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~abstraction~
中学受験の4教科の指導をしていてよく切実な悩みとして尋ねられるのが、
「国語の記述力をどうやって伸ばしたら良いか全く見当がつかないのだが、一体どうしたら良いですか。」
という質問です。
確かに、沢山書物を読んで読解力がついてきても、それを設問の指示に従って、必要字数に応じて上手く記述が出来なければ得点になりませんから、記述力というのは必須です。
読解力、記述力のどちらが欠けても中学受験の国語で7割8割を得点することは難しいでしょう。
では具体的に、どういう学習方法を採用すれば記述力があがっていくのでしょうか。
まずは読解力をつける
当然のことながら、まずは読解力をつける必要があります。
読解力がなければ問題文や課題文の意味が的確に理解出来ませんから、何を訊かれているのか、あるいはどういう解答を作成したら良いのか、ということがわかりません。
また、読解力がなければ訊かれていることに対して、問題文を読んでも何を書いたら良いか思い浮かべることも出来ません。
したがって、まずは読解力をつけるために沢山の書物を読み、読むスピードを上げるとともに大意をとらえることが出来るように練習を積んでおく必要があります。
そうすれば、副産物として沢山の文章のサンプルや言葉遣いも頭に入りますので、書きたいことが言葉足らずで上手く書けない、といったことも避けられます。
毎日書く練習をする
読解力をつけることを行いつつ、記述力を伸ばすためには文章を沢山書く必要があります。
文章は長くても短くてもかまいませんが、ようは指定された文字数に応じて臨機応変に言いたいことを盛り込む技術が必要になってくる訳です。
長い文章が書ける人ならそれを短くすることも容易にできますが、長い文章が書けないと短い文章を書くこともままならないので、まずは長い文章(400字以上)を書く練習をすると良いでしょう。
読解力と併せて伸ばしていくのであれば、読書を一冊するたびに要約や感想文を原稿用紙1枚以上書く、ということを繰り返すのが良いですが、それだと本を毎日一冊読み終えて書くのはきついと思います。なので、要約や感想文は週に一回程度にして、それ以外の日は毎日日記や、気になった新聞記事のスクラップとそれに対するコメント程度の短い文章でもかまいませんので、とにかく毎日何かしら書くということをやってみて下さい。
基本構造にしたがって
文章を書く時は、その長さにかかわらず基本構造にしたがって書く癖をつけておきましょう。
基本構造は2通りあって、
- 起→承→転→結
- 序論→本論→結論
ですが、①は物語や小説の際に主に採用され、②は作文や論文の際に主に採用される形式ですので、②の形式で書く練習をすると良いでしょう。
記述問題で得点を伸ばすには
では国語の記述問題に対して、出来るだけ部分点でなく満点をもらえる解答を作成し得点を伸ばすにはどうしたら良いでしょうか。
- まずは問題文の意図を的確にくみ取る(読解力)
- 出題者が、何を答えて欲しいかを見破る(読解力)
- 解答する内容を頭に思い描き、整理する(記述力)
- それを上手く制限字数内におさまるように微調整しながら書く(記述力)
上記の①②が読解力、③④が記述力になります。
ですから①②が出来ないと③④は出来ませんが、①②が出来ても③④が出来なければ得点は出来ませんから、読解力と記述力は表裏一体ということになりますね。
つまり、思いついたこと、書こうと決めたことを上手く言葉に変換する力が記述力なのです。
その際に、制限字数内におさめる為には同じことを言うのでもいくつかの言葉のレパートリーを持っていないと言い換えができませんね。それを訓練するのが『記述力を鍛える』ということになります。
同じことを色々な長さの文章で表現してみる
思いついたことをだらだらと思いつくままに述べることなら、ある程度慣れてくれば誰にでもできますが、制限字数内におさめて且つ必要なことを全て盛り込むのは、技術が必要なので慣れだけではどうにもなりません。
ではどうやって練習すれば良いのでしょうか。
制限字数内におさめる技術を身に着けるのに最も良いのは、同じことを例えば400字、200字、100字、50字、25字でそれぞれ書いてみることです。
言いたいことをそぎ落とさずに字数だけを少なくするには、語彙を駆使してあらゆる表現方法の中から同じ意味合いで短い言葉を探す必要がありますから、この練習を積み重ねて行くと、自ずと言葉のレパートリーが広がって行く訳です。
そもそも自分の考えを持つ
文章中の言葉をヒントに解答出来るものは上記までの特訓で対応できますが、中には自分自身の考えを含めて○○字以内で述べよ、といった問題を出題する学校もあります。
そんな時は、もちろん自分自身の考えを入れなくてはならない訳ですが、自分自身の考えは急に言われても、なかなかすぐには書けないのではないでしょうか。
そういったケースにも対応できるように、常日頃から物事に対して自分自身の考えを持つ癖をつけ、整理し、それを他人に伝わりやすく言ったり書いたりする練習をこまめにすると良いと思います。
自分自身の考えをしっかり持ってそれを上手く表現できるようになると、他人が書いた文章でもより『この人は何をどう考えているか。』『この人は何が最も言いたいのか。』という事が分かるようになるので、一挙両得なのです。
まとめ
文章を読んだり、他人の意見を聴いたりする機会は日常よくあることで、受け身なので割と気軽に出来ますが、自分から発信するというのは言うにしろ書くにしろ、気が重くてとても難しいものです。
しかし、それが中学受験で求められている『記述力』の原点ですから、ぜひ普段から発信する機会を多く作って、記述問題で困らないように訓練をしておくことをお勧めいたします。
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