中学受験に向けて、学習計画はどのように立てていますか?受験勉強で難しいことを学習していても、計画を立てるのは別で、計画を立てられないお子さんは少なくありません。成績が良くても、です。計画を立てられなくても成績の良いお子さんは、おそらく、塾のカリキュラム、親御さんが立てた計画に沿って勉強するという「実行力」はあるのだと思います。
ですが、中学受験で志望校に合格しても、それはそこから続く生活のスタートラインに立ったにすぎません。全く自分の学習計画(学習に限らず、1日の計画)を立てられないというのでは、合格したその先が心配です。中学に入学して、学年が進むほど、自力で学習計画をはじめ、1日、1週間、あるいは定期テストまでの計画など、いろいろな計画を立てられるようにならなければなりません。できれば、小学生のうちから少しずつでも「計画を立てる」ことに慣れておきたいものです。
そうはいっても、なかなか一人で計画を立てさせるのは難しい・・・では、親子で一緒に計画を立てていくのはどうでしょうか。今回は、親子で一緒に計画を立てるうえで注意しておきたいポイントをまとめていきたいと思います。
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まず年間スケジュールを把握する
計画を立てるといってもまず何から始めればいいのだろう、と思われるでしょう。最初にも書きましたが、計画にもいろいろな種類があります。1年間に、重要な予定は色々ありますから、それを軸に予定を組んでいくのが一番やりやすいと思います。そこで、まずは年間のスケジュールを大まかで良いので立てることから始めましょう。
1年間全体を通してみることができるカレンダーを用意し、そこに学校行事や塾の予定、イベントを書き込んでいきます。定期的な塾のテストや模試、夏期講習、冬期講習などの予定もそこに書き込んでいきます。家族の予定も一緒に書き込んでおきましょう。旅行に出かけたり、ご両親の実家に帰省したり(6年生はさすがにそういうことは難しいでしょうが)、その他レクリエーションなどの予定も入れておきましょう。もちろん、わかっている範囲で十分です。
学習目標を設定する
最初に長期的目標を設定する
中学受験生であれば、1月~2月にかけて行われる入試で合格することがまず大きな目標ですよね。これが「長期的目標」です。まだ受験学年でないなら、学年末や半年くらいのスパンで、あるテストを長期的目標に定め、そこでどういう結果を出したいか、などを設定するのが良いでしょう。
次に中期的目標を立てる
長期的目標が1年後や半年後、だとかなりざっくりしたものになりますから、あまり現実のものととらえられないかもしれません。ですから、大事になってくるのは中期的目標を立てることです。たとえば、塾のある月のテストでどのくらいの成績をとるか、あるいは漢検合格など、いろいろな目標がありえますね。
中期的目標を立てるときの注意点①
中期的目標を立てるときは、注意点があります。一つは、中期的目標は、大目標の達成に役立つものであるべき、ということです。たとえば、漢字が苦手なお子さんなら漢検を受けてみる、などはわかりやすい目標ですし、大目標の達成のために必要だという理由もはっきりしています。しかし、大目標の達成に関係のない目標を立てるのはやめましょう。受験までの時間は限られています。意味のある目標設定にすることが必要です。
中期的目標を立てるときの注意点②
もう一つ、中期的目標を立てるときに注意すべきことがあります。それは、「タイトすぎる計画にしない」ことです。目標やチャレンジすることがあまりにも多すぎると、忙しすぎて何もかも中途半端になる恐れがあります。中期的目標はゴールまでのマイルストーン、里程標(目的地まであと何キロ、など道路わきに立っているものをイメージしてください)と言えますが、それがあまりに多すぎると、1つ終わったと思ったらまた次、と追われるようになってしまい、かえって達成感がなくなり、うんざりしてきます。
また、あまりタイトすぎる計画を立てると、目標が達成できなかったときに、修正することが難しくなります。計画に柔軟性がないため、何かアクシデントがあったときに、その部分にぽっかり穴が開いてしまうことになってしまうのです。お子さんの生活は勉強だけではありませんし、病気もするかもしれません。年間スケジュールを使って計画全体を見渡せるようにしておいて、無理のない計画を立てるようにしましょう。
短期的な計画
具体的に直近の中期的目標を達成するために、今度は短期的な計画を立てます。たとえば、今月のクラス分けテストで結果を出せるように、自分の苦手な分野や単元を集中的に勉強するために必要なテキスト、問題集、模試の直しなどが必要になりますね。また、漢検合格という目標があるなら、それを達成するためにやっておきたい問題集や単語帳、受講しておきたい講座などがあるでしょう。
1週間単位の計画
そういった、短期的な目標のために必要なこと、テキスト、範囲などをまず書き出します。そして、テストまでの日数を確認し、その日までにまず、1週間単位でどれくらいの量の学習をする必要があるかを計算します。まだ日にちがあるようなら、余裕をもってテストの5~7日前までにやりたいことを一通り終わらせる計画を立てたいですね。その方が柔軟性がありますから、一通りやってみてやはり不安が残るところを繰り返しやってみることもできます。
1日分の計画
1週間分の勉強量が決まったら、つぎは1日分の計画を立てていきます。まず、1週間分のスケジュール表を見て、行事などの予定を確認してから、1日の勉強の予定を組んでいきましょう。もし学校行事などが入っているなら、その日の代わりに別の日の勉強量を増やしたり、次の週に振り分けたり、というように柔軟に計画を立てます。そのようにして、中期的目標を達成する前の計画が大崩れしないように調整するのです。
達成度がわかる工夫をする
いくら立派な計画を立てても、それを実行していくうえで一番大切なのはお子さんの達成感だということを忘れないようにしましょう。取り組みたい問題集があれば、その達成度がわかる表を作ってみるなど、工夫をして、お子さんが「ここまでできた!」という達成感を持つことができるようにしたいですね。
たとえば、100問の問題を解くのであれば、1~100までの数字の表を作り、終わるたびにチェックをつけていきます。どこまでできたかが視覚的にわかるので、「自分はこれだけやったんだ、あと少し!」と、お子さんのモチベーションアップにつながります。親御さんにとっても、ここまでできている、という確認ができるので、計画の管理がしやすくなります。凝ったものでなくてかまいませんから、達成度が目で見てわかるような工夫を取り入れてみましょう。
計画は現実的なものに
さきほど、「タイトすぎる計画にしない」ということを書きましたが、時として親御さんの方が焦ってしまい、お子さんに「もっとやらせなきゃ」「これじゃ足りない」と、たくさんのことをさせようと無理に詰め込もうとしがちです。また、「今日は計画が早く終わったから、延長してこれもやらせよう」ということもやってしまいがちです。ですが、それでは、お子さんは計画を達成しても達成感が得られませんし、結局時間に追われているだけでモチベーションが下がり、くたびれてしまいます。ましてや、達成したと思ったら延長された、などということになっては、完全に「やらされ勉強」になってしまい、主体的に勉強しないようになってしまいます。
そのような状態でいくら勉強時間を長くしてみても成果は上がらず、ストレスが募って親子ともども空回り状態になってしまいます。適度なストレスは成長につながりますが、過度のストレスはよくありません。焦りを生まないために、また、お子さんに無理をさせすぎないように、そして何よりも目標達成のために、現実的な、無理のない学習計画を立てるようにしていきましょう。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。