中学受験・ケアレスミスの傾向と対策

わからなくて減点されることは仕方ないとしても、「わかっていたのに」ケアレスミスで減点されるのは何とも悔しいことですよね。中学受験生にとっては、これから模試やテストが目白押しの時期です。そういったミスを減らすために、普段からできることはないでしょうか。

今回は、ケアレスミスの傾向と対策について、まず心掛けたいことをまとめていきたいと思います。

ミスの傾向を探る

一口にケアレスミスといっても、ミスには様々な種類があります。ケアレスミスと片付けてしまっていても、実は根本的なところに原因がある場合もあるのです。そうなれば、もう「ケアレスミスだから仕方ない」の一言で片づけることはできません。それはケアレスミスではない、もはや「間違い」だからです。

今回はあくまでケアレスミスの傾向を知り、どう対策するかがテーマですので、ケアレスミスに特化していきたいと思います。では、ケアレスミスにはどのような種類があるのでしょうか。問題をよく読んでいない、記号を読み間違える、解答欄を間違える、字が汚すぎて採点者に判読不能、など多岐にわたります。ミスを克服するためには、「自分がどんなミスをしやすいのか」ということを、お子さんご自身が把握する必要があります。

まず、普段の家庭学習の際に、問題を解いた後の正誤確認(〇つけ)をする際は、お子さん自身にさせるようにしましょう。低学年、4年生くらいまでは親御さんが手伝うことが出来れば、正しい〇つけのやり方を教えてあげることはとても大事なことです。ですが、学年が進んできたら、「自分でどんな間違い方をしているか」ということをしっかり認識させることが必要です。親御さんは、〇つけが怪しくないかどうかチェックするようにしていただければと思います。たとえば、間違えた答えを消しゴムで消して書き直して〇にしてしまっていませんか?これは一番やってはいけないことです。正答した数に一喜一憂するよりも、間違えたものを分析することが大切です。正答したものであっても、まぐれ(カンで)あたりということもあります。それでいい、という意識をなくすことが必要です。

単に〇×をつけるだけではなく、×はなぜ×になったのか、その原因をしっかり分析し、「どこまでできていてどこで間違えたのか」をしっかり書かせるようにしましょう。そのときは赤ペンを使ってもいいと思います。間違えた問題の解答を単に赤ペンで書き写すだけではだめです。しっかり間違えた原因を書いて理解することが大事なのです。それを積み重ねていくと、ミスの傾向がつかめてきます。

お子さん自身がミスを分析するので、その多さや傾向を自分で認識するようになります。傾向がつかめてきたら、親御さんがアドバイスしてあげるのがよいでしょう。決して、「なんでこんな間違いするの」というのではなく、「こういうところでよく間違えるんだね、じゃあ、原因は?それを直すにはどうしたらいいんだろう」と一緒に考えてあげて下さい。

ミスの対策を書く

ミスの原因を記したところには、同時にその対策も書いておきましょう。問題を読み違えていたならば、「問題文をよく読め!」、記号の書き間違いなら「記号をよく見ろ!」、解答欄や問題番号を間違えていたなら「解答欄に注意」といった具合に、何が足りなかったのかを分析して、お子さん自身が自分に忠告するようにするのです。テストの答案に先生が一言二言、コメントを書いてくださっていることがあると思います(親身な先生は)。あれを、お子さん自身が書いてパッと見て自分のミスの傾向と対策をしっかり認識する、そういうイメージです。

お子さん自身が認識することが一番大事

ケアレスミスの克服というのは、お子さんの性格や認識の仕方によって大きく変わってきます。いわゆるアバウトな性格で、事の重大性をなかなか認識できないお子さんは、何度言っても同じミスを繰り返してしまいます。でも、叱るのではなく、根気強く事の重大性を認識させるように仕向けて行かなくてはなりません。

そのためには、大人による注意も時には必要ですが、お子さん自身に、そのミス(おっちょこちょいといってもいいかもしれません)がいかにもったいない結果を生んでいるのか、いかに残念なことをしてしまっているのかを悟らせることが一番大事なことです。「わかってるよ、うるさいな」と言うこともあるかもしれませんが、「うわあ、本当だ、私はこんなにもったいないことをしてしまっている」と自覚させることが大事なのです。

すべてを「ケアレスミス」と片付けてしまっていては、ミスしたことを軽視するようになってしまいます。また、「ミスをしたら怒られる」という精神的な部分も多分にある年齢ですから、傾向を把握したうえで、一緒にできることは一緒に考えて解決していっていただきたいと思います。

ケアレスミスをなくすとハッピーになれることを教える

ミスの原因や結果を追求するだけでは、お子さんが自分を責めるだけになってしまうこともあります。「だめだな、自分は・・・」と暗い気持ちになり、投げやりになってしまうかもしれません。その時初めて、親御さんがフォローすることが必要になってくるのです。

ケアレスミスがなかったならあと何点取れただろう、その結果を一緒に分析してみてください。中には、「ケアレス」で済まされない、根本的に知識を間違えていた、解法を取り違えていた、というものもありますから、そこは分析してしっかり分けることが大事です。あくまで、「注意しなかったことによって起きたミス」による失点がどのくらいあり、それを足したら何点取れただろう、次回それを克服していったらどれだけ成績が上がるだろう、そうしたらハッピーじゃない?そのように接してあげていただきたいと思います。

「これが〇だったら、あと十数点は上積みできたね」「合格点に余裕で届くよ」「実力は十分、あとは得点力だよ」そのような前向きな励ましをしてあげてください。

一度見についてしまったクセ(ケアレスミスの傾向)を克服するのには時間がかかります。ですが焦らず、慎重に丁寧に問題に取り組むんだという動機付けや、気持ちを強く持つためには何ができるかをぜひ話し合い、次回に、そして入試本番につなげていくようにしていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。