反抗期は誰にでもある、大人への一歩を踏み出す期間です。この期間がないと、社会に出てからのふるまい方や考え方が未熟なままで、社会生活を送る危険性があるため、実は人生の中で必要不可欠な時期ともいえます。
ですが、中学受験を控えた大事な時期に突然わが子が反抗期に入ったら・・・?反抗期は早ければ小学校中・高学年で起こることも十分ありえます。また、中学受験は子どもの成長と表裏一体の関係にありますから、反抗期まで行かなくても自我が目覚める時期とどう付き合っていくかということは大変深刻な問題でもあります。
中学受験期に反抗期が重なると、志望校を決めるときにもめたり、何をやるにしても嫌がったり突っかかってきたりと、非常に扱いにくい状態になりますから、親御さんとしてもイライラが募る場面も増えるでしょう。親御さんも、またお子さん自身も安定した気持ちで取り組みたい中学受験です。
今回は、中学受験準備中に子どもの反抗期が始まってしまった場合の上手な接し方をお教えします!
絶対に行ってはいけないNGワードは?
反抗期に入ったお子さんであっても、本当は中学受験に向けてやらなくてはならないことはわかっています。でも、自分でも抑えようのない気持ちの乱高下のため、勉強しなくてはならないことや、八つ当たりしてもしかたがないこと、本当は素直になったほうが楽だということなど、わかってはいるけれども自分でもどうしようもないくらいイライラしたり、もやもやしているのです。
このような状態のお子さんに対し、親御さんが、できていないことを正論で責めるということは避けた方が賢明です。何を言っても言うことを聞かない、勉強の計画が遅れる、反抗的な態度をとられる、そんなことが続けば親御さんもイライラし、いわゆる「説教」をしてしまいがちです。反抗期の自分を抑えられずに苦しんでいるお子さんを正論で責めるとますます反抗の度合いが強くなってしまいます。
大人であっても、自分で十分わかっていることについて「なんで」と指摘されたり追い詰められたりすると嫌な気持ちになりますよね。反抗期が始まったお子さんに、絶対に言ってはいけないキーワードはズバリ「勉強しなさい!」です。受験勉強をしている時期のお子さんにとって、ただでさえあまり言ってほしくないことばです。まして反抗期になり、自我が目覚めはじめ、勉強しなければならないと頭ではわかっているけれどどうしようもない気持ちに苦しんでいるお子さんにとって、この「勉強しなさい!」という言葉は、さらに反抗心を増してしまうNGワードなのです。
NGワードを言わずに勉強に取り組ませる方法
勉強してほしいけれどなかなかお子さんが集中できていない場合には、せかさないことが肝心です。せかしてしまうと、お子さんはさらに追い詰められて、反抗心がさらに強いものになりかねません。中学受験の勉強をするのはあくまでお子さん自身であって、親御さんはサポート係です。勉強しやすい環境づくりと、何があってもドーンと構えているくらいの姿勢でいることが必要です。
反抗期は、大人に向けての人格形成ができる過程で起こるものです。ひとりの大人として接することで関係が改善することもあるのです。お子さんが本心から志望する学校に合格したいと思っているのなら、親御さんがせかさなくても勉強するものです。時間が足りない、どうしよう、などと焦るお気持ちはよくわかりますが、あくまでお子さんが主体となって勉強でいるようにサポートするのが、NGワードを言わずに勉強に取り組ませるコツです。
反抗期に受験をやめたいとお子さんが言ってきた場合の対処法
反抗期に入ったお子さんが「受験をやめたい」と言ってきたら、あなたはどうしますか?反抗心から言っているのか、それともお子さんがよくよく考えたうえで自分なりに下した決断なのか、判断はつきにくいと思います。
このようなときは、なぜ受験をやめたいのか、親子でしっかり話し合いましょう。その理由が親御さんに対する反抗心だけからきているのなら、もちろん受験をやめることはおすすめしません。反抗期には、大人になってから考えると自分でも恥ずかしいようなことをしていたり、冷静ではなかったと後から感じることが多いものです。大人である親御さんも経験があるのではないでしょうか。一時的な反抗心から受験をやめてあとから後悔したり、挫折感や敗北感を味あわないようにさせてあげたいものです。
もちろん、親子で話し合っても、一度で結論が出るわけではないでしょう。大喧嘩になってしまうこともあるかもしれません。ですが、「なんで今までやってきたのにやめたいなんて言うの」「お母さんが何のためにこれまで頑張ってきたと思ってるの」「いくらかかったと思っているの」などという、「大人の事情」や正論で追い詰めるのはやってはいけないことです。これだけは避けて、まずはじっくりお子さんが話すことを聴いてあげることが大切です。
また、このような時期には、親御さんには反抗的な態度を見せても、学校の先生や塾の先生など、第三者である大人に対しては反抗的ではなく、むしろ話をよく聴くということが多いものです。家庭の中で解決するのが難しい場合には、そのようなような第三者や、反抗期を経験した少し年上のお友達などに協力してもらい、話を聴いてもらい、お子さんの本音を知ったうえで説得する方法をお勧めします。
まとめ
中学受験で大変な時期に、お子さんの心が不安定になることはよくあることです。反抗期と言っても、実は不安からくるイライラかもしれません。いずれにしても、このような時期は、受験のことが気になって冷静になることが難しいかもしれませんが、子どもとつかず離れず、サポート役に徹すること、手を借りることができる第三者がいれば相談してみるなどしてみてください。勉強をするお子さんに対して、否定することなく、いつも応援しているよ、あなたもつらいよね、と態度で示してあげられる、そういったサポート役に徹してあげることが、中学受験と反抗期が重なった時期を乗り切るコツです。お子さんの成長を尊重すること(単なるわがままの場合は叱ることも時には必要です)を意識して接してあげてください。
おわりに
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。