【中学受験】志望校に合格するための塾とのかかわり方

中学受験を目指す場合、どのように、何を使って学習しますか?中学受験を目指す多くのご家庭では、お子さんが塾に通っていると思います。大手の集団塾、中規模・小規模塾、数人のグループ指導、あるいは個別指導塾や家庭教師など、選択肢は非常にたくさんありますよね。

受験をする際に忘れてはいけないのは費用面ですが、塾に通っていると、通常授業だけでなく、夏期講習など長期講習機関の費用もかなりかさみますよね。ご家庭の考え方によりますが、小学校4年生から本格的に受験のための塾に通わせていれば、相当の費用がかかるのが現実です。

それだけの費用を支払っているのだから、塾に全てお任せ・・・果たしてそれで大丈夫なのでしょうか。勉強の内容に関しては塾の先生とお子さんが中心にやっていくべきで、内容まで親御さんが関わりすなぎい方が良い結果が出ることが多いと思います。

ですが、お子さんが自分ではできないこと、あるいは親御さんにしかできない塾との相談や交渉ごとについては、せっかく塾に通っているのですから積極的に塾を活用すべきです。

今回は、塾を無駄なく効果的に使っていくポイントをまとめてみました。塾と受験生親子とのかかわり方、考えてみませんか?

塾の活用ポイント①親と塾とのかかわり方

多くの方が通っておられるのが大規模集団塾だと思います。大きな規模の塾であれば、これまでの卒業生などのデータを蓄積しているので、これからの時期、志望校を決めるための最新の情報がそろっています

第1志望校だけでなく、併願校をどこにするか、受験スケジュールはどうするか、などを考えていくうえでは、できるだけ多くの学校の情報の中から取捨選択していく必要があります。また、時間もかかるものです。ご家庭だけで情報収集できるパワーには限りがありますから、ぜひ塾のデータは活用したいところです。

そういったデータに基づいて普通、多くの塾では個人面談を行っています。ですが、たいていの場合1人あたりにかける面談時間は短く、回数も少ないです。大規模な塾の場合は特に、生徒の数が多いので面談にかけられる時間が限られるからです。

また、大規模な塾の場合は、先ほども書きましたが膨大なデータを持っています。たいていは、ある学校に合格した生徒の偏差値のデータです。それをもとに普段の成績から「ここを受けるといい」というアドバイスになりがちです。

中学受験の怖さは、偏差値だけでは必ずしも合格が保障されないところです。偏差値のもととなる総合模試やテストは、ある学校だけをターゲットにして作られているわけではなく、全体を網羅して作られているので、形式や志望校の実際の出題傾向と必ずしもマッチしていないことが多いので、偏差値だけで受験校を決めるのは危険です。

そのことを念頭に置きつつ、1度の面談で終わるのではなく、納得いくまで個別に面談を申し込むことをおすすめします。特に偏差値だけを示されても親からは実際に子どもがどこまで理解できていて、これから受験までどのような勉強をしていくべきなのか判断がつきにくいものです。

十分に受験指導の経験のある先生であれば、お子さんの得意な問題のタイプなど、より具体的な視点から狙える学校の目星をつけてくれます。塾での普段の様子、取り組み方なども教えてもらい、塾と親がお子さんの情報を共有することがとても大事です。

そのうえで、どのように学習を進めていくのか、どの科目を重点的にやるべきなのか、さらにはどの単元を基礎戻って勉強する必要があるのか、などを把握しましょう。そして、塾と家庭での役割分担をし、家庭でできるお子さんへのサポート体制を強化するのです。それが面談をするうえでとても大事な視点です。

ただ漠然と、あと受験まで〇カ月・・・と不安に思っているのなら、ぜひ積極的に塾に面談を申し込みましょう。もし苦手科目だけ個別指導に通っているのであれば、より手厚く面談をお願いすることをおすすめします。通っている科目だけでなく、ほかの科目のことを聞いても答えてくれることも多いです。科目ごとのバランスや、志望校・併願校受検についてどんどん質問していきましょう。

塾の活用ポイント②子どもと塾とのかかわり方

親御さんが、お子さんにはできない部分を塾と相談してサポート体制を整える間、お子さんは受験に向けての勉強し、模試を受けていきます。この時期になると、問題を解くのに必死になり、答えがあっていればそれでよし、となりがちです。

そうすると、少しでもあれ?と思った疑問点をそのままにしてしまいがちになってしまいます。やることが多すぎると、大切なところで立ち止まることができなくなってしまうのです。ですが、そこで生まれたふとした疑問点をそのままにしていると、思わぬところで足をひっぱられかねません。

ですから、お子さんにも塾を徹底活用するように親御さんからも働きかけてあげましょう。一番多いのは、お子さんが解いてわからなかった問題を質問してくることですよね。授業時間の前や、先生が開いている時間、授業が終わった後などにわからないことを先生に聞いてくる、そして質問してわかった!と思ったことをもう一度自分で解いて、できるところまで理解を深めるのです。

そういった質問の時間には基本的に費用も発生しませんし、塾の先生も人情がありますから、一生懸命勉強しようとしている子どもには、真剣勝負で教えてくれることも多いのです。ただわからないところを教えてもらえるだけではなく、先生との信頼関係を築くこともできるので、ぜひ授業時間以外にも積極的に塾に行くようにし、自習をしてわからないところをしっかり聞いてくることができるように親御さんからも助言してあげましょう。

ただし、特に大手の塾では、1問質問したらまた並び直してまた1問質問できる、というところもあります。それが授業のあとだったとしたら、帰宅時間が遅くなりますし、待っている時間がムダになってしまいます。全部聞こうと思うと大変な時間を待ち時間にとられてしまうので、「今日はここだけは必ず聞いてみよう」「この問題のどこがわからないんだろう、ここまでは分かっているのだけれど」というように、具体的に聞きたいことを整理してから質問するようにすることをおすすめします。

お子さんは、「この問題を教えてください」といってまるまる解説をもう一度聞こうとします。でもそれは時間の無駄ですから、限りのある質問時間の中で、ポイントを絞ってあげることが必要です。もしご家庭の中でヒントを与えて解ければそれでよいでしょうし、やはりかなり内容的に踏み込んだものであれば、とっかかりの部分だけ一緒に考えてみて、聞いてくるポイントを一緒にまとめてあげてもいいでしょう。

個別指導の場合は、わからないところをとことん聞くことができます。塾のシステムや先生の熱心さに左右されるところはありますが、この時期、理解できるところとそうでないところを見極めるためにも、苦手科目などで利用してみるのも一つの手です。お子さんが自分で解説を読んでできるところまで行けばよいですが、今の時期は入試問題レベルの問題が増えてきています。戻るところは戻る、この科目についてはどう勉強する、などを先生や塾長さんに気軽に聞けるように働きかけてあげましょう。

自習室がある塾はそういう意味でこれからの時期は最適です。勉強に集中できる空間にできるだけ長くいて、先生にわからないところを聞く、さらにそれを自分でできるところまでやってみる・・・家でもできるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、子どもは環境に影響されやすいものです。これからの時期、勉強に集中できる環境を作ってあげることも必要です。

塾の活用ポイント③他塾主催の模試も受けて分析する

特に大手の塾に通っていると、その塾主催の模試やテストでかなりの時間をとられます。信頼している塾があるのですから、そこで行われる模試を受けていれば大丈夫、そう思うかもしれません。

ですが、模試はあくまで模試であり、作問者によってかなりのばらつきがあります。塾ごとに問題の作成の仕方、設問の形式がかなり異なります。何より母集団が違います。同じ塾のテストだと母集団がいつも同じになってしまいます。そうすると、その塾の中で完結してしまい、同じ志望校を受ける他の塾の生徒の存在を忘れてしまいます。

塾からは、うちの塾の模試だけで十分です、と言われるかもしれませんが、やはり模試は、他の塾のものも受けてみることをおすすめします。「他流試合」とも呼ばれますが、たとえばサピックスの模試では点数がとれるけれど、四谷大塚の模試では全然取れない、またその逆パターンも非常に多いのです。同じような出題傾向の模試に慣れていれば、他の塾の模試で点数がとれないのはある意味当然かもしれません。

ですが、実際の入試のことを考えてください。見たような問題だけれども、聞かれ方が異なり、まったく違う方に誘導されてしまうこともよくあるのです。

他の塾が主催している模試では、出題傾向はもちろんのこと、志望校判定の基準も異なります。母集団の大きさも模試によって違います。

また、いつもの環境とは異なる場所で試験を受けることはいつもと違う環境で受験することになるので、入試の練習にもなります。そして、いろんな問われ方があるんだ、ということを肌で感じて、志望校合格に向けてまた課題を発見できた、と前向きに学習に取り組むきっかけになります。

この時期になって転塾することはおすすめしませんが、模試に関しては、他の塾が主催するものも積極的に活用しましょう。

特に、志望校別模試はできるだけ他の塾の模試も受けてみましょう。総合的な模試と異なり、志望校の出題傾向に合わせて問題が作られています。さらに、受験してくるのはその模試の学校を志望校としている受験生ですから、本番を意識して受験することができます。過去問を解く時期でもありますが、時間制限や出題傾向を肌で感じ、気持ちが引き締まるきっかけになりますので、ぜひ志望校別の模試はできるだけ他塾主催のものも受験することをおすすめします。

そして、結果が出たら、ぜひ塾の先生にみてもらい、どこができてどこができなかったのかしっかりチェックし、これからどこを重点的に勉強しよう、という今後の作戦を一緒に立てましょう。これはどの模試でも同じですが、志望校に入りたい、というお子さんのモチベーションを上げるためにも、このステップを抜かしてまた次の模試を受ける、などということはしないようにしましょう。

ここは、ぜひ親御さんからお子さんにアドバイスしてあげ、先生に聞くまでに、できなかった問題について、そもそも歯が立たなかったのか、それとも途中まではできたのか、どこからがわからなくなったのか、どこをミスしたのか、ということを一緒に分析しておくと効率的に質問ができますのでぜひやってみてください。

まとめ

受験が近づいてくると、お子さんは塾で過ごす時間が圧倒的に増えてきます。平日だけの授業ではなく、土曜特訓、日曜日の志望校別特訓など、ほぼ毎日のように通う方も多いと思います。学校と両立しながら1日のほとんどを受験勉強にあてるわが子をもう一度どのような表情で学習しているのか見てあげてください。

家庭の中だけで勉強していると煮詰まってしまうこともあります。ぜひ塾を活用して、塾でしっかり勉強してくるように助言してあげてください。

ですが、塾での様子を見ることができないと、本当にしっかり勉強しているのかわからなくなることもありますから、塾での様子を知るためにもできるだけ塾の先生に面談を申し込みましょう。1回10分程度でも構いません。塾の先生は「頑張っていますよ」ということが多いと思いすが、どういう点で頑張っているのか、自習しているときの姿勢はどうなのか、家ではどう声をかけたらよいのか、などアドバイスをもらうようにしましょう。

様子がわからない塾でのわが子の姿をきちんと把握してくれていない先生には要注意です。もちろん生徒の数が多いですから、全員にきっちり目を向けてくれ、というのは難しいことかもしれません。ですから、1回の時間は短くてもよいので、塾での様子をチェックしてもらうようにアピールすることも親にとっては大事な役割です。

何度言ってもなかなか教えてくれない、という場合には、個別指導をこの時期から投入することも考えてみてもいいでしょう。しっかり様子を見てくれる先生、まめに連絡をくれる先生のいる個別指導なら、たとえ1科目だけの受講であっても、的確なアドバイスをもらうことが可能です。

お子さんの状況や勉強への取り組み姿勢など、情報を塾とうまく共有し、受験校についての相談や塾と家庭との役割分担の相談など、志望校合格のために塾との協力体制をしっかり作ることが、志望校合格にはとても重要になってきます。ぜひ、情報の共有と役割分担へのアドバイスをもらうなど、塾をしっかり活用することをおすすめします。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。