2021年度中学入試・時事問題総まとめ!やはりキーワードはコロナ?

2020年は、新型コロナウィルスに翻弄された年でした。また、2021年に入り、2度目となる緊急事態宣言が発出され、ワクチンの見込みもまだ流動的であるなど、収束の見込みはまだ立たない状態です。

受験生の皆さんも、昨年4月から小学校や塾が休校になったりオンライン授業で学習するなど、例年とは異なる受験勉強スタイルに戸惑うことも多かったのではないでしょうか。

しかし、それでも中学入試は刻一刻と近づいています。一部の学校では出題範囲などに変更があることもありますが、ほとんどの学校では例年通りの入試がおこなわれると考えて良いでしょう。

この時期、最後の追い込みのひとつとして「時事問題」の学習が重要です。細かすぎる知識は必要ありませんが、どちらかというとあるテーマに関して深い思考ができるかどうか、ほかのことに関連づけてものごとを考えることができるかということが時事問題攻略のポイントです。特に新型コロナウィルスの感染拡大に見舞われた2020年に起きたできごとは、例年とも様相が異なります。災害という面もありますし、社会保障、政治との関連も大きな話題、それが「コロナ」というキーワードです。

2021年度の中学入試において、新型コロナウィルスの難しい知識が効かれることはまずありませんが、コロナ関連のニュースについては押さえておく方が良いでしょう。

今回は、2021年度の中学入試で出題される可能性が高い時事関連のニュースについて、コロナ関連も交えて日本、世界全体を見通し、学習すべきポイントをまとめます。受験生活を振り返り、いつ何が起こり、その原因はどこにあったのか、総ざらいしておきましょう。

2020年最大ニュースは「新型コロナウイルス」の感染拡大

2021年度の中学入試を目前にして、「これだけは押さえておきたい」という時事問題は世界・日本どちらもあります。まずは、世界全体で問題となっていることについて見ていきましょう。

世界と日本、どちらにも共通する2020年における最大のニュースと言えば、やはり「新型コロナウィルス」の感染拡大についての問題だと言えるでしょう。私たちの生活様式を変えてしまうほどの威力を持つこのウィルスまん延のニュースは、多くの学校が何らかの形で入試に出題してくると考えられるので、しっかり押さえておきましょう。

「新型コロナウィルス」とはどういうもの?

新型コロナウィルスに関連するニュースは現在も毎日のようにテレビや新聞で取り上げられていますね。目にする受験生の皆さんも多いのではないでしょうか。それだけ関心を持っておきたい新型コロナウィルスについてのニュースですが、理解する上でまず押さえておきたいのは「ウィルスとはなにか」という点です。

専門家が研究するような細かすぎる知識は全く必要ありません。中学入試においては、大まかにウィルスとはどのようなものなのか、ほかにどのようなウィルスがあるのか、そして身を防ぐための方法といったことについて理解しておき、その知識を問題に応用できるようにすることが大切です。

もともとウィルスというのは、1万分の1mm程度の非常に小さなものなので、たとえば小学校で使っているような顕微鏡(光学顕微鏡)で見ることはできません。つまり、私たちが日常生活でウィルスの姿を見ることはできないほど微細なものだということです。

そのような小さなウィルスや細菌が人間の体の中に入って引き起こされる病気のことを「○○感染症」(○○のなかにはウィルスや細菌の名前が入ります)と言います。数十年前ごろには、伝染病、疫病、流行病(はやりやまい)などと言われることが多かったですが、現在では基本的に畜産関係などの特殊分野を除いては「感染症」という言い方で統一されているようです。

私たちが日常で「ウィルス」と聞いてまず連想するのは、インフルエンザやノロウィルスといったものが多いのではないでしょうか。インフルエンザは季節性インフルエンザ、新型インフルエンザなどがあり、型もさまざまです。昔はスペイン風邪と言い、全世界で猛威をふるいましたが、現在ではワクチンができ、毎年受けるということも多いでしょう。それでもかかることがある、それがウィルスによる感染症なのです。

「ウィルス」ということばには、実はラテン語で「毒」という意味があります。たしかに、新型コロナウィルスにより死亡する方も増加傾向にあるので、ウィルス=人類の敵、と思うかもしれません。ただし、人間にとって有害なウィルスは実は非常に少なく、ウィルスの種類によっては悪い細菌を食べてくれて、人間が病気にかかるのを防いでくれるような、人間の友達と言えるような役立つウィルスもあるのだそうです。

しかし、やはり今回感染拡大している新型コロナウィルスに関して言えば、非常に感染力が強く、死者も全世界で1億人をこえるなど、私たち人間にとって非常に恐ろしいウィルスだということは確実です。

入試でウィルスについて出題されるとすれば、社会で流行状況や生活様式の変化などが聞かれるほか、理科でも「ウィルス」や「細菌」について、生物分野などで問われる可能性があります。社会、理科共通してウィルスについてはどういうものなのか簡単でいいので覚えておきましょう。

世界的な流行状況や、関連する国、都市などを調べておこう

ウィルスとはどういうものなのか知ったうえで、次に、新型コロナウィルスが世界中でどのように問題になり、どのような対策がおこなわれてきたのかについても理解しておきましょう。

まず押さえておきたいのは、新型コロナウィルスが最初に発見された国と都市の名前です。アメリカのトランプ大統領が「中国ウィルス」などと言っているニュースを見た方もいるかもしれませんが、最初に発見されたのは「中国の武漢市」です。これは覚えておいた方がいいでしょう。感染源は海産物市場のコウモリという説もありますが、立ち入り検査が遅れていることなどもあり、まだはっきりとはわかっていません。

中国の武漢市で、ウィルス性肺炎にかかった患者の血液から新型コロナウィルスが発見されたのが最初だと言われています。その後中国国内にとどまらず世界中に広がって世界的な流行に発展したのです。中国が世界最大の貿易国であり、ほかの国の会社の支社や工場などが多く、さまざまな国との往来が多いことから、あっという間に広がったわけですね。このような世界的な爆発的大流行のことを「パンデミック」と言います。このことばも覚えておきましょう。パンデミックには、単なる流行を超えて、生活システムが崩れるほどの大流行のことを指します。

新型コロナウィルス関連の用語は要注意

「パンデミック」以外にも、新型コロナウィルスに関連してさまざまなことばがテレビや新聞のニュースで盛んに使われています。代表的なものについてはぜひ押さえておきましょう。たとえば「クラスター」(集団感染)、「オーバーシュート」「ロックアウト」「ロックダウン」「ソーシャルディスタンス」「ステイホーム」「三密」「テレワーク」などは毎日のように見聞きしますよね。

これらの用語は私たちの日常生活に非常に密接にかかわるものです。意味を知らないと、テレビのニュースを見ても、新聞を読んでも意味が分からない、まして入試で出題されたら困ってしまいます。代表的な、よく使われている用語については意味をしっかり調べて理解しておきましょう。難しくなくて構いません。その意味を知らない人に簡単に説明できるレベルで十分です。たとえば「三密」は「密閉」「密集」「密接」です。これは漢字で書かされる可能性もあるので押さえておいてください。

国際連合の機関「WHO」は答えられるようにしよう

新型コロナウィルスは世界中でパンデミック状態にあります。そのため、国際連合の組織が新型コロナウィルスの感染拡大対策に取り組んでいます。その機関の名前は必ず憶えておきましょう。答えは「世界保健機関」(WHO)、トップはテドロス氏です。これは多くの学校で入試問題として出題される可能性が高いでしょう。国際連合について出題する一環として名前が出る可能性は十分ありますし、新型コロナウィルスと関連した問題でも出題される可能性があるので、必ず押さえておきましょう。

世界保健機関(WHO)はもともとどのような役割を持っているのかについても整理しておきましょう。WHOは、世界の感染症の予防や対策を主に行う国際連合の機関です。

また、新型コロナウィルスに感染して亡くなった人の数が多い国についても世界地図で場所とともに押さえておきましょう。アメリカやインドなどは代表例です。大国と言われる国や、人口が非常に多い国など、いくつかランキング形式で紹介されていることがあるので、上位の国や都市については地図で調べておきたいですね。トランプ大統領はWHOからの脱退を明言していますが、時期アメリカ大統領となるバイデン氏はその決定をひっくり返すでしょう。

感染者の多い国の特徴を見ると、大国であることや指導者が「新型コロナウィルスはたいしたウィルスではない」などと軽視する発言をしていることが多いです。 ブラジルなどもそうですね。そういった国の指導者の名前についても知っておきましょう。また、人口が多く、衛生上十分な感染対策ができていない国もあります。そういった国の問題点などについても発展して考えておくといいですね。

世界の重大なできごとはニュースや新聞で押さえておこう

新型コロナウィルス感染拡大以外にも、2020年には世界中でさまざまなできごとがありました。重大なできごとについては、どの国で、あるいはどこの機関で、何が原因で起こったのか、ということを整理しておきましょう。

まず、イギリスがEU(欧州連合)から離脱しました。住民投票が何度かおこなわれてきましたが、決定的になったのが2020年だということです。また、アメリカと中国の貿易戦争も続いています。トランプ政権において、アメリカと中国の関係は非常に冷え切ったといっても過言ではありません。

また、アメリカは現在、ほかの国々との関係も良好とは言えません。トランプ大統領は、さまざまな国際的な組織(先ほどの世界保健機関・WHOもそのひとつです)や協定からの離脱を宣言しているので、どういうものがあるか整理しておきましょう。

たとえば、「ユネスコ」「国際連合人権理事会」「TPP(環太平洋パートナーシップ協定」「パリ協定」「中距離核戦力全廃条約」などが主なものです。これだけでも離脱を宣言しているものが多いことが分かりますね。アメリカが大国であるだけに、そういった宣言がもし現実になったら、国際関係に及ぼす影響ははかり知れません。

アメリカでは、2020年11月に大統領選挙がおこなわれました。トランプ大統領は負けを認めていませんが、民主党のバイデン氏が新しい大統領に選出され、1月20日に就任します。バイデン氏はトランプ大統領前の大統領である、民主党のオバマ大統領政権下での副大統領でした。

トランプ大統領は1期4年の人気を終え、再選を目指しましたがそれはかなわなかった、ということから、アメリカの大統領の人気が「4年」であることと、「2期8年」が最長であることは知っておきましょう。アメリカの大統領選挙は、日本の自民党総裁・首相選出と対比して出題される可能性があるので、基本的な知識は押さえておくことをおすすめします。

12月に起こったことが出題されることも

中学入試の問題は夏休み前後に作問がはじまることが多いです。ただし、時事問題については「これは外せない」と学校の先生が思えば、12月ギリギリに起こったことでも出題される可能性があります。たとえば、青山学院中等部では、以前アフガニスタンで活動していた医師の中村哲さんが12月に亡くなったことを時事問題でとりあげています。

だいたい夏ごろまでのできごとが出題されるんでしょう、と思われることの多い時事問題ですが、2020年は秋から冬にかけて大きなできごとが起こっていますから、テレビや新聞のニュースなどをしっかり見て読んで、時事問題として問われても知らないということのないように準備しておくことが大切です。

新型コロナウイルスから日本の歴史や文化を関連づけてみる

ここまでは、新型コロナウィルスの話題から世界で起こったできごとや動きについてアンテナを張っていただきたい点について解説しました。では、ここで日本国内に目を向けてみましょう。

もちろん、日本国内の時事問題としても、新型コロナウィルスの感染拡大のニュースは外せません。日本国内の時事問題としては、新型コロナウィルスと関連させて、日本社会の歴史や文化、社会制度、そして生活様式と感染症の関係などが問われる可能性が高いと考えられます。

感染症の歴史って?

感染症と人類の間には、長い歴史があります。もちろん日本だけのことではなく世界中で人間はさまざまな感染症と戦い、克服してきたという経緯があります。ただし、時事問題でそこまで細かい感染症についての知識は聞かれないでしょうから、ここでは、日本の感染症の歴史を大まかに振り返ってみましょう。

小学校の教科書にも、感染症に関連することは書かれているのをご存知ですか?たとえば、社会の歴史では、奈良時代に「聖武天皇」が国ごとに国分寺と国分尼寺を建設し、国分寺の総本山である「東大寺」には高さ16mもある大仏を作らせました。東大寺の大仏は、修学旅行でもメインスポットのひとつになっています。

なぜ聖武天皇は国分寺や国分尼寺、さらには多くの人民をつかって大仏まで建立したのでしょうか。その理由は、当時凶作やききんが何度も発生していたこと、また、当時の朝廷では、皇族や貴族の間での権力争いが激しく、九州など地方で貴族による反乱も起こっていました。また、感染症として有名な「天然痘」が大流行していたのです。天然痘はまたたくまに広がり、藤原不比等の4人の息子がたった1年の間に全員亡くなってしまうほどでした。藤原不比等は聖武天皇の皇后である光明皇后のお父さんですから、亡くなったのは光明皇后の兄たちだったのです。

昔は、災害や政治の乱れ、病気の流行などといったことは、そのときの天皇に徳がないからだ、と考えられていました。そこで聖武天皇は、仏教の力を借りて、このように乱れ切っていた社会を鎮めようと考え、国分寺や大仏を作らせたのです。そして、当時民衆から人気のあった僧である「行基」に大仏建立への協力を求め、行基の頼みならと建設に協力する民衆も多かったのです。

東大寺の大仏は、実は金メッキです。大仏に金メッキをするためには、水銀に金を溶かして、青銅で作られた大仏の表面にぬり、そこに熱を加えます。すると、水銀だけが蒸発して、あとには金が残る、という仕組みです。これを3回くらい繰り返すことで、金メッキが完成します。

このように書くと金メッキは便利、と思うかもしれませんが、この金メッキ作業にかかわった人々は蒸発する水銀の有害な蒸気をたくさん吸い込んでいたことでしょう。なかには水銀中毒で亡くなった人も少なくなかったようです。

もともと天然痘を抑え、神の怒りを鎮める目的でつくられた大仏でしたが、この東大寺の大仏づくりは、いわば日本ではじめての本格的な公害だといっても過言ではないでしょう。現在でも、建設業でアスベストという有害物質を吸い込んだことで病気になり死亡した方々による「アスベスト訴訟」が全国で起こっています。こういうことにもアンテナを張っておくと良いでしょう。

感染症に関連する日本の文化

小学校の教科書には、聖武天皇の大仏建立以外にも、感染症に関連したことが出てきます。たとえば、「祇園祭」もそのひとつです。毎年7月に京都でおこなわれるお祭りで観光客もたくさん詰めかけますが、実は祇園祭は感染症を防ぐ祈りのためのお祭りだと言われています。また、祇園祭は室町時代、応仁の乱で一時中止されていたという歴史があることも関連して覚えておきましょう。

受験生の皆さんが住んでおられるところでも、魔除けや感染症(天然痘など)を防ぐことからはじまったお祭りがおこなわれていることも少なくありません。また、感染症を防ぎたいという思いは、お祭りだけでなく、地方のおもちゃにも込められていることがあります。

たとえば、「さるぼぼ」というおもちゃを観たことはありますか?これは岐阜県の飛騨高山で有名なおもちゃです。また、福島県の会津地方には「赤べこ」という牛をモチーフにしたおもちゃ、飾りがあります。これらは、実はどちらも感染症を防ぐ、あるいは感染症から子どもを守るためのお守りとして使われたのがはじまりだと言われています。

「さるぼぼ」と「赤べこ」に共通するのは、どちらも赤色だということです。一説によると、病気をもたらす「鬼」は赤が嫌いだから、鬼除けのために赤にしたといわれることがあるようです。

江戸時代には「はしか絵」という浮世絵も出されているほど、日本において感染症と文化は密接な関係にあるのです。日本では昔からお祭りやおもちゃ、絵などさまざまな形で感染症から民衆を守ろうという習慣があったのですね。

感染症と科学の歴史、社会制度の関係を考えてみよう

日本は感染症研究で世界のトップとして走ってきたという歴史があります。今度は、新型コロナウィルスに関連して、科学の歴史を考えてみましょう。明治時代になると、感染症の研究者として有名な科学者が3人表舞台に登場します。

ひとりめは、「北里柴三郎」(きたざとしばさぶろう)です。北里柴三郎は、2024年から新しい千円札のモデルになっています。これは覚えておきましょう。北里柴三郎はドイツに留学して結核菌を発見したコッホ氏に学びます。そして、「破傷風」という、いまでも感染力が高いことで知られている感染症の治療法を発見して、伝染病の研究所を設立しました。

2人目は、北里柴三郎のもとで研究し、「赤痢菌」(せきりきん)を発見した「志賀潔」(しがきよし)です。赤痢は衛生状態があまり良くない明治時代、大正時代などに死者も出たほどの感染症です。

そして3人目は、こちらもまた北里柴三郎の研究所で研究した「野口英世」(のぐちひでよ)です。野口英世は、アフリカで「黄熱病」(おうねつびょう)という感染症を研究し、現地で尊敬を集めていました。そして、みずからもその黄熱病に感染して亡くなっています

感染症にかかわる歴史上の人物として、これらの3人の科学者の名前はしっかり憶えておきましょう。新型コロナウィルスと関連して出題される可能性の高い3人です。

公衆衛生についても憲法とセットで考えよう

日本で感染症対策を中心となっておこなっているのは誰でしょうか。都道府県知事が出てきたり大臣が出てきたりしてよくわからない、という方もいるかもしれません。

日本で感染症対策の最前線に立っているのは「保健所」です。大きな方針は「厚生労働省」などで決められますが、実際にいろいろと細かい仕事をおこなっているのは、各地方自治体に設けられている保健所です。保健所に関しては、地図記号も押さえておきましょう。病院と似ていますが違うので、区別できるように形をしっかり覚えてくださいね。そんな保健所などがおこなう感染症の対策などの活動は、「公衆衛生」と呼びます

公衆衛生と言うとなんだか難しそう、と思われるかもしれませんが、実は皆さんは公衆衛生について社会の公民分野で勉強しています。公衆衛生は、憲法25条に基づいています。憲法25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定められています。

ここでいう「健康的で文化的な最低限度の生活を営む権利」のことを○○権と呼びますが、覚えていますか?答えは「生存権」です。憲法25条に基づいて日本では社会保障制度が整備されているので、しっかり覚えておきましょう。

感染症対策、公衆衛生において重要な憲法25条ですが、2021年度の時事問題では、さまざまな角度から感染症について問うことが考えられ、そのひとつが憲法と関連付けた問題である可能性が高いです。

憲法の重要な条文は25条だけではなく、9条のように自衛隊と関連する条文など、いくつかあります。細かすぎる知識は必要ありませんが、特にこの25条については多くの学校で時事問題として、あるいは公民の問題として出題される可能性があります。この条文に関しては、全文かけるようにしておいた方が良いでしょう。

新しい生活様式とテレワークについても考えてみよう

新型コロナウィルスは、私たちの日常生活の形を変えました。受験生の皆さんは小学校や塾がお休みになったという方も多いでしょう。一方、保護者の方は、お仕事を家でする「テレワーク」に切り替わったという方もたくさんいらっしゃいます。

学習や仕事、という日常当たり前にやっていたことが違う形になる新しい生活様式についてもまた、2021年度の時事問題として問われる可能性が高いテーマです。テレワークとは何か、という知識を問うものだけでなく、そうした新しい生活様式のいいところと困るところを例示させて考えさせるといった問題も出題される可能性があります。

たとえばテレワークなら、三密を避けて、通勤電車に揺られることなく仕事ができますが、一方でプライベートと仕事のメリハリが付きにくく、かえって長時間労働になってしまう、オンライン会議のときに背景が気になる、などという問題点もあります。

オンライン授業についても、自宅に居ながらにして授業を受けられますが、わからないところがあっても質問できない、集中しにくいといった問題点が考えられるでしょう。ぜひ家族で話し合って、それぞれの良かったこと、困ったことを簡単にまとめておくと良いですね。

今後の私たちの生活は、「withコロナ」といわれています。コロナと共生していく社会、それがどのようなものなのかはこれから徐々に形作られていくことですが、そうした将来についての好奇心も時事問題では問われますので、ぜひ考えてみてくださいね。

安倍内閣総辞職など、日本で2020年に起こった重大事件はまとめておこう

日本国内で2020年に起こった重大なできごととしては、歴代最長を誇る安倍晋三内閣総理大臣が辞職し、内閣総辞職と自民党総裁選挙、首相指名選挙がおこなわれ、菅義偉内閣が発足したということが挙げられます。

安倍晋三内閣は憲政史上最長の政権ですが、関連してほかにも長期政権となった内閣総理大臣については知っておきましょう。2番目に長かったのはノーベル平和賞を受けた「佐藤栄作」内閣、その次は「バカヤロー解散」でも知られ、外交官として戦後処理にあたった「吉田茂」内閣です。

第2次安倍政権、などという言い方をしますが、ひとりの総理大臣が何回か政権を担うことがあります。そうした通算で見ると、2番目が「桂太郎」内閣、そのあと佐藤栄作内閣、そして次が伊藤博文(初代総理大臣)なのです。歴史の流れでいつ頃の内閣で何をおこなったのか、ということも含めて整理しておきましょう。

また、総理大臣のことを考えるにあたっては、総理大臣が辞職するのはどのようなときなのか、また、総理大臣はどのように選ばれるのか、総理大臣に慣れる資格とはどういうものなのか、といったことなどについても憲法の条文などをもとにして確認しておきましょう。アメリカ大統領選挙も同年におこなわれたので、選出方法の違いについても比較して押さえておくと良いですね。

また、近年は毎年のように災害のニュースがとびこんできます。2020年には、「令和2年7月豪雨」がありました。日本三大急流のうち実に2つ、「最上川」と「球磨川」で氾濫が起こったのも記憶に新しいところです。

河川の氾濫と言えば、連想していただきたいのは「ハザードマップ」です。例年のように社会だけでなく理科でも取り上げられますが、ぜひお住いの地域のハザードマップを入手するなどして、自分の家の安全性はどうなのかなど、一度確認しておくと良いですね。

日本国内で起きた重大なできごとも、2020年12月末までに起こったことが出題される可能性があります。ぜひ新聞などでチェックし、重要なニュースについては親子で確認しておき、理解を深めることをおすすめします。

まとめ

時事問題は、いまや第5の教科と言ってもいいほど、出題されないことがない問題です。中には成蹊中学校など、時事問題の大問ひとつからさまざまな知識を聞くといった学校もあるほどです。

このような時事問題を攻略するために、塾では冬休みからテキストを詰め込む指導をしますが、単にバラバラの知識をいくら入れても時事問題の本質を理解することはできません。時事問題の出題の本質は、身近な話題について、自分なりに原因を考え、解決するにはどうしたらいいのか、関連する出来事について興味を持っているか、という思考力を問いたいという学校側の意図にあります。

細かすぎる知識はむしろ必要ありません。これまでの学習で学んだ一つひとつの知識をもとに、新しく起こったことについて自分なりに考え、まとめ、どうしたら解決できるのか、あるいはほかのどのようなできごとと密接につながっているのかを理解することがとても大切です。

避けては通れない時事問題対策ですが、ひとつのことをさまざまな角度から考えることが求められます。ひるむことなく、自分ならこう考えるということを表現することも重要です。特に2020年は新型コロナウィルスという、私たちの生活を一変させる大きな感染症が立ちはだかりました。それひとつとっても、関連することが非常に多いことが分かりますね。そうしたひとつのテーマについて、ぜひご家族でも話し合い、理解を深めておくことをおすすめします。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。