解決できることもあるものです。でも、どうしても解決できないことがあれば、素早く対応することもが要だと思います。
わが家の経験からは、両親が働いている、または時間的に親が十分にサポートすることが難しく、かつ中学受験と習い事を両立させているような「物理的な時間の問題」が、問題点を洗い出したときに含まれていたので、個別指導を入れることは非常に有効だったと思います。
まとめ
子どもが「ちょっと伸び悩んでいる」「つまずいている」そう感じたら個別指導をつけなきゃ!とお考えになる親御さんは多いと思います。ですが、個別指導はあくまで「その子や問題解決方法に合った手段の一つ」だと思います。
それぞれのご家庭で事情は違うと思いますが、やはり何の目的もなく「成績が下がったから個別に頼ればなんとかなる」と安直に考えるのではなく、上に挙げたようなポイントや問題点を洗い出したり、分析し、さらにお子さんの性格などもよく考えてから個別指導を考えるのがよいと思います。そのようなポイントや問題点などを考えてみたうえで、「それらを解決するにはやはり個別指導が必要」、そう感じたなら個別指導はGO!ですし、とても有効なものになると思います。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。