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国語の過去問は少し時間と点数を意識して取り組む
過去問に取り組む際には、いまの時期なら特に制限時間を意識せずに取り組む方がおすすめです。入試レベルの問題を解くにはまだ早すぎる時期なので、制限時間内に難問ぞろいの過去問を解くのは受験生にとっては非常に厳しいでしょう。また、点数に関視点も、良い点数を取ることが過去問を解く目的ではありません。実力と志望校の距離を測るのが目的なので、合格最低点の半分程度の点数でいまの時期は良しとしましょう。
ただし、国語の過去問を解く場合は少し時間と点数を意識して取り組むことが必要です。国語は設問の難しさによってレベルは異なりますが、実は塾のテキストに入っている国語の文章は、4年生のテキストであっても実際の入試問題で出題された文章であることが多いのです。つまり、日々の学習で受験生の皆さんは知らず知らずのうちに入試問題レベルの文章に触れているということになっているわけです。
国語の過去問の場合、これまで取り組んできた文章と難易度が極端に違うということはありません。文章の読解のセオリーを確認するための実戦的な題材なので、一つひとつ丁寧に解き、また、制限時間と点数にもある程度こだわりましょう。全く解けない問題ばかり、ということは無いはずです。取り組む過去問は1年分から2年分ですが、それぞれの文章の読み方を意識して、模試と同じ感覚で取り組む必要があります。
過去問の出題形式にはあまりこだわらなくてよい
これまで、塾のテキストの国語の問題や模試の問題では、選択肢問題から書き抜き問題、記述問題など、さまざまな種類の設問が1つの文章に含まれていることが多かったことと思います。ただし、過去問の場合、中学校ごとに出題する設問の形式には特徴があります。オール記述の学校もあれば、選択肢の吟味が中心で制限時間内に非常に多くの選択肢問題を課す学校もあります。
そのため、過去問を解く際に、たとえばオール記述の問題が出題される学校であった場合は、他の形式の問題が出題されないので、ひたすら記述問題に取り組むことになり、受験生が拒否反応を示す可能性もあります。その場合は、長すぎる記述問題は解けなくても良いので、できそうなものに取り組むこと、そして何より文章をしっかり読み進むことを重視することを忘れないようにすることが大切です。
ですから、いま過去問を解く際には、出題形式にはあまりこだわらないようにしましょう。文章の読み込みをしっかりおこない、文章の重要な部分をしっかりとらえられているかどうかという点を一番に考え、正確に読めたかどうかをできれば親子で確認し合うといいでしょう。そして、出題形式については、自分が受験しようとする学校はこのような出題をするので、それに対処するために力を入れなければいけないのはどういう勉強なのか、という計画を立てていく材料にすることをおすすめします。
男子は国語に注意!?
基本的に、国語の過去問を解く際には、女子だから取れなければいけない、男子だからできなくていい、というようなことはありません。特に男子校、女子校を志望する場合は、女子だから、男子だからという区別を考慮する必要はありません。その学校を受験しに来る受験生は男子だけ、あるいは女子だけなので、その中で性別による差は起こり得ないからです。
ただし、志望校が共学の場合は、少し様相が異なります。基本的に、国語については、男子は苦手で、女子は得意、という傾向があることはたしかにこれまでありました。逆に算数は男子の方が得意、という傾向もありましたが、それぞれ男子だけ、女子だけで入試を闘う場合はあまり問題にはなりません。しかし、共学の中学校の場合は、男女関係なく総合店の上位から合格者を決めていくので、国語で差がつかない可能性もありますし、国語の得意な女子に上位をさらわれてしまう可能性もあります。いくら男子が算数が得意という傾向があったとしても、国語で大差をつけられていてはリカバーするのは難しいです。
ですから、共学校を志望校とする場合、男子は国語がカギを握ります。女子に競り負けないようにするために、国語で差をつけられないようにしなければならないからです。お子さんの得意、不得意となっているところや文章の読み方などについていまの時期にしっかり確認しておきましょう。過去の入試結果で正答率が出ている場合は、それも参考にすると良いでしょう。
過去の模試の問題を解く
塾に通っている場合、相談すれば過去の模試の問題と解答、また、その模試の平均点や偏差値などのデータを渡してくれることがあるので、過去問を解くのに抵抗があるという方は是非、塾に相談してみてください。
また、四谷大塚では、過去の合不合判定テストや組み分けテストなどの総合模試を含めた過去問集を販売しています。インターネットで購入可能なので、そういったものを入手して取り組むのも良い方法です。
過去の模試の問題を解く際は、過去問に取り組むのとは方法が違います。6年生のいまの時期に受験していたであろう模試ですから、制限時間どおりに4教科を解き、採点もして、自分の立ち位置を確認する必要があります。お子さんが採点するとことばは悪いですが問題によっては不正解なのに正解にしてしまうことがあり得るので、採点はぜひ保護者の方がやってください。また、4教科セットで解くことも大切です。
採点したら、解けたはずの問題や途中まで解けた問題などを取り出して、あとでもう一度解き直すことができるようにしておきましょう。その部分が入試で差がつく問題であり、克服できれば飛躍的に成績を上げることができるからです。現在の実力を測ることとともに、今後の学習の指標にもなりますね。
可能であれば、模試は1回分だけでなく、複数回分解いてみることをおすすめします。実際の模試会場で受けることはできなくても、何回分か取り組むことで、よりいまの実力を正確に把握することができます。今後の実戦的な学習をおこなう際にもその結果が役立つので、ぜひ複数回分集めて解いてみるようにしてください。
受験生のモチベーション維持が最も重要
小学校や塾が休校になり、再開しつつあるとしても例年とは異なる様相の今年度中学入試ですが、その中でモチベーションを保ちながら受験勉強をすることは小学生にとっては非常にハードです。保護者の方は例年通りにいかないわが子の受験に気を揉んでいらっしゃると思いますが、それはお子さんも一緒です。目に見えない不安と闘いながら受験勉強をしているということを忘れないようにしてください。
過去問や模試の過去問を活用していまの実力を把握する方法についてご紹介しましたが、正直なところいまの時期に良い成績をおさめ、合格可能性80%などということはまずありません。いまの力の斜め上を言っている問題を解いていることを意識しつつ、取り組む際には、お子さんがモチベーションを維持できるように働きかけてください。
いまのうちはこれから入試までにやるべきことを洗い出すことが大切です。いまできないことがたくさんあるのは受験生にとっては当然です。ぜひ、この未曽有の状況の中で頑張って受験勉強をしているお子さんを見守っていただき、モチベーションを保つことができるように前向きな声掛けをしてあげてください。そして、見守っているよ、というメッセージを発してあげて親子で協力して受験勉強を乗り切っていきましょう。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。