今回は、仮定法の応用編です。
前回のおさらいですが、仮定法過去は「過去形だけれども〈今〉の話」で、仮定法過去完了は「過去完了形だけれども〈昔〉の話」になります。
そして今回は「未来のことを表す仮定法」「ifを使わない仮定法」「仮定法を使った慣用表現」「仮定法を使ったていねいな表現」を見ていきます。
Contents
未来のことを表す仮定法
- ①If you were to win the lottery what would you do?
(もし宝くじに当たるようなことがあったら、どうしますか)
「if S were+to不定詞」の形を使うと未来の事柄についての仮定を表すことになります。
上記の例文は「もし〜すればするようなことがあれば」というように、ありそうもない未来を表しています。
一方で「仮に〜すれば」というような、実現の可能性の高い仮定は下の例文のようになります。
- If you were to give her a bunch of roses, she would be pleased.
(仮に君が彼女にバラの花束を贈ってあげるなら、彼女は喜ぶだろう)
ここで注意してほしいことは、口語では「were」の代わりに「was」が使われることもあるということです。
主語が1人称単数及び3人称単数の時は「was」になります。
- If he should changes his mind, he would call me.
(もし彼が考えを変えるようなことがあれば、私に電話をしてくるだろう)
「if S should〜」の形を使うと「実現の可能性が低い」という話し手の判断を表すことになります。まったく不可能なことを表すときにはshouldは使えません。
ここで気を付けてほしいポイントが2点あります。
- ①If our teacher should find out about your cheating, he will punish you.
(もし先生があなたのカンニングのことを知ったら、あなたを罰するよ)
1つ目に、主節の助動詞の形がいつも過去形とは限らないという点です。
上記の例文では、主節の助動詞は「would」ではなく、「will」になっています。この「if S should〜」の表現の時のみ、助動詞の形に注意をしましょう。
- ②If you should see John, ask him to call me.
(もしジョンに会うことがあったら、私に電話するように言っておくれ)
2つ目は、主節が命令文になる場合があるという点です。
これも「if S should〜」の表現に限ったことなので、気を付けましょう。
ifを使わない仮定法
- ①Were I you, I would ask her for a date.
(もし僕が君なら、彼女をデートに誘うけどな) - ②Had we known you were in the hospital, we would have visited you.(もし君が入院していると知っていたら、私たちはお見舞いに行ったのに)
- ③Should there be an earthquake, this bookshelf would fall forward.(もし地震が起こるようなことがあれば、この本棚は前に倒れるだろう)
続いては「if」を省略して語順を変える表現を学んでいきます。
仮定法のif 節のifを省略すると、後ろの「主語+動詞」は倒置され、疑問文と同じように「動詞+主語」の語順になります。
例えば①の例文をifを使って表すと、「If I were you, I would ask her for a date.」となります。
しかしifが省略されるので、「I were」が倒置されて、「Were I」になります。
if節に相当する「もし〜なら」の表現
「if節」を用いずに「もし〜なら」という意味を表すことができる5つの表現を見ていきましょう。
but for/without
- ①But for dreams, life would have no meaning.
(夢がなければ、人生には意味がなくなるだろう)(=If it were not for dreams,〜) - ②Without your goal, we would have lost the game.
(君のゴールがなかったら、試合に負けていただろう)(=If it had not been for your goal,〜)
「but for〜」「without〜」は「〜がなければ・〜がなかったら」という意味を表します。ifを使って書き換えることも可能です。
注意ポイントとして、「but for〜」「without〜」の後には節を置くことができません。
「〜」の位置には①のdreamsや②のyour goalのように名詞的な語句が置かれます。
さらに注意してほしい点は、いつのことを話しているのか(未来のことか過去のことかなど)は、主節の動詞を見て判断することです。
①は「would have」から〈今〉のことを言っているのが分かります。
②では「would have lost」と過去完了になっているので〈昔〉のことを言っていることが分かります。
with
- ①With time, this project would succeed.
(時間があれば、この計画はうまくいったのだ) - ②With your advice, he would not have failed in business.
(君の忠告があったら、彼は事業に失敗せずに済んだだろうに)
「with〜」は「〜があれば」という意味で、先ほど習った「without〜(〜がなければ)」の逆の意味になります。この表現の場合も、時制の判断は主節の動詞から行います。
①の場合は、主節にwould succeedとあるので〈今〉の話をしています。
②の例文は主節にwould not have failedと過去完了形が用いられているので〈昔〉の話をしています。
otherwise
- ①I know he is innocent; otherwise I would not try to save him.
(彼が潔白だと私には分かっている。そうでなければ彼を救おうとはしないだろう) - ②We stopped talking; otherwise our teacher would have scolded us.(私たちはしゃべるのをやめた。そうでなければ先生は私たちを叱っただろう)
「otherwise」は「そうでなければ」という意味になり、直前に述べられている事実と反対の仮定を表します。
①をif節に書き換えれば「if I did not know he is innocent(彼が無実だと知らなければ)」となります。
②は「if we hadn’t stopped talking(もししゃべるのをやめなければ)」となります。
to不定詞
- ①To hear him talk, you would think he knew all about the secret.
(彼が話しているのを聞くと、その秘密について何でも知っていると思うことだろう)
「to不定詞」もif節の代わりになります。この文は、if you heard him talk, …と書き換えることが可能です。
主語・副詞句
- ①A secret agent would never tell you his real name.
(スパイだったら、本当の名前を言うことはないだろう) - ②Two years ago, I would have accepted your proposal.
(2年前だったら、あなたのプロポーズに応じていたことでしょう)
例文の動詞の形に注目してください。
①はwould…tellと過去形の助動詞が使われているため、仮定法を用いた文だと分かります。したがって主語のA secret agentに「スパイだったら」という仮定の意味が込められています。
②も同様に助動詞の過去形が用いられているため、副詞句のTwo years agoに「2年前だったら」という仮定の意味が込められています。
仮定法の慣用表現
- ①If it were not for music, life would be boring.
(もし音楽がなかったら、人生は退屈だろう) - ②If it had not been for my seat belt, I would have been killed.
(もしシートベルトをしていなかったら、私は死んでいたところだ)
最初に「もし〜がなければ」という意味の「if it were not for〜」「if it had not been for〜」という慣用表現を見ていきましょう。
①は〈今〉の話なので、現実の事実に反する仮定表現「if it were not for〜」を使います。
②は〈昔〉の話なので、過去の事実に反する仮定表現「if it had not been for〜」を用います。
- ③It is time you bought a new bicycle.
(もう新しい自転車を買ってもいい時期だ)
「It is time+仮定法過去」は「もう〜してもよい頃だ」という意味の慣用表現です。
Timeの前に「high」をつけると「とっくに〜する時間だ」になり、「about」をつけると「そろそろ〜する時間だ」という意味になります。
- ①If only she were here!
(彼女がここにいさえすればなぁ!) - ②If only I had taken her advice!
(彼女の助言を受け入れてさえいたらなぁ!)
「if only」は「〜でありさえすれば」という意味の慣用表現です。「I wish」とほぼ同じ意味になります。
①は「I wish she were here!」、②は「I wish I had taken her advice!」と書き換えることができます。
仮定法を使ったていねいな表現
- ①It would be nice if you could help me with my luggage.
(私の荷物を運ぶのを手伝っていただけると嬉しいのですが) - ②Would it be all right if I sat here?
(ここに座ってもいいでしょうか) - ③Would you mind if I opened the window?
(窓を開けてもいいでしょうか)
上記の例文は「would」を使って、依頼や許可を求める表現です。
- ④I wonder if you could help me.
(お手伝いいただけないでしょうか) - ⑤I was wondering if I could use your phone.
(電話をお借りしてもよろしいでしょうか)
「I wonder if you can help me」と助動詞の現在形を用いると「助けてくれるかな」という直接的な依頼表現になりますが、
④の例文のように過去形「could」を用いると、少していねいな表現になります。
⑤の例文は「was wondering」と進行形が用いられています。これにより、さらにていねいな表現にすることができます。
「wonder」の他に、「think」「hope」も、同じような表現を使うことができます。以下例文です。
- Do you think you could help me move this weekend?
(今週末の、私の引越しを手伝ってもらえませんか)
最後に
いかがでしたか?今回は仮定法のさまざまな応用を習いました。
「未来のことを表す仮定法」「ifを使わない仮定法」「仮定法を使った慣用表現」「仮定法を使ったていねいな表現」それぞれの表現方法をもう一度おさらいしておきましょう。
【参考文献】
石黒昭博, 2016, 「総合英語Forest」桐原書店
おすすめ記事
参考
上智大学総合人間科学部社会学科の片倉優花です。
私は中高をドイツで過ごし、高校はインターナショナルスクールに通っていました。ドイツ語も英語も身につけないといけなくて語学習得に苦労したのですが、その経験を生かして、主に「英語」をみなさんに楽しく分かりやすく習得してもらえるような記事を書いていきます。現在は弓道サークルに所属していて、中高はバスケ部でした。他にも水泳やクラシックバレエなども過去に習っていて、体を動かすことが好きです。趣味は、読書、旅行、写真撮ること、食べることです。ドイツに住んでいた時に、ヨーロッパ中を旅行しました。お気に入りの場所は、イタリアのベネチア、フランスのモンサンミッシェル、トルコのイスタンブール、ドバイです。60ヶ国制覇を目指しています!英語だけでなく、モチベーションや勉強法なども書いていけたらなと思っています。
よろしくお願いします!