【中学受験】情報収集はどこでする?ママ友とのつきあい方

中学受験は親の受験、と言われるほど保護者の関わり方が大きく結果を左右する受験です。高校受験や大学受験は、義務教育課程の受験ではないので、受験生が自分で学習計画を立てて受験勉強し、志望校も自分自身で決めたり塾と相談して決めてくることが多いです。

しかし、受験生が小学生とまだ幼い中学受験の場合は、高校受験や大学受験と同じようにはいきません。精神的にもまだ幼く、中学受験をすると決めたからといって自分から勉強にいそしんだり、受験校をどこにするか自分から決めたり、といった行動はなかなかできるものではありません。だからこそ、保護者の働きかけや自主的な動きが非常に重要になってくるのです。

特に保護者にしかできないことのひとつに、「情報収集」があります。中学受験をするということは、その後少なくとも中高の6年間、場合によっては大学までの10年間を進学先の環境の中で過ごすことになります。心身ともに著しく成長する時期なので、その時期にわが子を安心して預けられるか、わが子の力をどれくらい伸ばしてもらえるのか、といったことを考えながら受験校を選んでいくためには、念頭にある中学校の環境や教育内容がどういうものなのかということに関してできるだけ情報収集をしたいものです。

学校説明会などで、校長先生や担当の先生の話を聞いて収集する「学校側から見た」情報ももちろん大切です。機会を逃すことなく、十分情報を聞いてくるとともに、個別相談なども積極的に活用して、本当のところはどうなのか、ということも聞いてくることによって、お子さんが入学した時のイメージをもちやすくなるでしょう。

ただし、実際に通うとなったときに、毎日の生活がどのようになるのかという、「生徒側から見た」情報もとても大切です。インターネットのサイトでリサーチする、口コミを参照するということもひとつの方法ですが、匿名性が高いのですべてを信じるわけにはいきません。あくまで「うわさ」に過ぎない部分が多きいからです。また、情報が古く、学校変革のようすなどは伝わってきません。

大切なのは、もっとリアルで、いまの学校の教育方針がどうなのかということを網羅した情報をできるだけ収集することです。そういった情報から、わが子に合った学校を選び出していくことが保護者にしかできない大切な役割です。そういったリアルな情報はどこで手に入れればよいのでしょうか。

塾に相談した場合、校風や入試問題の傾向などについては情報収集できますが、通っている生徒の生の声は、やはりママ友から仕入れる、ということもひとつの方法として考えておくと良いでしょう。すでに受験を終えた先輩ママと、同じ学年で中学受験の勉強をしている同期ママからの情報収集が主なものになるでしょう。

筆者自身も中学受験を経験し、わが子の中学受験も経験しています。たとえば学校説明会情報や、ほかの塾のカリキュラムの進み具合は同期ママから聞き、実際に学校にお子さんを通わせている先輩ママからは、中学校に入ってからの学生生活について具体的に聞いてみるという形で、TPOに合わせて情報収集先を使い分けていました。生の情報を収集するときに大切なのは、単なるうわさに踊ることなく、できるだけ正確な情報が得られそうな場から情報収集する、ということです。

今回は、そんな保護者の情報収集について、ママ友との付き合いの中で意識すると良いポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

先輩ママからは学校のリアル情報を収集

すでに中学受験を終え、わが子を実際に志望校に通わせているのが先輩ママです。受験を終えた先輩ママだからこそ、通っている中学校のリアルな情報を聞くことができるのが先輩ママとのおつきあいのメリットです。

わが家が志望校、受験校として考えている候補の中学校に実際に通っているお子さんをお持ちのママや、その学校で6年間を過ごし、卒業して大学に進学したばかり、といった方であれば、お子さんを通わせたからこそわかる貴重な生の情報が得られる可能性が高くなります。また、特に第一志望校に合格している場合は、より親切に詳しく、また快くいろいろと教えてくれるものです。

情報の収集方法に一工夫

通っている学校のことを何でもいいから教えてください、という聞き方では、相手のママもどこから話したらよいのかわかりませんよね。ですから、情報を聞き出したいなら、「何を聞くのか」が相手にわかりやすく伝わるように整理しておくことが大切です。もちろん会話の中で聞くので、ときには脱線するようなこともありますが、「ここは聞いておきたい!」というポイントをメモしておいて、最初は客観的な事実を聞き、だんだん突っ込んで本音を聞き出す、というように段階を踏むと良いでしょう。

たとえば、「お宅のお子さんの中学校生活はどうなのか」ということを聞きたい場合、「どうなのか」と聞かれても、何から答えていいかわかりません。ですから、まずはひとつひとつこちらが効きたいことに対してはっきりした解答をしてもらうように聞き方を工夫してみましょう。たとえば、以下のように質問を小分けにすると良いでしょう。

・通学時間はどのくらいかかりますか?どういうルートで通っていますか?

・学校の勉強の進度は速いですか?宿題は多いですか?

・放課後や土曜日などに補習授業などはありますか?独自のカリキュラムはありますか?

・部活は盛んですか?何部に入っているんですか?

・塾に通っている生徒さんは多いんですか?

このように、聞きたいことをコンパクトにまとめておくと聞きやすいですし、ずばり核心を聞くことが出来ます。

また、中学受験を経験しているからこそ、受験時代のエピソードや工夫したことについても聞きたいところですよね。その場合も「受験生活はどうでしたか?」と漠然と聞いても、長丁場の受験生活、山あり谷ありであることがほとんどですから、漠然とした答えしか返ってきません。ですから、以下のように具体的に聞いてみましょう。

・どの塾に通っていたんですか?

・塾の勉強、カリキュラムについていくための工夫でしていたことはありましたか?

・自宅で勉強するときに注意して見ておいた方がいい点があったら教えてください

・うちの子はこの教科の○○が苦手なんですが、おすすめの勉強法や問題集はありますか?

いま、受験勉強をしている身としては、勉強法や、弱点をどう克服したのか、塾と家庭の学習のバランスをどのように取っていたか、ということについてもぜひ聞きたいですよね。もちろん、違う塾に通っていたという先輩ママも多いと思うので、特に自宅での勉強や過去問演習について工夫したことなどを聞いてみると良いでしょう。また、個別指導を併用したかどうかも、同期ママには聞きにくいので先輩ママに聞いてみると良いですね。

全部を信用するのではなく、使える情報を取捨選択

先輩ママは、自分のお子さんを通わせている学校のことなので、そこに合格した、という優越感を持っています。だからこそ親切にいろいろ教えてくれるわけですが、なかには、少々話が大げさになっていることがあります。誇りをもって通わせているわけですから、その気持ちはわかりますよね。

たとえば、「すごくいい学校」という返事が返ってきた場合、それだけだと具体的な内容がわかりませんよね。ですから、「どのようにいい学校なのか」を具体的に聞いてみるようにしましょう。特にどのようなところに魅力を感じているのか、日々の学校生活でお子さんがどのように成長してきているのか、学校の先生の面倒見は具体的にどのようなものなのか、部活での様子は、親の中学校への関わり方にはどのようなものがあるのか、などです。

「いい学校」だと思って通わせているのですから、そのこと自体は当然の回答なのですが、具体的にどういいのか、を意識して聞いてみましょう。

あくまで個人的な意見であることを忘れずに

先輩ママのお子さんが進学した学校以外の受験校について話が発展したときには注意が必要です。中学受験を終えて進学した学校ですから、現在通っている学校の話には力が入りますが、ほかの学校についてはネガティブな話題になることもあるので、そこは話半分に聞いておく、ということも必要です。

中学受験においては、進学することになった学校がお子さんに合った学校だということはたしかです。ただし、先輩ママの場合、自分のお子さんが通っている学校が一番良いと思って通わせているので、それ以外の学校についてはそれほど良くない、というケースも少なくありません。それはもちろん、ぜひあなたのお子さんにもおすすめする、という親切心からきているのですが、志望校候補が2校あった場合、もうひとつの学校についてあまりに卑下するようなことを言われると迷いが生じてしまいます。

あくまでわが子を通わせたいと思っている学校の情報を収集することが目的なので、主観的な「あの学校は良くない」「この学校は良い」という意見までうのみにする必要はありません。あくまでも、先輩ママの個人的な意見、というように冷静に聞いておく耳を持ちましょう

偏った意見である場合もありますし、中には「盛っている」(誇張している)可能性もあるので、それらも考慮して、本当に必要な、偏りのない正しい情報を入手するように、「聞き方」にも一工夫することをおすすめします。

学校を決め打ちして聞いてしまうと、迷いが出てしまう可能性があるので、志望校はまだ決められていないんですけれど評判を聞いて、といったスタンスで聞くのもひとつの方法ですよ。

同期ママからは旬な情報を入手する

同じ学年のお子さんを持つ、いわゆる同期ママとの付き合い方はなかなか難しいですよね。同じ塾に通っていたり、同じ小学校に通っていたりすると、どうしても比べてしまいがちになりますし、特にお子さんが同性の場合はライバル関係になってしまうので少なからず警戒心が芽生えてしまうからです。

でも、同じ時期に受験をする仲間どうし、いがみあうことなくお互いに情報交換することはとても大切です。なかでも入手したいのは、志望校の出題傾向や説明会で仕入れてきた、直近の新鮮で正確な情報です。この「正確な」情報というのがキモです。

どうしても受験をひかえていると、あれこれ考えてしまうのはどこの受験生ママでも同じです。ですが、そんななかでも冷静に情報収集しているママは必ずいます。そういったママから情報を聞いて共有したいですね。

冷静に、また熱心に情報収集しているママの情報は、塾の偏差値ベースの面談よりもかなり充実していることが多いです。そういうママは、塾での面談のあと、必ず自分の目や耳で根拠を調べるなどして学習計画を見直したりと能動的に行動しています。また、疑問が生じたら徹底して潰すのもそういったママの特徴です。

自分でも情報収集をしていて、どうも腑に落ちない、「あれ?」と思うことがあったら、自分よりも熱心に情報収集している冷静な同期ママと話をすると疑問が解消することもあります。

最初は大枠から話して徐々に本丸に

同期ママと情報交換する内容としては、成績が良いお子さんなら自宅学習で工夫していることや模試のやり直しなどの学習法のヒントを教えてもらったり、塾での面談でどんな話をしたらいいか、といった普段の受験勉強との付き合い方や、学校説明会に行ってきたときの情報についてが多くなるでしょう。

いきなりズバッと「お宅のお子さんどうなの?」などと聞くのはもってのほかです。警戒心を持たれてしまい、情報の共有はできなくなってしまいます。まずは、志望校の話や、併願校にはどういった学校があるか、という大枠の、受験生なら誰もが持つ心配ごとの相談、という形からはじめるのが良いでしょう。

そういった大枠の話をしながら、だんだん自分の聞きたいことをピンポイントで聞いていくようにすると、警戒されずに色々教えてもらえます。あくまで「教えてね」というスタンスを崩さずに、ときには自分で仕入れてきた情報を伝えるということも大切です。

実際にそういうママがいたのですが、何人かで情報交換をしているときにわが子の受験校の話題でない場合、明らかに興味がないふりをしたりイライラして自分の方に話を手繰り寄せようという態度は絶対にしてはいけません。自分に足りない部分をママ友との情報交換で補っていくのですから、謙虚に、「そういう考えもあるのね」という態度で接するのが良いでしょう。

詮索しすぎは絶対NG

同期ママ同期ママとの情報交換で気をつけなければいけないのは、「詮索し過ぎない」ことです。自分の場合も、なかなか成績が伸びずに志望校に届くかな・・・と思っているときに「お宅のお子さん、成績どうなの?」などと聞かれたら口もききたくなくなりますよね。ですから、親しい間柄であったとしても、礼儀は必要だということを忘れてはいけません。

わが子を志望校に合格させたいという気持ちはどのママ友でも同じように持っていますし、受験時期が近づいてくるにつれてその思いは一層強くなります。受験学年こそ情報収集が大切なのですが、同時にどのご家庭内もピリピリした雰囲気になっていることが多いので、たとえばパパの協力度など、デリケートな話題は避け、成績についても詮索し過ぎないことが大切です。模試や組み分け試験などの結果でお互いのお子さんの位置関係はわかるので、そこに踏み込むのは情報収集には関係のないことです。

また、お子さんが男の子どうし、女の子どうしの場合、同じ志望校に合格し、中学受験終了後もお付き合いがあるケースもあります。そうすると、家庭内のことを詮索されてしまう可能性が増します。そういう状況に備えて、知られてもいい程度に家庭の中のことを話すにとどめて、相手が触れられたくなさそうな話題にはのらないようにしましょう。

あくまで客観的に、良かった問題集の情報交換や、塾の先生の面談で聞くと良いこと、学校説明会がどういう形で開かれていて、参加してみてどうだったか、ということを少しずつ話すようにしましょう。

ママどうしの関係が微妙になってしまうと、お子さんどうしの関係もぎくしゃくしてしまいます。それが原因で受験勉強に身が入らなくなってしまうということになっては本末転倒です。

同期ママ友からの情報収集は、お互い高め合いつつ、志望校に合格することが第一目標です。そこからずれてしまって余計なトラブルにならないよう注意してくださいね。

まとめ

中学受験における情報収集では、詳しいママ友との情報交換、いわゆる井戸端会議ともいえるものですが、そういった場が欠かせません。先輩ママからは入学してどうだったか、志望校対策で有効だったことは何かといったこと、同期ママからはいまの旬な情報を上手く収集し、役立てていきましょう。単なるうわさに振り回されるのではなく、実際に経験しているからこそ出てくるママ友のことばはとても参考になります。ぜひうまく活用してくださいね。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。