成り立ちや意味合いと合わせて覚えるように意識しよう!計算単位まとめ

受験算数の攻略では難問をどうやって解くかが重要視されがちですが,それと同じくらい重要なのが「求め方は合っていたのに×をもらってしまう」というケアレスミスを防ぐことです。そのうち単位は受験生が特に間違えやすいところだと言えるでしょう。そこで今回の記事では,受験で登場する単位をまとめ,その覚え方を解説していきます。

「単位」とは?

そもそも単位とはどんなものを指すのでしょうか。簡単に言ってしまえば,何らかのモノの量や規模などを数値で表して比較するための基準です。大前提として,この世に存在する物体には色々な情報が備わっています。例としてスマートフォンを挙げてみると,長さや重さといった物理的な特徴や,容量や画質といったスペックや,はたまた価格や耐久年数など,たくさんの情報で溢れていますよね。これらは単位だと,それぞれm(メートル),g(グラム),B(バイト),dpi(ドット・パー・インチ),円,年といったように表されます。みなさんもお手持ちのスマートフォンを購入するとき,ここであげたような様々な情報をもとに何がいいか検討していったことでしょう。

しかしこれらの情報は単位があってはじめてきちんと比べられるものですよね。例えば先に挙げた長さで言うのであれば,m(メートル)をはじめとした基準がないと,爪の長さくらいとか腕の長さくらいとか,そういった曖昧なものでしか量を計ることができないので,きちんとした比較ができなくなってしまうのです。そこでいつでもどこでも正しい比較ができるように,単位という国際的に定められた基準が作られたのです。

この単位とは,接頭語の部分と基本の単位の部分とで構成されています。接頭語とはk(キロ),c(センチ),m(ミリ)などのことで,基本の単位とはm(メートル),L(リットル),g(グラム)などのことです。そしてこれらの接頭語と基本の単位との組み合わせで,mm(ミリメートル)だとかkg(キログラム)といった単位が作られていくわけですね。そのため単位を覚えるためには,この2つの部分のそれぞれに注目していくといいでしょう。

基本の単位を覚えよう!

まずは中学受験で登場する基本の単位を確認していきましょう。はじめに長さについてですが,長さはm(メートル)という単位が使われています。これはみなさんご存知かと思われます。ちなみに1mというのは1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる長さのことを指すそうです。受験には登場しませんが,とても細かく定められていることが分かりますね。

続いて重さをみていきましょう。重さはg(グラム)という単位を使って表すことができます。この1gは1kgの1000分の1と定義されているのですが,1kgが1gの1000倍と習ってきた人にとっては少し変な感じがするかもしれません。この重さについては,1kgと同じ量であるt(トン)が使われることもしばしばあります。このt(トン)は接頭語がつくことはほとんどありません。算数というよりは理科や社会で見ることのほうが多いかもしれませんが,頭の片隅に入れておきましょう。

次に見ていくのは水の体積です。体積といえばm3(立方メートル)を思い浮かべやすいですが,ここではL(リットル)について確認していきます。m3(立方メートル)については下で別途扱います。さてこのL(リットル)ですが,定義としては1辺が10cmの立体の体積を1Lとしています。そのため1000cm3=1Lという関係が成り立つのです。この体積と容積の関係についても下で再確認してくので,今はなんとなくの復習をしておいてください。

最後に見ていくのは時間です。ここについては解説する必要もないかと思われますが,時間を表すには年・月・日・時間・分・秒という6つの単位が存在します。60秒で1分,60分で1時間,……といった使い分けについては特に詳しく解説する必要はないでしょうが,日暦算のように時間についての問題が出題されたとき,答えの単位を間違ってしまうというミスが起こりがちです。そのためしっかり暗記するというよりは,毎回答えの単位を見直す癖をつけようという意味で,ここで時間の単位を再確認しておきましょう。

このほかにも温度・電流の大きさ・明るさなど様々なものごとについて,その大きさや量を計る単位が存在するのですが,受験ではここで挙げた4つの単位とそれを使った応用の単位しか登場しないので,ここでは割愛します。興味があれば勉強の合間に調べてみてください。

接頭語を覚えよう!

では続いて接頭語の部分について覚えていきましょう。先ほども説明したように,接頭語とはm(ミリ)やc(センチ)といった,基本の単位にくっつく記号のことを指します。普段何気なく算数や理科で使っているこの接頭語ですが,実はそれぞれきちんとした意味があるのです。したがってここでは受験で登場する4つの記号に注目し,その意味を解説していきます。

まずは小さい順にm(ミリ)から確認していきましょう。m(ミリ)は先ほど上げた基本単位のうちm(メートル)やL(リットル)とくっついて,mm(ミリメートル)やmL(ミリリットル)という単位になります。これらの単位はそれぞれ1000倍することでm(メートル)やL(リットル)になるということを習ったでしょうが,実はそのような関係が成り立つのはm(ミリ)という単位が1000分の1を表すからです。そのため1000倍すると1000分の1と約分されるので,m(メートル)やL(リットル)といった基本単位の部分が残ります。

同様にc(センチ)についてもみていきます。m(ミリ)は1000分の1を指しましたが,c(センチ)は100分の1を指します。そのため1cm(センチメートル)を100個集めると1m(メートル)になるのです。ちなみにこのc(センチ)ですが,1000分の1を表すm(ミリ)の10倍だと捉えることもできます。そのため10mm(ミリメートル)=1cm(センチメートル)という関係も成り立つ,というわけですね。

続けてd(デシ)について解説していきます。d(デシ)は日常生活でも算数の問題でもなかなか目にするものではないでしょうが,しばしばdL(デシリットル)という形で見かけることがあります。このdL(デシリットル)はなかなか登場しないので,いざというときに何倍すれば1L(リットル)になるかを忘れてしまいがちです。そんなd(デシ)ですが,この記号は10分の1を意味します。そのため10dL(デシリットル)で1L(リットル)と同じものを指す,ということが分かりますね。このように記号が何分の1を指すかを覚えておくと,単位を変換するときに困りにくいので,ぜひ参考にしてみてください。

ここまで分数を表す記号についてみていきましたが,最後は倍数を表す記号をみていきます。ここで見ていくのがk(キロ)です。k(キロ)については,kg(キログラム)やkm(キロメートル)という形で使うことが多い記号ですね。そんなk(キロ)は1000倍を指しています。そのため例えば1kg(キログラム)と言われたら,1g(グラム)が1000倍になっているのだということが分かりますね。実際ほとんどの人が1kg(キログラム)=1000g(グラム)のような関係は覚えているでしょうが,単位の意味から捉え直しておくとミスの削減に繋げられます。

以上の4つの単位が受験ではよく登場するので覚えておいてほしいのですが,接頭語というのはこれだけではありません。下に一覧を載せましたが,μ(マイクロ)M(メガ)などは普段の生活の中でも耳にしたことがあると思います。きちんと解説したもの以外は算数の受験では登場しないので集中して覚える必要はないものの,日頃の「なぜなに」を解消するきっかけになるので,余裕があれば目を通しておきましょう。

単位を使って作られる単位!

ここまでは接頭語+基本の単位で作られる単位の着目し,それぞれの記号が表すものを解説していきました。しかしこのような組み合わせでなく,単位と単位を組み合わせることで作られる単位も存在します。それが面積体積,そして速さです。そのため最後にこの2つの単位の計算方法を解説し,どうやって変換すればいいかをまとめていきます。

はじめに面積について確認していきましょう。小学校で習う体積の単位にはmm2(平方ミリメートル)・cm2(平方センチメートル)・m2(平方メートル)の3種類が挙げられます。これらはどれも同じ単位の長さを2回掛け合わせている,ということを意味します。例えばcm2(平方センチメートル)であれば,1cmという単位が2回かけ算されているわけです。つまり1cm2=1cm×1cmという関係が成り立ちます。この関係については学校でも習っているはずなので問題ないでしょうが,ここで重要なのは記号の意味も2回かけられているということです。例えば先ほどの1cm2=1cm×1cmにおいて,cmのc(センチ)の部分は100分の1を意味していましたが,cm同士をかけ算することで100分の1も2回かけられる,つまり10000分の1になるのです。これを言い換えると1cm2は1m2を10000の1にしたもの,と表すことができます。同様に考えていくと,1mの1000の1を示す1mmを2回かけた1mm2は,1000分の1を2回かけて,1m2の1000000分の1になるのです。面積の単位の変換はなかなか手強い単元ですが,このように単位の意味も2回かけられていると覚えておくと簡単に変形ができるようになりますよね。

なおこの面積にはm(メートル)を使った単位の他に,a(アール)ha(ヘクタール)という単位が使われることもあります。a(アール)とは10m×10mの面積のことで,ha(ヘクタール)とは100m×100mの面積のことを指します。これを計算するとa(アール)は100m2の正方形・ha(ヘクタール)は10000m2の正方形になりますね。このことはh(ヘクト)が100倍を指す,という上の図に書いてある事項とも絡めて覚えておくと分かりやすいでしょう。

続いて体積についても同じ手順で確認していきます。受験で登場する体積の単位にはmm3(立方ミリメートル)・cm3(立方センチメートル)・m3(立方メートル)の3つが挙げられますね。面積については同じ単位を2回かけているという説明をしましたが,体積では1cm3=1cm×1cm×1cmのように,同じ単位が3回かけられています。このような立方というものの意味は既にご存知でしょうが,実は体積の単位についても記号の意味までかけられているのです。例えば1cm3の場合,c(センチ)は100分の1を指すので,100分の1を3回かけた結果1m31000000分の1になるというわけです。考え方は面積と同じなので,もし何倍あるいは何分の1にすればいいか悩むことが多い場合は,記号の意味をかけるということを重点的に覚えておきましょう。

最後に速さについて確認していきます。速さの単位には時速・分速・秒速などがあり,進む距離にもm(メートル)・cm(センチメートル)・km(キロメートル)といった様々なものがあるため,こんがらがりやすいですよね。しかし全ての速さの単位は進む距離÷一定の時間で計算することができます。そのため距離をm(メートル)・一定の時間を1秒で設定して計算するのであれば,単位は秒速○mとなるのです。

ここからは速さの変換について見ていきましょう。例として時速60kmを分速〇〇mの形に直す場合を考えてみます。上の速さの定義から,時速60kmというのは1時間という一定の時間60km進むということを指します。式に直すと60km÷1時間という形になりますね。これを分速〇〇mという形に直すには,距離と時間をそれぞれ変換しなければなりません。まず距離ですが,k(キロ)というのは1000倍を表す記号だったので,60km=60000mと変換することができますね。次に時間ですが1時間は60分と等しいので,これらのことから上の式は60000m÷60分という形に直せます。これを計算すると1000となるので,時速60kmは分速1000mという形に変えられる,ということが分かります。このように速度の単位の変換は難しく感じやすいところですが,分子と分母をそれぞれ上で確認したような接頭語などを参考に置き換えると覚えておけば,簡単に計算することができますよね。このような変換は絶対落としたくない小問集合でも出てきやすいので,確実に解けるように慣れておきましょう。

終わりに

今回の記事では単位というものに着目し,その意味や成り立ちから焦点を当てて解説していきました。ここで取り扱ったような細かい事柄は受験で聞かれることはないものの,ふとしたときになぜ?どうして?と思うようなことばかりです。そのためケアレスミスを減らすという意味でも,知らないことを知るという勉強の楽しさを深めるという点でも,本記事を活用していただけますと幸いです。

(ライター:大舘)

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